モディリアーニの恋人
1,540円(税込)
発売日:2008/03/25
- 書籍
短くも激しく生きた伝説のカップルに新たな光を当て、その魂の軌跡を追う!
美術史上きってのモテ画家と美貌の画学生ジャンヌは、パリで運命の出会いを果たす。たちまち恋に落ちた二人を待ち受けていた運命とは……。波乱の生涯を追いつつ、新資料・新知見をまじえて作品の真価を問い直すモディリアーニ解体新書。日本で見られる作品ガイド付。
[解説]宮下規久朗
[文]橋本治
モディリアーニ交遊録 II
“ミスター・モディリアーニ”が語る
モディリアーニの真実
日本で観られるモディリアーニ
書誌情報
読み仮名 | モディリアーニノコイビト |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 112ページ |
ISBN | 978-4-10-602168-8 |
C-CODE | 0371 |
ジャンル | 画家・写真家・建築家 |
定価 | 1,540円 |
担当編集者のひとこと
モディリアーニの恋人
モディリアーニの描く肖像画はいちど見たら忘れられません。面長の顔に、くねっと長い首、瞳のないアーモンド型の目。実をいえば、幼い頃、教科書か何かでこの人の絵を初めて目にしたときは、ん??? これって、描かれた人はあまり嬉しくないのでは? と思ってしまいましたが――。年月を経て、ようやく彼の画風の良さ、奥深さがわかってきたかなぁと。そんなとき、今回の本を担当することに。するとさらに、これまで知らなかった、気づかなかったモディリアーニ像が見えてきました。
“ミスター・モディリアーニ”の異名をとる美術史家マルク・レステリーニさんいわく、「モディリアーニはずっと誤解されてきた!」とのこと。同時代のピカソと同じくらい、革新的な芸術家であったにもかかわらず、あるべき評価を受けてこなかったというのです。あまりにも美男子であったがゆえに、あまりにも短命であったがゆえに、あまりにもその人生が悲劇の色づけをされてしまったがために、作品に対する正当な評価がなされてこなかったと。
また近年、初めて公開された恋人ジャンヌの遺品や、画学生だった彼女自身の描いた作品などから、この女性のキャラクターについても新しい発見がありました。愛する人の後を追って自殺した、か弱き美女というイメージで認識されてきたこのひと、実は気丈な一面も持ち合わせていたし、未熟ながらもひとりの画家としてモディリアーニに影響を与えた部分もあったらしい。
モディリアーニとジャンヌを、新しい視点で見つめ直す1冊です。
おりしも、3月、4月とあいついで開催されるモディリアーニ展の鑑賞ガイドとしても、うってつけの1冊です。
2008/03/25
著者プロフィール
橋本治
ハシモト・オサム
(1948-2019)1948年(昭和23)、東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。イラストレーターを経て、1977年、小説「桃尻娘」を発表。以後、小説・評論・戯曲・エッセイ・古典の現代語訳など、多彩な執筆活動を行う。『ひらがな日本美術史』『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』『草薙の剣』など著書多数。2019年没。
宮下規久朗
ミヤシタ・キクロウ
美術史家。神戸大学大学院人文学研究科准教授。1963年愛知県生れ。東京大学大学院人文科学研究科修了。2005年、『カラヴァッジョ―聖性とヴィジョン―』(名古屋大学出版会)によりサントリー学芸賞および地中海学会ヘレンド賞。著書に『バロック美術の成立』『イタリア・バロック―美術と建築―』(ともに山川出版社)、『西洋絵画の巨匠11 カラヴァッジョ』『モディリアーニ モンパルナスの伝説』『フェルメールの光とラ・トゥールの焔―「闇」の西洋絵画史―』(いずれも小学館)、『食べる西洋美術史』『ウォーホルの芸術』(ともに光文社新書)、『カラヴァッジョヘの旅』(角川選書)、『刺青とヌードの美術史 江戸から近代へ』(NHKブックス)、『カラヴァッジョ巡礼』(新潮社)、『裏側からみた美術史』(日本経済新聞出版社)など多数。