ある北朝鮮兵士の告白
748円(税込)
発売日:2006/07/19
- 新書
- 電子書籍あり
盗んだ。逃げた。襲った。世界一奇妙な軍隊生活の実態!
食料が足りなければ農家を襲い、肉が食いたければ豚を盗む。上官に取り入るには賄賂を渡す。恋に破れた男は大量殺人のあげくに自爆死。脱走した兵士は自動車強盗を働く……。朝鮮族の研究者である筆者が中国で出会った脱北者から聞いたエピソードの数々。立身出世の夢を持って入隊した軍隊での生活は想像を絶するものだった。一人の北朝鮮人兵士が十年にわたる軍隊生活のすべてを包み隠さず語りつくした貴重な記録。
書誌情報
読み仮名 | アルキタチョウセンヘイシノコクハク |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610174-8 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 174 |
ジャンル | 文学・評論、軍事、社会学、ノンフィクション、地理・地域研究 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2012/02/24 |
蘊蓄倉庫
『ある北朝鮮兵士の告白』によると、北朝鮮の軍隊では、防寒手袋のことを「セイコー」と呼んでいたそうです。日本の時計メーカー、セイコーの腕時計は同国では高級かつ貴重な品でした。そこから転じて、軍隊では希少価値のあった防寒手袋をこう呼ぶようになったそうです。セイコーさんにとっては名誉というよりはいい迷惑でしょう。
担当編集者のひとこと
これが軍隊なのか?
『ある北朝鮮兵士の告白』の原稿を最初に著者の韓景旭さんからお預かりして読んだときの感想は次の2つでした。
「これは実話なのだろうか?」
「これは本当に軍隊なのだろうか?」
出てくるエピソードがあまりにも常識を超えたものばかりだったからです。 ・食料が足りなくなると、近所の農場に豚を盗みに行った。
・食器を紛失したので、近所の自動車学校に盗みに行った。
・いろいろあって嫌になって軍隊を脱走して放浪するが、結局頭を下げてもう一度入れてもらった。
・女性兵士との恋愛がばれて降格処分に遭った男性兵士が、銃を乱射して女子兵を射殺したのちに、戦車を乗っ取って大暴れした挙句に自爆した。
いずれも現代の普通の軍隊では考えられないような話でした。何だか民話か怪談のような感じすらしました。
これらの話を著者の韓さんは中国で出会った一人の脱北者から根気良く長時間聞き取ったのです。彼の好物でもある茹で卵をつまみにして酒を飲みながら、ということもあったそうです。
残念ながら、この脱北者とは現在連絡が取れなくなっています。韓さんは、またいつか茹で卵を肴にして、「彼」と話ができる日が来ることを願っています。
2006/07/01
著者プロフィール
韓景旭
カン・ケイキョク
1966年、中国東北部に生まれる。高校卒業後、留学のために来日。中京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。1998年から福岡市に移住。現在は西南学院大学国際文化学部教授。著書に『韓国・朝鮮系中国人=朝鮮族』(中国書店)などがある。