時価会計不況
748円(税込)
発売日:2003/05/21
- 新書
- 電子書籍あり
時価会計が国を滅ぼす。
グローバル・スタンダードにあわせるということを錦の御旗に、導入された「時価会計」。益出しや損失隠しができなくなり、企業の「真の実力」がわかるようになると期待されたが、本当は、いくつもの企業を破滅に追い込むだけでなく、日本経済を滅ぼしかねない「時限爆弾」だった。本書では、株安、デフレ、失業率増加……、現今の不況の元凶である「時価会計」の正体を一つ一つわかりやすく暴いていく。
目次
プロローグ
第一章 金融ビッグバンは「猛犬の放し飼い」
黒船が来た――国際会計基準
橋本内閣の金融ビッグバン
規制緩和と自己責任の原則
金融ビッグバンの命綱は会計改革
会計ビッグバンは、いいことずくめ?
橋本内閣の金融ビッグバン
規制緩和と自己責任の原則
金融ビッグバンの命綱は会計改革
会計ビッグバンは、いいことずくめ?
検証・その一 連結財務諸表で何がわかるのか?
決算操作防止のための連結とは
垂直型の企業集団と蜘蛛の巣型企業集団
「企業集団の株」は売っていない
垂直型の企業集団と蜘蛛の巣型企業集団
「企業集団の株」は売っていない
検証・その二 時価会計は含み経営を排するのか?
「含み経営」とは何か
時価会計は「捕らぬ狸の皮算用」
「含み経営」は美徳ではないのか
温存された「含み経営」
「ビー玉」をしゃぶらされる投資家
時価会計は「捕らぬ狸の皮算用」
「含み経営」は美徳ではないのか
温存された「含み経営」
「ビー玉」をしゃぶらされる投資家
第二章 時価とは何か――「ヌエ」の正体を探る
時価の迷路
商品の時価は二つある
まとめて売れば、時価は下がる
「上限としての時価」と「下限としての時価」
有価証券は「一物何価」?
「断念と怨念のバランスシート」
商品の時価は二つある
まとめて売れば、時価は下がる
「上限としての時価」と「下限としての時価」
有価証券は「一物何価」?
「断念と怨念のバランスシート」
第三章 「株は時価で売れる」という妄想
売らずにいたほうが利益が大きくなる不思議
本当に売ったら大暴落
株価は常にバブル状態──ケインズの美人投票説
持ち合い株の含み益は「ペーパー・プロフィット」
持ち合い株を買う「黒い目の外国人」
売れない株を時価評価するとどうなるか
本当に売ったら大暴落
株価は常にバブル状態──ケインズの美人投票説
持ち合い株の含み益は「ペーパー・プロフィット」
持ち合い株を買う「黒い目の外国人」
売れない株を時価評価するとどうなるか
第四章 錬金術に毒されたアメリカ型資本主義
「こつこつ稼ぐ」から「ゼロからひねり出す」へ
デリバティブ・スプリング・フィーバー
会計帳簿の料理法
料理法1「利益ひねり出し」の手口
料理法2「利益先取り会計」の手口
料理法3「損失先送り会計」の手口
「V字回復」の会計手法
ギャンブラーの会計
白人社会の犯罪
デリバティブ・スプリング・フィーバー
会計帳簿の料理法
料理法1「利益ひねり出し」の手口
料理法2「利益先取り会計」の手口
料理法3「損失先送り会計」の手口
「V字回復」の会計手法
ギャンブラーの会計
白人社会の犯罪
第五章 時価会計の破壊力
シンデレラのバランス・シート
債務超過の恐怖
失った四〇二兆円
消えた含みでアメリカとイギリスが買える
クラッシュ寸前の証券市場
債務超過の恐怖
失った四〇二兆円
消えた含みでアメリカとイギリスが買える
クラッシュ寸前の証券市場
第六章 時価会計の情報力と原価会計の情報力
数字のマッサージ
不正に対する抑止力
原価の情報力=歴史の洞察力
時価の情報力=「本物」も「コピー」も一緒
時価会計は「たられば」の世界
時価会計には専門知識はいらない
「姿」を映すか、「願望」を映すか──鏡としての会計
不正に対する抑止力
原価の情報力=歴史の洞察力
時価の情報力=「本物」も「コピー」も一緒
時価会計は「たられば」の世界
