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韓国人は、こう考えている

小針進/著

770円(税込)

発売日:2004/12/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

憧れの恋人か? 不快な隣人か? 無視できない「彼ら」の本音とは――。

一番嫌いな国は「日本」。でも、一番見習いたい国も「日本」。一番好きな国は「米国」なのに、若者の反米感情は強く、日本ファンが多い。北朝鮮にシンパシーは持っていても、統一は無理だと思っている。政治的、経済的、文化的にも日本に大きな影響を与える韓国。一体、彼らの本心はどこにあるのか? W杯共催や韓流ブームはどう受け止められているのか。様々な世論調査や現地調査の結果から読み解く韓国人の本音。

目次
まえがき
第1章 韓国人は今、日本人をどう見ているのか
共催W杯でも反日?
衝撃だった日本人の「韓国応援」
新たな「嫌韓」も
実は好感度トップの日本
日韓は「普通の国と国」になれるのか
対日報道問題点の過去と現在
日韓のマスコミ報道比較
第2章 韓国人は中国・米国をどう見ているのか
小学生までが「米国は悪い国」
危険水位の反米感情
女子中学生轢死事件
盧武鉉大統領の対米意識
「自主外交派」対「韓米同盟派」
在韓米軍削減をめぐる世論
米軍が「日本の侵略」を防ぐ?
中国脅威論が無い不思議
「親中国」の理由
「位負け」の危険性はらむ対中国意識
第3章 韓国は北朝鮮をどう見ているのか
金泳三元大統領の「特別講義」
金大中前大統領は韓国人を「腑抜け」にした?
若者世代は「親北反米」
対北政策は大統領選の争点にならない
日本の「反北朝鮮」への反感
アンビバレントな感情
警戒心は増加
第4章 北朝鮮は韓国をどう見ているのか
米帝の植民地、暗黒の南朝鮮社会
南でも尊敬される金正日総書記?
外国語辞典の例文まで反米
南北会談以降、「反日」を強調
韓国社会のインターネット犯罪を詳報
漏れはじめた「豊かな南」情報
第5章 「統一コリア」を韓国人はどう見ているのか
「統一」という名の「分断固定化」
南北会談は金で買われた?
「脅威ボケ」の意識
北と一緒にならない選択肢としての太陽政策
あまりに違う南北の現代文化
「統一不可能」がトップ
統一コストは一兆ドル
深刻化する「南南葛藤」
「わが民族」を強調する北
第6章 世代対立と異議申し立て社会
盧武鉉ファンクラブに八万人
対日観にも大きな変化をもたらす
二〇三〇と三八六
「二○三○」世代と「五○六○」世代
それでも根強い「血縁・地縁・学縁」
「異議申し立て社会」とは
「異議申し立て」としての反日
韓国社会が「親切」になった理由
異議申し立て社会に未来はあるか
あとがき

コラム
(1)われこそが「元祖韓国ドラマファン」
(2)入試問題は難しくても、簡単でも怒る
(3)子供は皇帝
(4)喫煙と飲酒に異議続出

書誌情報

読み仮名 カンコクジンハコウカンガエテイル
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610095-6
C-CODE 0225
整理番号 95
ジャンル 政治、社会学、地理・地域研究
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/01/27

蘊蓄倉庫

日本人は嫌われているのか?

「冬のソナタ」以来、韓国に好感を持つ日本人は確実に増えました。好感などという生易しい言葉では表現できない行動を取る婦女子の姿もよく目にします。こっちはそうですが、あっちはどうなんでしょうか。今年9月、韓国紙『中央日報』が実施した世論調査では、「嫌いな国」のトップに日本が選ばれたそうです。勝手に熱を上げているのは日本人だけみたいで悲しい気持ちになるかもしれません。でも、実は別の調査では「日本に好感を持つ」という韓国人が50%以上もいて、特に若い世代では70%を超えているのです。ではなぜ「嫌いな国」のトップになるのか。このへんに、彼らの国民性があるようです。その心理は本書をお読みいただければわかります。

掲載:2004年12月24日

担当編集者のひとこと

よく似ている人

 先日、『オールド・ボーイ』という韓国映画を見ました。これは今年、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲った映画です。原作は日本の同名マンガですが、舞台は韓国、登場人物も韓国人に変更されています。
 前評判通りの出来で「今の日本映画でこれより面白いものはないのではないか」と思いました。別に映画関係者でもないのに、何となく悔しささえ感じました。韓国映画が次々日本でヒットするのは、単にブームとかそういうことではなく、質が高いからなのだろうと思います。
 しかし、その一方で韓国映画を見ていると、ついつい気になってしまうことがあります。完全にこちらが悪いのですが、どうしても「この役者は日本のあの人に似ているなあ」という連想ゲームを始めてしまうのです。『オールド・ボーイ』の主役はハウンドドッグのヴォーカルに見えてきたし、敵役は千原兄弟の弟のほうに見えてきました。韓国ドラマを見ても、ついつい「これは藤田朋子」「これはお笑いコンビ、ハローバイバイの人」「これはカルロス・トシキ」とやってしまいます。
 それもこれもやはり見た目が日本人とよく似ているからでしょう。サスペンス映画の際には、この連想ゲームがプラスになることはないのですが、親しみを持つという点では役立つような気がします。
「韓流」ブームということで、韓国への親しみが強くなった方は多いでしょう。しかし、そんな最中でも、韓国の世論調査では「一番嫌いな国は日本」という結果がでました。そこだけを見ると、なんだか勝手に片思いをして盛り上がっているみたいで寂しい気もします。
 でも実は、近い時期の別の調査では「最も見習いたい国は日本」という結果も出ています。こうなると「なんだ、向こうも嫌いなふりをしつつ、本当はこっちが気になってるんじゃないか」とも思えます。
 韓国人たちは今、どんなふうに考えているのか。できるだけ客観的なデータをもとに書かれたのが『韓国人は、こう考えている』です。隣人を愛するにせよ、嫌うにせよ、彼らの本音を知っておいて損はありません。

2004年12月刊より

2004/12/20

著者プロフィール

小針進

コハリ・ススム

1963(昭和38)年千葉県生まれ。東京外国語大学朝鮮語学科卒、韓国・西江大学公共政策大学院修士課程修了、ソウル大学行政大学院博士課程中退。外務省専門調査員(在韓大使館勤務)などを経て、静岡県立大学国際関係学部助教授。著書に『韓国と韓国人』(平凡社新書)など。

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