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ドクター・ショッピング―なぜ次々と医者を変えるのか―

小野繁/著

748円(税込)

発売日:2005/09/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

あなたの“病気”は治ります。

「頭が重い」「胃が痛む」「激しい動悸がする」など、はっきりした身体症状があるのに、病院で診察を受けると、検査の結果は「異常なし」。そんなはずはない、と患者は、別の医師、別の病院へと足を向ける。幾つもの診療科や病院を次々と渡り歩く行為、ドクター・ショッピングの始まりである。医療の高度化、細分化がもたらしたこの悪循環を断ち切るのは心身医学的医療、全人的医療をおいて他にはない、と本書は力説する。

目次
はじめに
第一章 パニック障害に見るドクター・ショッピング
医師にはわからなくても、体験者にはわかる病気
パニック障害と日常生活
パニック発作に見舞われた人
発作時における「専門医」の問題
的確な診断でストップできる
第二章 顔面、頭頸部に多いドクター・ショッピング
頭頸部心療科
顔面、頭頸部に関わる診療科の多さ
歯が痛いと肩がこる
呑気症とは
呑気と「噛みしめ」
呑気と噛みしめがもたらす症状
第三章 病気に取り組む医師の姿
心が病んでいる
医師が決める病気
正常を探さず、病気だけを探す姿勢
患者が決める病気
「気になることが病気」の人たち
育った畑で異なる医師の考え方
攻めの医療
守りの医療
支えの医療
インフォームド・コンセント
セカンド・オピニオンの勘違い
検査と医原病
第四章 病気の表現
言語メッセージと身体メッセージ
身体表現にみるメッセージ伝達法
心の痛みを身体で表現する
「全身倦怠感」という言葉
見落とされる「うつ状態」で起こる身体症状
病気表現のむずかしさ――ある診察風景
「気のせい」と心身症
第五章 不定愁訴
不定愁訴と自律神経失調症
本当に自律神経失調症か
第六章 ストレスからくる病気
トリガーポイント
原因の治療と結果の治療
なる病気、されてしまう病気――身体医学と心身医学
ストレスの中に生きる人間
ストレスの許容量
単身赴任によるストレス
「これさえなければ病」になる人
ストレスから生まれた「からだ言葉」
第七章 加齢と病気の境目で
アンチエイジング
アンチエイジング医学への期待
健康食品で長生きができるか
加齢とともに起こる身体の変化
加齢に基づく病気感
身体と心
第八章 ドクター・ショッピングと現代医療の問題点
医者の今昔
ドクター・ショッピングで健康が買えるか
答えのすり替えが医原病へ
ドクター・ショッピングの行方
代替医療へ移行するとき
ドクター・ショッピングの現状
ドクター・ショッピングをする人
身体医学的治療から心身医学的治療へ
ドクター・ショッピングへの対処
ドクター・ショッピングと名医
全人的医療をおこなう心療内科の必要性
おわりに

書誌情報

読み仮名 ドクターショッピングナゼツギツギトイシャヲカエルノカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610134-2
C-CODE 0247
整理番号 134
ジャンル 科学
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/02/24

蘊蓄倉庫

次々と専門を変えた医者

 東京医科歯科大学は全国でも珍しい体制をとっています。というのは、歯学部に入学した学生も教養課程においては医学部の学生と一緒の講座を受講することです。教養課程を終えたあとは、それぞれ受験時に選択した学部に進学するのです。『ドクター・ショッピング─なぜ次々と医者を変えるのか─』の著者・小野繁氏が歯学部を卒業したあと、歯科医師たることに満足せず、あらたに札幌の医科大学に入学し直したのは、教養学部での医学との触れ合いがあったためかもしれません。
 歯学と医学の両方を修めたという珍しい経歴の氏が長年の医療活動で痛感したことのひとつは、歯学と医学の距離の隔たりです。歯学は医学を知らず、医学は歯学を医療とは見ていない、という両者の交流のなさです。小野医師は、両者を修めた医師として、全人的医療の大切さに思い至りました。その内容は本書をお読みください。

掲載:2005年9月22日

著者プロフィール

小野繁

オノ・シゲル

1941(昭和16)年横浜市生まれ。東京医科歯科大学歯学部、及び札幌医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学、横浜市立大学の各医局を経て、現在東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授。著書に『人の体はどこまで再生できるか』『キズをきれいに治す』など。

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