銀行員諸君!
748円(税込)
発売日:2003/11/20
- 新書
- 電子書籍あり
銀行はこれからどうなるのか――元みずほ銀行支店長の作家江上剛、金融ジャーナリスト須田慎一郎、二人のプロが熱く語る過去、現在、未来。
二〇〇三年三月、みずほ銀行築地支店長を最後に、作家・江上剛は二十六年間の銀行員生活にピリオドを打った。なぜ、彼は愛する銀行を志半ばで辞めなければならなかったのか。入行からの銀行員生活を振り返り、信頼するジャーナリスト須田慎一郎に語ることによって、これまで銀行がやってきたことを検証し、これからの銀行のあるべき姿を探る。苦言は苦言として、銀行の仲間たち、後輩たちへ心からのエールを送る。
女子行員とのつきあい
営業へ
初任給
融資業務
銀行員の結婚
バブル前夜
住友銀行の攻勢
全銀協の仕事
弱者救済のための談合
大蔵省の力
銀行員のモラル崩壊
バブルの崩壊
人事の弊害
総会屋への利益供与事件
上層部への直訴
事件の後遺症と風化
支店長にとってのリスク
最後の職場、築地支店へ
支店長の悩み
一兆円増資
体験を小説に
銀行の行方
銀行の原点
サラリーマンは挫折する
江上剛 関連年表
書誌情報
読み仮名 | ギンコウインショクン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610040-6 |
C-CODE | 0233 |
整理番号 | 40 |
ジャンル | 銀行・金融業 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/05/25 |
蘊蓄倉庫
三年ほど前、初めて江上剛氏(当時は、まだこのペンネームは出来ていませんでした)にお会いしたとき、氏は現役の銀行マンでした。
うつむき加減に小声で話すその姿は、文学青年を感じさせこそすれ、大手銀行の第一線でバリバリと働いている人とは思えない落ち着きがありました。しかし、映画になった『金融腐蝕列島[呪縛]』では、役所広司が演じた第一勧銀四人組の一人のモデルだというではありませんか。
氏は多忙な銀行業務のかたわら『非情銀行』『起死回生』とたてつづけに発表し、今年の春にとうとう銀行を退職します。氏にこれまでの行員人生を語って貰おう、聞き手は須田慎一郎さんにお願いしようという企画が決まりました。
第一勧銀梅田支店から始まる銀行歴が語られ始めると、われわれ編集者が想像もしなかった氏本来の銀行員像があらわれました。
テーブル蹴飛ばして「てめえら、何考えてんだ!」と怒鳴り、「ハマコー」(!)とあだ名されたという血気盛んな若手行員時代、総会屋への不正融資事件のときは「あなたがたはこんな融資をわたしたちに教えましたか」と役員たちに泣きながら叫ぶ広報マン時代。
須田さんの言葉では「異端」のこの銀行員は、やはり会社を辞めざるをえなかったのでした。しかし、銀行にもこうした「快男児」がいたのですね。異端よ、バンザイ!
著者プロフィール
江上剛
エガミ・ゴウ
1954(昭和29)年兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。1997(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。2003年3月にみずほ銀行を退行し、以後、執筆に専念している。小説、ビジネス書など著書多数。
須田慎一郎
スダ・シンイチロウ
1961年東京生まれ。日本大学経済学部を卒業後、金融専門紙、経済誌記者などを経てフリージャーナリストとなる。民主党、自民党、財務省、金融庁、日本銀行、メガバンク、法務検察、警察など政官財を網羅する豊富な人脈を駆使した取材活動を続けている。週刊誌、経済誌への寄稿の他、「サンデー!スクランブル」、「ワイド!スクランブル」、「たかじんのそこまで言って委員会」等TVでも活躍。『ブラックマネー―「20兆円闇経済」が日本を蝕む―』(新潮文庫)、『内需衰退―百貨店、総合スーパー、ファミレスが日本から消え去る日―』(扶桑社)、『サラ金殲滅』(宝島社)など著書多数。