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中東 迷走の百年史

宮田律/著

748円(税込)

発売日:2004/06/18

書誌情報

読み仮名 チュウトウメイソウノヒャクネンシ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 207ページ
ISBN 978-4-10-610071-0
C-CODE 0222
整理番号 71
ジャンル 政治、外交・国際関係、歴史・地理
定価 748円

イラク、パレスチナだけではない――。12の火薬庫の歴史と現在を読み解く!

内戦状態に突入したイラク、自爆テロと報復の連鎖が止まらないパレスチナ、いまだに「国家」の体を成さないアフガニスタン、ロシアに血みどろの戦いを挑むチェチェン――。「世界の火薬庫」と化した中東の「いま」を理解するには、少し立ち止まって、現代史の百年を振り返るのが近道だ。焦点となっている十二の国・地域を取り上げて、紛争の理由を原点から探る、中東入門書の決定版。

目次
はじめに 世界史の「負の遺産」
第1章 イラク 民主化どころか無政府状態へ
ブッシュの誤算
「人工国家」イラクの誕生
四度のクーデター
サダム・フセイン登場
人工国家が生んだ独裁化
失われた十二年
さらなる不安定化へ
第2章 イスラエルとパレスチナ 解のない方程式
テロと報復の「負の連鎖」
シオニズムの発生
イギリスの“三枚舌”
イスラエル建国
六日間戦争
オイル・ショック
湾岸戦争とオスロ協定
ラビン暗殺
第3章 サウジアラビアとイエメン 聖地の足元に拡がる火
復古的イスラム国家
「両刃の剣」としてのイスラム
イラン王政末期にも酷似
シバの女王の国
南北統一と内戦の勃発
オサマ・ビンラディンの父
第4章 イラン 「宗教」から「民族」へ帰る日
なぜイラン革命が起こったか
宗教体制に対する不満
ハタミ大統領の登場
ブッシュ政権の敵意
「イスラム」から「イラン」へ
第5章 トルコ ヨーロッパと中東の間で
「入欧」から「入亜」へ?
「トルコ人」とは何か
ギリシャとの確執
欧州の「拒絶」が生んだイスラム化
引き裂かれるアイデンティティ
第6章 クルド 中東最大の「少数民族」
中東第四の民族
トルコとクルド
イラクのクルド問題
イランにあった「幻のクルド共和国」
第7章 アフガニスタン なぜタリバンが生まれたか
文明の十字路
民族の博物館
英露の綱引き
ソ連の侵攻とムジャヒディン・ゲリラ
タリバン台頭の理由
新政権の脆弱な基盤
第8章 カシミール 核戦争の発火点?
印パ独立の際の忘れ物
第一次印パ戦争勃発
ムジャヒディンの影響
知られざる「第四次印パ戦争」
インドで高まるヒンドゥー至上主義
第9章 中央アジア シルクロードのイスラム過激派
八世紀からイスラム化
ロシアの進出
ソ連時代より悪化する経済
過激派が台頭するウズベキスタン
深刻な水資源問題
新疆ウィグルの不穏
第10章 カフカス ロシアとチェチェンの二百年戦争
ロシア内のムスリムとは
カフカス征服戦争
スターリンの抑圧
イスラム過激派の浸透
ロシアとグルジアの対立も
第11章 東アフリカ 中東の最も柔らかい下腹部
狙われるケニア
過激派のネットワーク
ビンラディンの第二の故郷
南北の長期内戦
アフリカの角
「アフガン化」するソマリア
第12章 マグレブ三国 フランス支配が遺した混迷
「日の没するところ」
フランス支配とは何だったのか
逆走するアルジェリア
負のスパイラル
西欧化ゆえの悩み
モロッコの回帰
コラム
「中東」とは何か
「アラブ人」とは誰か
王制・首長制の湾岸六カ国
スンナ派とシーア派
オスマン帝国の興亡
中東の「少数民族」
イスラム原理主義とイスラム過激派
イスラム教はなぜ拡がったのか
イラン系とトルコ系
大国に翻弄されたアルメニア民族
世界のイスラム国家

あとがき
主要参考文献

蘊蓄倉庫

「アラブ人」って誰?

 中東最大の民族は「アラブ人」ですが、これは人種的な概念ではありません。「アラブ人」の根拠となるのは、アラビア語を話し、イスラムを信仰するという「アラブ性(ウルーバ)」です。スーダン北部のムスリム(イスラム教徒)たちは人種的にはニグロイドですが、アラビア語を話し、自らを「アラブ人」だとしています。
 ところが話はややこしい。「アラビア語を使うがムスリムではないアラブ人」もいれば「アラビア語を話さないがムスリムのアラブ人」もいるからです。イラク・フセイン政権のアジズ副首相やエジプト出身のガリ元国連事務総長はキリスト教徒。一方、英語やイタリア語が話されるソマリア、フランス語が話されるジブチは、国民の大多数がムスリムで「アラブ連盟」にも加盟しています。「ウルーバ」というファジーな概念に依拠しているため、「アラブ人」の定義も極めて曖昧なのです。

掲載:2004年6月25日

担当編集者のひとこと

火薬庫の読み方

 中東は複雑で分かりにくい──。おそらく、そんな風に思っている方は多いのではないでしょうか。フセインの独裁はなくなったのになぜイラクの混迷は続くのか。イスラエルとパレスチナの紛争はなぜ終わらないのか。いまになってなぜイスラム過激派が猛威をふるっているのか。チェチェン紛争に解決の糸口は見つかるのか……。中東からは日々、大量のニュースが流されていますが、こうした報道は「そもそもなぜ」という基本的な疑問にはなかなか答えてくれません。ならば「現在を理解するための中東入門書」を作ったら便利ではないか──。そんな発想から生まれたのがこの『中東 迷走の百年史』です。 この本では、中東で焦点となっている十二の国・地域を選び出し、この百年の歴史を中心に出来るだけコンパクトに解説しました。あくまで現在を知る上で必要な歴史の提供に努めています。中央アジアや東アフリカ、カシミールなど、通常の意味では「中東」に含まれない地域も入っていますが、これらはいずれもイスラム圏の今後を占う上で重要と判断したためです。
「使い勝手」を考え、編集上もいくつか工夫を施しています。全体で十二ある章はそれぞれ独立しており、各章の扉にはその章で扱う国・地域の地図、及び基礎データを盛り込んであります。どの章からでも読み始められる構成になっています。
 大学の一般教養課程の「教科書」としても、社会人のための手軽な入門書としても格好の一冊ですが、出来れば手元に「常備」して頂き、日々のニュースで疑問が生じた際にでもご活用頂ければ、担当者としてこれ以上嬉しいことはありません。

2004年6月刊より

2004/06/18

著者プロフィール

宮田律

ミヤタ・オサム

1955(昭和30)年山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。1983年、慶應大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院修士課程(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治研究、イラン政治史。『現代イスラムの潮流』『中東 迷走の百年史』など著書多数。

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