路面電車ルネッサンス
748円(税込)
発売日:2003/09/20
- 新書
- 電子書籍あり
世界中で続々復活! 進化した「ちんちん電車」が街まで変える!
路面電車を、クルマの邪魔になる時代錯誤の乗り物と思ったら大間違い。21世紀の都市交通の主役として、今や世界中、路面電車の建設ラッシュである。増えすぎたクルマの排気ガスによる大気汚染や、渋滞問題、都市人口の郊外化による中心市街地の荒廃など、現在の都市が抱える問題を解決し、都市を再生する切り札として再び脚光を浴びているのだ。地球にも人にも優しい路面電車を、さまざまなデータを駆使して、経済学の視点から捉えなおす。
目次
序章 高速道路から路面電車へ
第1章 路面電車新時代
1 激動の20世紀
2 サンディエゴの復活
2 サンディエゴの復活
ジェームズ・ミルズの夢
きっかけは台風
公共交通の復権
きっかけは台風
公共交通の復権
3 カールスルーエ・モデルの誕生
世界に冠たるドイツ
地下鉄でもバスでもない選択
逆転の発想
新幹線と一緒に200km
地下鉄でもバスでもない選択
逆転の発想
新幹線と一緒に200km
4 ストラスブールのアーバンデザイン
遅れたフランス
議論が割れたアルザスの古都
街の景観の一部になった進化を続けるアーバンデザイン
議論が割れたアルザスの古都
街の景観の一部になった進化を続けるアーバンデザイン
第2章 データでみる路面電車
1 路面電車の現状
日本は西高東低
小さい規模で頑張る日本
世界では中量交通機関
小さい規模で頑張る日本
世界では中量交通機関
2 「日本型」の特徴
3 日本の路面電車が廃止された背景
かつては「ドイツ型」が多かった
疑問が残る廃止も
疑問が残る廃止も
第3章 路面電車が求められる理由
1 非効率的な自動車交通
混雑問題の発生
環境効率の悪化
事故のコスト
環境効率の悪化
事故のコスト
2 路面電車がもたらす便益「MAFFIA」
Medium capacity transit ゆとりある中量輸送力の実現
Accessibility 乗り降りの容易さ
Frequency 本数増加による利便性の向上
Flexibility 柔軟なネットワーク
Inexpensive コストの安さ
Amenity 街の環境改善
Accessibility 乗り降りの容易さ
Frequency 本数増加による利便性の向上
Flexibility 柔軟なネットワーク
Inexpensive コストの安さ
Amenity 街の環境改善
第4章 路面電車と街づくり
1 中心市街地活性化と路面電車
なぜ衰退したのか
活性化が必要な理由
郊外との競争条件
活性化の切り札として
ランドマーク
活性化が必要な理由
郊外との競争条件
活性化の切り札として
ランドマーク
2 路面電車による街づくり――アメリカ・ポートランド
「都市の装置」として
成長管理政策の成功
ゴア副大統領も絶賛
駐車料収入で新たな路面電車
成長管理政策の成功
ゴア副大統領も絶賛
駐車料収入で新たな路面電車
第5章 路面電車の経済政策
1 価格政策
運輸連合による運賃統合
割安な運賃の提供
都心部無料政策
割安な運賃の提供
都心部無料政策
2 欧米における路面電車の補助政策
ドイツ
フランス
アメリカ
フランス
アメリカ
3 路面電車政策の哲学
交通権
地域主権
地域主権
4 民間活力を用いた新しい政策
上下分離
公設民営
第3セクター方式
公設民営
第3セクター方式
5 日本の路面電車補助政策
第6章 信用乗車を考える
1 信用乗車方式とは
乗車券は自分で管理
欧米も導入には慎重だった
意外に少ない無賃乗車
欧米も導入には慎重だった
意外に少ない無賃乗車
2 費用対効果
信用乗車でスピードアップ
社会的にみた効果
非接触型ICカードを用いる
社会的にみた効果
非接触型ICカードを用いる
第7章 日本の新たな動き
1 万葉線株式会社誕生
廃止寸前だった万葉線
画期的な懇話会の提言
市民出資による新会社
