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横井小楠―維新の青写真を描いた男―

徳永洋/著

748円(税込)

発売日:2005/01/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

坂本龍馬が師と敬い、勝海舟が恐れた鬼才!

勝海舟曰く「おれは今までに天下で恐ろしいものを二人見た。横井小楠と西郷南洲だ」。日本史の教科書でもろくに取り上げられず、幕末もののドラマで登場することもほとんどない。しかし小楠こそ、坂本龍馬や西郷隆盛をはじめ、幕末維新の英傑たちに絶大な影響を与えた「陰の指南役」であった。早くから現実的開国論を説き、東洋の哲学と西洋の科学文明の融合を唱え、近代日本の歩むべき道を構想した鬼才。その生涯を追う。

目次
はじめに
第一章 いかにして開国論者になりしか
熊本藩士の次男として
藩校・時習館の塾長に
江戸への遊学
水戸学の藤田東湖
酒失で帰藩
実学の提唱
私塾「小楠堂」を開く
諸国遊歴
吉田松陰と会談
親友、妻子との永別
開国論を提唱
第二章 福井藩の賓師に招かれる
「砂中に金を得た心地」
再三にわたる招聘懇願
橋本左内の刑死
藩内の動揺
殖産貿易に成功
「国是三論」を著わす
高杉晋作は長州招聘に
春嶽の復帰
勝海舟との出会い
帰国と榜示犯禁
第三章 幕政改革の切り札として
急きょ江戸に向かう
「国是七条」を提出
初対面から意気投合した龍馬
「攘夷三策」建白と「公武合体」提唱
士道忘却事件
第四章 秘策「挙藩上洛計画」
「処時変議」と「朋党の病」
春嶽父子の取った乾坤一擲
しかし計画は頓挫に
龍馬の福井訪問と謎の手紙
八月十八日のクーデター
第五章 日本を道義国家に
帰国し罪を待つ
福井からの救恤
読書と思索の日々
沼山津を訪れた龍馬
勝海舟に贈った『海軍問答書』
卓絶した思想の記録
「大義を四海に布かんのみ」
アメリカに送った手紙を発見
第六章 新政府の参与に就く
「国是十二条」を福井藩に提出
岩倉具視の召命により
龍馬が語ったこと
参与を拝命する
明治天皇に目見える
「中興の立志七条」を朝廷に提出
京都での交友
第七章 小楠の魂は死なず
小楠、暗殺される
刺客は逮捕されたが
暗殺黒幕の公卿
『天道覚明論』なる書
一年十か月後の決着
熊本の維新
底知れぬ感化力
神風連の乱
志を継いだ女性たち
「早すぎた思想家」
参考文献リスト

横井小楠に関する年譜

書誌情報

読み仮名 ヨコイショウナンイシンノアオジャシンヲエガイタオトコ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610101-4
C-CODE 0221
ジャンル 哲学・思想、ノンフィクション、日本史
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/01/27

蘊蓄倉庫

日本のあるべき姿「富国有徳(ふこくゆうとく)」

 かつて故・小渕恵三元首相は、施政方針演説で次のように語った。
「富国有徳の理念の下、明日の日本のあるべき姿に向けて、創造へ挑戦する……」
 小渕元首相は他でもことあるごとに、この「富国有徳」という言葉を口にしていた。どうやら元首相なりの、日本の目指すべきモットーだったようである。
 実はこの「富国有徳」は、幕末維新期の思想家、横井小楠が生み出した理念だった。
 横井は、早くから現実的な開国論を説き、東洋の哲学と西洋の科学文明の融合を唱え、近代日本の歩むべき道を構想した。その壮大なスケールから西郷隆盛や勝海舟をはじめ幕末の英傑たちは挙って思想的に影響を受けた。言わば維新の「陰の指南役」であった。
 しかし残念なことに、横井の名は日本史の教科書でもろくに取り上げられず、幕末もののドラマで登場することもほとんどない――。幕末の偉人たちに劣らぬ型破りな考えと生き方を全うした男、その生涯をとくとご覧あれ!

掲載:2005年1月25日

著者プロフィール

徳永洋

トクナガ・ヒロシ

1950(昭和25)年熊本市生まれ。熊本商科大学卒業。日本銀行に勤務。その傍ら、横井小楠に関する資料収集に励み、熊本・福井両市で「横井小楠と福井の人々展」を企画するなど、研究、顕彰活動を長年にわたり続けている。共著に『横井小楠のすべて』。

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