ホーム > 書籍詳細:カウンターから日本が見える―板前文化論の冒険―

無上の喜びと心地よい緊張感。この日本的空間こそ世界に誇る文化だ!

カウンターから日本が見える―板前文化論の冒険―

伊藤洋一/著

748円(税込)

本の仕様

発売日:2006/09/19

読み仮名 カウンターカラニホンガミエルイタマエブンカロンノボウケン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 190ページ
ISBN 978-4-10-610183-0
C-CODE 0236
整理番号 183
ジャンル 暮らし・健康・料理
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/11/25

座敷もテーブルもいい。しかし和食の醍醐味はなんと言っても“カウンター”だ。職人である板前さんが目の前にいる世界、そして一流の料理人の手捌きを見ながら食事ができる楽しみ。それは誰がいつ、何故始めたのか? その時の社会と経済は? 日本にしかないのは何故? これらの疑問をまじめに追究。見えてきたのは「斬新なアイデア」であり、「大切にすべき日本文化の一つの形」だった。ひと味違った料理文化の本です。美味しくご賞味を!

著者プロフィール

伊藤洋一 イトウ・ヨウイチ

1950(昭和25)年長野県生まれ。三井住友トラスト基礎研究所主席研究員。早稲田大学政治経済学部卒業。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とし、現場に赴いての分析・思考を本領とする。著書に『ほんとうはすごい!日本の産業力』など。

目次

板をはさんだ日本的空間
第一章 それは色街でスタートした
フリーのスター板前がいた
大阪新町廓の活気と色気
高級な即席御料理という驚き
お座敷へのアンチテーゼ「浜作」
第二章 震災後の発展する東京へ
本当は、競馬がしたかった?
白洲、谷崎から、チャップリン、モンローまで
流通革命の最中に
「カウンター」は「かぶりつき」
第三章 関西による「関東征服」
「関東割烹」はあるのか?
東京には美味いものがなかった
権威が幅をきかす江戸・東京の料理とは
上座下座がないから生まれる関係
第四章 日本にしかないのはなぜか
飲むのではなく、食べるためのカウンター
日本で生まれた五つの理由
職人がスターになれる国
絶対的料理、相対的料理
第五章 カウンター その抗しがたい魅力
客の顔が見たい、客を見送りたい
ロブションの選択と夢は世界に拡がるか
知的バトルが板につく空間
そこは大人だけの成熟した世界
第六章 日本の力の源泉が見える
フラットな形式が示唆するもの
オープンとトレーサビリティ
職人が場の中心
日本の文化が凝縮された場所
あとがき

インタビュー/対談/エッセイ

波 2006年10月号より カウンターが好き!  伊藤洋一 『カウンターから日本が見える ―板前文化論の冒険―』

伊藤洋一

 今とっても恐れていることが一つある。この本を読んだ知り合いから、「ここに連れて行け、あそこに行こう」と繰り返し言われそうなことだ。ある程度は覚悟しているが、繰り返し同じ店に行くのは好きじゃない。馴染みの店もいいが、一方でいつでも新しい店を開拓したい方なのだ。まずはこの場を借りて予防線を張っておきたい。
「食」を扱った本だから、いろいろなレストランは登場する。しかしこの本は料理の本でもレストランの本でもない。何の本かというと食の形としての「カウンター」に関する本である。どこで生まれ、なぜそこは楽しいのか。カウンターで食事をすることを始めて恐らく三〇年以上は経つ。何をやっていたのかと思うのだが、今回本にまとめたことはやっと今年に入って気付いた。「料理カウンターは日本にしかない」と。
カウンター好きである。店の人と仲良くなって、心地よい時間を過ごしたいという気持ちが強いのだと思う。そこで交わす冗談が好きなのだ。フラットな関係が良い。今年初めにインドから帰ってきた直後だった。銀座の萬久満で食事をしながら、「ありゃ、こんなレストランの形式は世界の他の国にはないな」と初めて意識した。インドや中国で自分の食事を作ってくれた人を見たことはない。日本では板前さんが目の前に居る。「面白い」と思った。それがこの本を書くきっかけである。春からちょうど関西テレビの仕事が毎週入っていて、大阪・京都取材をゆっくりできたのも良かった。
一つの表象的な現象(ここでは「カウンターの存在」)は、多くの社会的背景の積み重ね故にある、というのが私の考え方だ。なぜ日本にしかないのか、なぜカウンターには上座下座がないのか。春から夏にかけて取材しているときが一番楽しかった。お金はかかったが、疑問が氷解していくのが面白かった。料理に関してそれほど深い知識がなかったことが、「なぜ」の頻発につながったから一冊の本にまとまったのだと思う。「これはこう」と決めつけていれば、この本は無かった。
ショックだったのは、「食」は関西のものだったことが否定しがたく確実になったことだ。東京には「関西割烹」がいっぱいあるのに、大阪や京都には「関東」、もっと具体的には江戸をウリにする店は僅かに寿司屋だけ。なぜかと以前から思っていたが、今回理由が判明したのも収穫だろうか。考えてみれば、僅か一〇〇年前の世界中の人々は、冷蔵庫もない中、「保存」という制約の下で食事をしていた。今という時代が、何と幸せなことか。
「職人である板前が中心の世界=カウンター」は、はっきり言って日本の誇るべき文化だと思う。内容は、ちょっと「領空侵犯」だったかもしれない。しかし、日経新聞のこの名前を冠した連載は、私の好きな記事の一つでもある。

(いとう・よういち 経済評論家)

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