どんな京都通だって、このひとにはかなわない。

白洲正子と歩く京都
読み仮名 | シラスマサコトアルクキョウト |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 旅から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 127ページ |
ISBN | 978-4-10-602169-5 |
C-CODE | 0370 |
ジャンル | 国内旅行 |
定価 | 1,512円 |
幼い頃から母に連れられ京の空気に身をゆだねた。長じては西行や明恵に惹かれ、かくれ里に分け入って、京のさらなる奥へと踏み込んだ。白洲正子さんほど、この都を愛した人はいない。歩き巡った古寺、山河、出会った風景、ほとけさま。惚れ込んだ手仕事、通い詰めた味。“本物を選び抜く眼”に導かれて、日本人の魂にふれる京の旅へ。
著者プロフィール
白洲正子 シラス・マサコ
(1910-1998)1910年東京生まれ。幼い頃より能を学び、14歳で女性として初めて能舞台に立ち、米国留学へ。1928年帰国、翌年白洲次郎(1902〜1985)と結婚。古典文学、工芸、骨董、自然などについて随筆を執筆。『能面』『かくれ里』『日本のたくみ』『西行』など著書多数。1998年没。
牧山桂子 マキヤマ・カツラコ
1940年東京生まれ。白洲次郎・正子の長女。2001年10月に東京・鶴川の旧白洲邸 武相荘を記念館として開館。著書に『次郎と正子 娘が語る素顔の白洲家』『白洲次郎・正子の食卓』『白洲家の晩ごはん』など。
目次

「花の寺」勝持寺の陽光あふれる参道。[撮影]高橋昇


とある寺を取材中、ひと休みする白洲正子さん。
白洲正子の京都 牧山桂子
嵯峨野へ 大覚寺、大沢池 法金剛院
周山街道を北へ 神護寺 高山寺 常照皇寺
愛宕山登山 月輪寺
木津川へ 笠置寺
西京へ 大原野の古寺
古寺巡礼データ&マップ
平松洋子
青柳恵介
花鋏*安重打刃物店/すだれ*久保田美簾堂
箸*市原平兵衞商店/唐紙*唐長
骨董*柳孝/やきもの*加藤静允
中沢けい
精進料理*月心寺/芳香炉*晦庵 河道屋
懐石料理*千花/すっぽん料理*大市
京料理*河しげ/蕎麦・うどん・丼*権兵衛
活魚*丸弥太/天然鮎*平野屋
愛したほんものと往く
装いの愉しみ
担当編集者のひとこと
白洲正子と歩く京都
1998年12月、88歳でこの世を去った白洲正子さん。それから10年を経ましたが、彼女の人気は衰えるところを知りません。能や古典、工芸に通じ、古美術、花を愛した白洲さんの生き方、決して妥協しない美への眼差しは、移ろいゆく時代に関係なく、人の心をとらえて止まないのでしょう。 白洲さんは、近江や大和、若狭や河内など生涯数多くの土地を旅しましたが、とくに京都は小さい頃から母の常子さんに連れられ、頻繁に訪ね、その空気に身をゆだねました。しかし意外なことに、幼い白洲さんにとってお寺巡りなど退屈で、苔むした庭や湿っぽい匂いにはうんざりしたとか。ところが長じて西行や明恵に惹かれ、かくれ里に分け入り、京のさらなる奥へと踏み込んでいくのです。白洲さんにとって「なじめなかった」京都は、いつしか「生まれ故郷のように」なりました。誰よりも京を愛したひと、と言ってもいいかも知れません。
本書では、白洲さんが幾度も歩いた古寺や山河、出会った風景やほとけさま、惚れ込んだ手仕事、通い詰めた味を、上質な写真とともに紹介します。それら“白洲好み”の場所は、いわゆる観光名所とはまったく異なるところばかり。どんな今風の“京都通”も、やっぱりこのひとにはかなわない、そうつぶやくでしょう。
白洲正子という“本物を選び抜く眼”に導かれて、日本人の魂にふれる京都を堪能していただければ幸いです。
新緑に包まれた、栂尾・高山寺の石水院。[撮影]高橋昇
2016/04/27