古伊万里 磁器のパラダイス
1,540円(税込)
発売日:2009/09/25
- 書籍
博物館級名品から、気軽に買える雑器まで!
白肌に染付の青の美しさ。赤、黄、緑で埋め尽くされた色絵の見事さ。日本で初めて肥前有田で焼かれた磁器、伊万里はスタイルも文様も多種多様。初期伊万里、古九谷、鍋島、柿右衛門、金襴手。やきもの好きをうならせる名品から普段使いの器まで。伊万里の魅力を知る(歴史)、見る(鑑賞)、使う(実用)ために格好の一冊。
染付 青と白の新世界
文・青柳恵介
解説・荒川正明
文・青柳恵介
瀬良陽介/伊万里ブームの立役者
秦秀雄/裏絵のロマンチシズム
ハリー・パッカード/名品奪取のデーモン
星野武雄/潔癖なかぶき者
解説・荒川正明
――寛文デザインの魅力に触れる――
文・荒川正明
文・編集部
森田直さんの〈蕎麦猪口〉
鶴岡へ、伊万里を買いに。
文・青柳恵介
書誌情報
読み仮名 | コイマリジキノパラダイス |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602194-7 |
C-CODE | 0395 |
ジャンル | 彫刻・工芸 |
定価 | 1,540円 |
担当編集者のひとこと
古伊万里 磁器のパラダイス
ご存知のように、焼物には陶器(陶土を材料にしたもの)と磁器(白い陶石を材料にしたもの)があります。日本で最初に磁器が作られるようになったのは、江戸時代初め、1610年代のことで、肥前の国、有田でのこと。製品はすぐ北の伊万里の港から各地に出荷されたことから、「伊万里焼」または単に「伊万里」と呼ばれるようになりました。 それまで日本には焼物といえば土ものの陶器しかなかったわけですから、勝手に想像するに、当時の食卓はかなり地味だったに違いありませんね(笑)。わが祖先たちは、なんとか白い焼物をこしらえようと、白泥の釉を化粧掛けするなど努力したのだけれど、それは中国磁器の透けるほどに美しい白肌には及ぶべくもなかったことでしょう。
ついに原材料となる陶石を見つけ、中国や朝鮮の技術を得て、さらに日本の美意識を加えていって、伊万里はその後大いなる発展を遂げていきます。そのあたりはぜひ、本書の荒川正明先生の文章をご参照ください。伊万里、と一口に言っても、初期伊万里、古九谷、鍋島、柿右衛門、金襴手、染付などさまざまな様式があって、その多種多彩さには驚かされます。どうしてそういうスタイルのものが生まれてきたのか、それぞれ何がどう違うのか……例示とともに、痒いところに手が届くように解説されています。
柳宗悦、秦秀雄、星野武雄といった骨董の目利きたちは、昭和に入って、伊万里の中でもそれまではあまり注目されていなかった染付に美を見出した人たちでした。彼らが惚れた伊万里とは? 青柳恵介さんがご自身の体験をふまえながら案内してくれます。
さて、みなさんは、数多ある伊万里のなかでもどんなスタイル、文様、形が好みでしょうか。伊万里の全貌を見渡したうえで、好きなものを見つけてください。そして、好みのうつわを求めてみてはいかがでしょうか。幸いなことに伊万里は日本各地にたくさん存在します。博物館にあるような美術品は無理でも、食卓や座辺に置くものを買い求めることは可能です。旅先の道具屋さんで、骨董市で、私との出会いを待っている伊万里があると思うと、ちょっとわくわくします。
2009/09/25
著者プロフィール
青柳恵介
アオヤギ・ケイスケ
1950年、東京生まれ。成城大学大学院博士課程修了。専門は国文学。古美術評論家。成城学園教育研究所勤務。成城大学、東京海洋大学非常勤講師も務める。著書に『風の男 白洲次郎』(新潮社、1997)、『骨董屋という仕事』(平凡社、1999)、『柳孝 骨董一代』(新潮社、2007)、『白洲次郎と白洲正子―乱世に生きた二人―』(新潮社、2008)などがある。
荒川正明
アラカワ・マサアキ
1961年、茨城県生まれ。学習院大学大学院人文科学専攻修士課程修了。専門は日本陶磁史。出光美術館主任学芸員を経て、2008年より学習院大学文学部哲学科教授(日本美術史専攻)。著書に『日本やきもの史』(美術出版社、1998、共著)、『板谷波山の生涯』(河出書房新社、2001)、『唐津やきものルネサンス』(新潮社、2004、共著)、『やきものの見方』(角川書店、2004)などがある。