画期的な懇話会の提言
市民出資による新会社
2 福井市におけるトランジットモール実験
日本初の本格的な試み
実験の成果
変わり始めた意識
議論は始まったばかり
実験の成果
変わり始めた意識
議論は始まったばかり
3 岡山市の延伸計画
日本一短い路面電車
路面電車延伸の採算性
「ラクダ」の存在
路面電車延伸の採算性
「ラクダ」の存在
4 札幌の都心交通ビジョンと市民対話
札幌市電の現状
歩行者と環境に力点を置く
市民対話で広がる理解
歩行者と環境に力点を置く
市民対話で広がる理解
5 日本各地の動き
増える各地の検討
新しい路面電車の具体的な構想
宇都宮市
さいたま市
江東区
金沢市
堺市
新しい路面電車の具体的な構想
宇都宮市
さいたま市
江東区
金沢市
堺市
終章 MOMOは実るか――日本の課題
終わりに
参考文献
参考文献
書誌情報
読み仮名 | ロメンデンシャルネッサンス |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610034-5 |
C-CODE | 0265 |
整理番号 | 34 |
ジャンル | 産業研究、鉄道 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/08/31 |
蘊蓄倉庫
地下鉄よりも速い「ちんちん電車」
東京の地下鉄、大江戸線は1キロ作るのに約350億円、総額1兆4000億円もかかったそうです。確かに便利になりますが、うんざりするのがホームの深さじゃありませんか? 一駅だけなら乗っている時間より、ホームまでの行き来にかかる時間の方が長いかも。
それに比べ、路面電車の乗り降りは簡単ですよね。乗り降りにかかる時間や電車の速度などを考慮して、地下鉄と路面電車を比べると、3・6キロ以内の距離の移動なら、路面電車の方が速いそうです。東京の繁華街を走る銀座線なら上野から日本橋ぐらいの距離です。
外国では床が地面から約3センチという超低床車も登場し、ますます乗りやすく進化しています。ほぼ歩行者と同じ目線で、街の景色を楽しみながら移動ができるわけです。
ちなみに、路面電車の建設費は地下鉄の約10分の1以下。公共事業に高いお金をつぎ込むよりもずっと低コストで、路面電車は、便利で楽しい街づくりを実現できるのです。
東京の地下鉄、大江戸線は1キロ作るのに約350億円、総額1兆4000億円もかかったそうです。確かに便利になりますが、うんざりするのがホームの深さじゃありませんか? 一駅だけなら乗っている時間より、ホームまでの行き来にかかる時間の方が長いかも。
それに比べ、路面電車の乗り降りは簡単ですよね。乗り降りにかかる時間や電車の速度などを考慮して、地下鉄と路面電車を比べると、3・6キロ以内の距離の移動なら、路面電車の方が速いそうです。東京の繁華街を走る銀座線なら上野から日本橋ぐらいの距離です。
外国では床が地面から約3センチという超低床車も登場し、ますます乗りやすく進化しています。ほぼ歩行者と同じ目線で、街の景色を楽しみながら移動ができるわけです。
ちなみに、路面電車の建設費は地下鉄の約10分の1以下。公共事業に高いお金をつぎ込むよりもずっと低コストで、路面電車は、便利で楽しい街づくりを実現できるのです。
掲載:2003年9月25日
著者プロフィール
宇都宮浄人
ウツノミヤ・キヨヒト
1960年、兵庫県生まれ。京都大学経済学部卒業。1984年に日本銀行に入行し、マンチェスター大学大学院留学、一橋大学経済研究所専任講師、日本銀行調査統計局物価統計課長、同金融研究所歴史研究課長等を歴任。2011年に関西大学経済学部教授に就任。『路面電車ルネッサンス』(新潮新書)で第29回交通図書賞受賞。共著に『経済統計の活用と論点』『世界のLRT』『LRT―次世代型路面電車とまちづくり―』など。
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