
ろくろ首の首はなぜ伸びるのか―遊ぶ生物学への招待―
770円(税込)
発売日:2005/12/16
- 新書
- 電子書籍あり
ドラキュラ、人魚、モスラ、カオナシ、ケンタウロス……。最新生物学で正体を暴く!
ドラキュラはなぜ日光で灰になってしまうのか。モスラはどうやって呼吸しているのか。人と魚が合体して人魚になる過程、カマイタチの鎌の成分、カオナシが食べた生物の声になるメカニズムとは――。古今東西の「架空生物」の謎を最新生物学で解き明かす。読み進むうちに頭が柔らかくなること間違いなし。仮想と現実、冗談と本気、奇想と学問が大胆に結合した「遊ぶ生物学」がここに誕生!
第二話 ケンタウロス――人間の胴体はどのように馬からつながったか
第三話 豆狸――陰嚢はどのように広がったか
第五話 カオナシ――食べた生物の声をどのようにして出せたか
第六話 人魚――ヒトと魚の体はどのように融合したか
第八話 カマイタチ――前肢の鎌はどのようにして出来たか
第九話 皿かぞへ――井戸から出てくる皿はなぜ九枚か
第十一話 オオツキヒカリ――植物はどのように透明になったか
第十二話 赤えいの魚――魚はどのように巨大化したか
第十三話 目目連――障子にどうして目が出来たか
第十五話 モスラ――ガはどのように巨大化したか
第十六話 蜃――ハマグリはどのように気を吐くか<
主な参考・引用文献
イラスト作成における参考文献
図版出典
書誌情報
読み仮名 | ロクロクビノクビハナゼノビルノカアソブセイブツガクヘノショウタイ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610148-9 |
C-CODE | 0245 |
整理番号 | 148 |
ジャンル | 生物・バイオテクノロジー |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/24 |
蘊蓄倉庫
『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか―遊ぶ生物学への招待―』には、相当嘘が含まれています。いわゆる教養新書で「嘘ばっかり」というのも気が引けるのですが、本当だから仕方ありません。本書は、妖怪や怪獣など様々な架空生物が「実在したとしたら」、きっと「こんな構造に違いない」と想像をして楽しもうという本なのです。従って、かなり冗談やホラが含まれているのです。その冗談含有率は教養新書のなかでもトップクラスであると思います。
担当編集者のひとこと
ものすごくへんないきもの
『へんないきもの』という本が少し前にベストセラーになりました。実在する奇妙な生き物を紹介したイラスト入りの楽しい本です。
しかし、よく考えると私たちが「へん」だと思っていない生き物も、単に見慣れたからそう思わなくなっただけなのではないかという気がします。象もキリンもカバも十分に「へん」です。何であんなに耳が大きかったり、首が長かったり、太っていたりするのでしょう。
そう考えると、あらゆる生き物は個性的ですし、「へん」なものばかりです。逆に考えると、「こんな生き物いるわけないよな」と思うような怪獣、妖怪の類だって、実在しても不思議はないのではないか。そんなふうにも思えるのです。 本書『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか―遊ぶ生物学への招待―』は、古今東西の架空生物たちの構造を考えてみよう、という本です。かっこよくいえば、一種の思考実験ということになります。ただし、根拠の無い想像ではなく著者は出来る限り生物学の知識を駆使して、様々な謎に挑んでいます。
「ドラキュラはなぜ日光にあたると灰になるのか」「モスラはどうしてあんなに巨大化できたのか」「カオナシが飲み込んだ生き物の声になってしまうのはなぜか」等々。
いずれも考えなくても生活にはまったく支障の無い謎ばかりです。「すぐに生活に役に立たない本は要らない」という方にはお勧めしません。
しかし、本書を読めば、こういうことを想像するのは実に楽しい、そう思わずにはいられなくなるはずです。
本書はSF、怪談、ファンタジーと生物学がまさに「ぬえ」や「人魚」のように合体した、唯一無二の読み物なのです。
2005年12月刊より
2005/12/20
著者プロフィール
武村政春
タケムラ・マサハル
1969(昭和44)年三重県津市生まれ。名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。東京理科大学大学院科学教育研究科准教授。専門は分子生物学、生物教育、複製論。著書に『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』『脱DNA宣言』『DNAの複製と変容』など。