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夢と欲望のコスメ戦争

三田村蕗子/著

748円(税込)

発売日:2005/03/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

原価では測れない、その「価値」――。女の理不尽、ここに極まれり。

奈良の女帝から平成のコギャルまで、いつの世も女たちは美を追い求めてきた。華やかな宣伝と魅力的なパッケージによって、時には純金より高価でも、人類の半数を惹きつけてやまない化粧品。水面下では、貪欲で気まぐれな消費者とメーカー、小売店の熾烈な知恵比べが繰り広げられる業界でもある。「美白」「ガングロ」「目力」など身近なキーワードを通じて、世相を映し流行を生みだす化粧品世界の舞台裏に迫る。

目次
はじめに
第1章 色の白いは七難隠す
美白の伝道師
白肌志向は日本の伝統
無鉛白粉の登場
和装から洋装へ
もんぺと白粉
夏メイクと冬メイク
紫外線がこわい
厚労省通達の謎
100円ショップとコギャル
キッズコスメの台頭
ガングロの世界性
「毛穴のない肌」信仰
第2章 見果てぬ夢――落ちない口紅
ツキ、モチよく
赤に始まり、赤に終わる
機能も付け心地も
落ちない戦線の勝者
陰の大立者OEM
便利なはずが
永遠の課題
第3章 「目力」への情熱
目力とは何か
大きいことはいいことだ
日本人仕様の登場
マスカラ百花繚乱
進化する目元化粧品
筆記具メーカーの叡智
目は口ほどに物を言う
第4章 ナチュラルという呪文
すっぴんメイクの不思議
黒皮症騒動の後遺症
元祖自然派の苦悩
白衣の魔力
敏感肌と通販化粧品
「無添加」のイメージ
行政指導もなんのその
化粧品のベジタリアン
食品分野への進出
第5章 過熱する不老願望
金より高い化粧品
美容を科学する
機能性化粧品の代名詞
加齢への危機感
ラインからメリハリへ
数十年後の理想肌
ドクターズコスメのご利益
原価と付加価値
第6章 百貨店の舞台裏
東の伊勢丹、西の阪急
熾烈な駆け引き
限定商品の効果
外商部の意外な貢献
美容部員のお仕事
通販なのに店頭販売
銀座の力
第7章 華麗なる情報戦
3点セットの時代
CM渡り鳥
女性誌を埋め尽くせ
読ませる広告
あの手この手の接待攻勢
美容ジャーナリストの役割
「悪口」は禁物
カリスマ・スポークスマン
スキャンダルで販促
張り巡らされた欲望喚起装置
あとがき

主要参考文献

書誌情報

読み仮名 ユメトヨクボウノコスメセンソウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610109-0
C-CODE 0263
整理番号 109
ジャンル 産業研究、サイエンス・テクノロジー
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/11/25

蘊蓄倉庫

もんぺとメイク

「パーマネントはやめませう」という、有名なコピーがあります。これは戦時中においても、「美しく装いたい」という女性たちのニーズが、わざわざ禁じねばならないほど強かったということではないでしょうか。
 日米開戦の昭和16年に発行された「文部省制定 昭和の国民礼法」では「化粧は目にたゝない程にする」と、化粧を認めています。むしろこの時期には、下地クリームと一体になって手順を簡略化した白粉や、持ち歩いてもこぼれにくいよう工夫された白粉など、実状に即した新製品が誕生しました。
 化粧品の出荷額がマイナスに転じたのは、なんと昭和18年から20年という太平洋戦争も末期の3年間だけ。美にかける女性のこの情熱と執念とをもってして、やがてグラム単価が金よりも高い化粧品がもてはやされるようになりました。

掲載:2005年3月25日

著者プロフィール

三田村蕗子

ミタムラ・フキコ

1960(昭和35)年福岡市生まれ。津田塾大学学芸学部卒業。マーケティング会社、出版社等を経てフリージャーナリストに。流通業、化粧品業界を中心に、ビジネス全般を幅広く取材。ビジネス誌に多数寄稿。著書に『ブランドビジネス』など。

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