虎屋 和菓子と歩んだ五百年
792円(税込)
発売日:2005/08/14
- 新書
- 電子書籍あり
光琳が贈った、西鶴が書いた、渋沢栄一が涙した――。「人」で味わうお菓子の日本史。
室町時代に京都で創業し、五世紀にわたり和菓子の最高級ブランドであり続けてきた虎屋。羊羹で知られる老舗の顧客は、歴代天皇や皇族をはじめ、将軍、大名、財閥や陸海軍、やがては大衆へと広がっていった。それはまさに、時代の中心の変遷でもある。虎屋の菓子を愛した人々と、その菓子を創り守った人々のエピソードを通じて十七代当主が綴る「人と和菓子の日本史」。
後陽成天皇と秀吉
最古の販売記録
和菓子の歴史
光格天皇の行幸
御銘頂戴
宮中行事の折々に
皇女和宮の月見
天皇と庶民をつないだ饅頭
明治天皇の甘味好き
皇居炎上と店舗移転
葉山の大正天皇
東宮の行啓と戦時の御用
昭和天皇を偲んで
アルプスに登った羊羹
菓子博名誉総裁
元旦のご挨拶まわり
食籠と井籠
注文を辞して褒められる
茶人たちのご贔屓
熊本・細川家の京菓子
黄門さまの巨大饅頭
吉良上野介とカステラ
光琳の美意識
将軍と菓子
和宮の陣中見舞い
最後の将軍のご注文
渋沢家三代
財閥と御前菓子
岩崎小彌太夫人のアイディア
ゴルフ最中の人気
海外、そして陸海軍へ
戦時下の茶の湯
各界の食通
西鶴と「虎屋のようかん」
嘉祥から和菓子の日へ
突然の珍客
鉄斎の遺産
『お菓子たより』の華やかさ
海の勲、陸の誉
空襲で溶けた羊羹
羊羹、南極へ行く
東大紛争を解決したもの
ブレア夫人の工場見学
海外での和菓子紹介と研修生
手提げ袋と平成のお通箱
先祖を探して
山科とのかかわり
朝廷とともにした苦楽
江戸時代の労務管理
大切にされた奉公人
幕末の好景気
京都から東京へ
東京店開祖
家系と和菓子の研究
東大出の羊羹ねり
辣腕経営と政界進出
商店から株式会社へ
パリに根付いた日本文化
最良の原材料を求めて
文化と科学
和菓子の将来
主要参考図書
書誌情報
読み仮名 | トラヤワガシトアユンダゴヒャクネン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610132-8 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 132 |
ジャンル | 暮らし・健康・料理 |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/24 |
蘊蓄倉庫
室町時代に京都で創業し、明治維新とともに東京に進出した和菓子の名店・虎屋。永らく御所御用を勤めた同店の顧客リストには、錚々たる顔ぶれが名を連ねています。
水戸黄門こと徳川光圀公もその一人。元禄十三年、黄門様が友人の公家・中院通茂の誕生日のために注文したのは、百個のお饅頭でした。しかもその重さは、年齢にちなんで各七〇匁(二六〇g)。現在の標準サイズの約五倍に相当します。
紅で「ふく寿」の文字が書かれたこの巨大饅頭は、長いろうそく、長い素麺、長い線香という、長寿を祝う品々とともに贈られたそうです。
担当編集者のひとこと
羊羹2切れ分
甘党の方への贈答品の筆頭といえば、なんといっても虎屋の羊羹ではないでしょうか。室町時代に京都で創業し、現在では東京に本社を移し海外にも進出している同社は、老舗高級和菓子店の代名詞です。 その歴史を十七代当主が綴った本書には、日本史を飾った錚々たる面々が登場します。永く御所御用を勤めたことから歴代天皇はもちろん、水戸黄門に吉良上野介、尾形光琳、井原西鶴、皇女和宮、徳川慶喜、渋沢栄一、岩崎小彌太、牧野富太郎、南極越冬隊に池波正太郎などが挙げられます。
ちなみに本書は税込み714円ですが、虎屋の羊羹は大棹(24.5×6.0×7.0cm、1.50kg)で5040円。つまり1冊で羊羹0.14本、薄めの2切れ程度でしょうか。確かにお腹はふくらみませんが、これで500年分の歴史が楽しめるのは、かなりお値打ちだと思います。
2005年8月刊より
2005/08/20
著者プロフィール
黒川光博
クロカワ・ミツヒロ
「虎屋」代表取締役社長。1943年、東京都生まれ。虎屋十七代。学習院大学法学部を卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)勤務を経て1969年、虎屋に入社した。1991年より同社代表取締役社長に。全国和菓子協会会長、全日本菓子協会副会長、一般社団法人日本専門店協会会長等を務めた。著書に『虎屋 和菓子と歩んだ五百年』がある。幼少より親交のあった寛仁親王殿下のご著書『今ベールを脱ぐ ジェントルマンの極意』では服飾談義を展開している。東京在住、一男二女の父。