時価会計には専門知識はいらない
「姿」を映すか、「願望」を映すか──鏡としての会計
第七章 どこの国も使わないはずだった国際会計基準三九号
会計とは何か
会計にしかできないこと
静態論から動態論へ
なぜアメリカ会計は静態化したのか
原因1ギャンブルを加速させた四半期報告
原因2「監督会計」は時価が好き
原因3FASBの資産・負債アプローチ
国際会計基準はアメリカのマクロ政策
S&L対策だった時価会計
国際会計基準委員会の「にわか仕事」
なぜ「どこの国も使わない」のか
会計にしかできないこと
静態論から動態論へ
なぜアメリカ会計は静態化したのか
原因1ギャンブルを加速させた四半期報告
原因2「監督会計」は時価が好き
原因3FASBの資産・負債アプローチ
国際会計基準はアメリカのマクロ政策
S&L対策だった時価会計
国際会計基準委員会の「にわか仕事」
なぜ「どこの国も使わない」のか
エピローグ
あとがきにかえて
あとがきにかえて
書誌情報
読み仮名 | ジカカイケイフキョウ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610013-0 |
C-CODE | 0233 |
整理番号 | 13 |
ジャンル | 経理・アカウンティング |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/01/27 |
蘊蓄倉庫
捕らぬ狸の時価会計
寿司屋で「大トロ時価」なんて聞くと、注文をためらいますが、最近、新聞で「時価会計凍結論」なる言葉を見かけませんか。全国の寿司屋で「時価」を凍結してくれるなら大歓迎です。残念ながら、これは企業の会計制度の話。
ところで、「時価」について真剣に考えたことはありますか。例えば、A社がB社株を100万株持っているとします。期末の終値が1000円なら、A社の財産は10億円。しかし、この100万株全部を売りに出せば、株価は必ず暴落し、現金10億円を手に入れることはできません。なのに、時価会計ではB社株100万株を10億円の資産として計上するのです。売らなければ10億円。売れば5億円にしかならないかもしれない。だったら、売らない方がおトク。
実際に手にしてない利益を計算することを「捕らぬ狸の皮算用」といいますが、まさに時価会計がそう。『時価会計不況』では、一見難しそうな「時価」と「時価会計」の正体をわかりやすく暴きます。
寿司屋で「大トロ時価」なんて聞くと、注文をためらいますが、最近、新聞で「時価会計凍結論」なる言葉を見かけませんか。全国の寿司屋で「時価」を凍結してくれるなら大歓迎です。残念ながら、これは企業の会計制度の話。
ところで、「時価」について真剣に考えたことはありますか。例えば、A社がB社株を100万株持っているとします。期末の終値が1000円なら、A社の財産は10億円。しかし、この100万株全部を売りに出せば、株価は必ず暴落し、現金10億円を手に入れることはできません。なのに、時価会計ではB社株100万株を10億円の資産として計上するのです。売らなければ10億円。売れば5億円にしかならないかもしれない。だったら、売らない方がおトク。
実際に手にしてない利益を計算することを「捕らぬ狸の皮算用」といいますが、まさに時価会計がそう。『時価会計不況』では、一見難しそうな「時価」と「時価会計」の正体をわかりやすく暴きます。
掲載:2003年5月23日
著者プロフィール
田中弘
タナカ・ヒロシ
1943(昭和18)年北海道札幌市生まれ。神奈川大学教授。早稲田大学大学院博士課程修了。博士(商学)。著書に『時価主義を考える』『会計学の座標軸』『管理職のための新会計学』など。「遊んだ分だけ仕事をする」がモットー。目下「会計学の謎解き」に夢中。
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