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十五代二六〇年。将軍に一生を捧げた女達の秘密。

大奥の奥

鈴木由紀子/著

734円(税込)

本の仕様

発売日:2006/11/17

読み仮名 オオオクノオク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 206ページ
ISBN 978-4-10-610191-5
C-CODE 0221
整理番号 191
ジャンル 日本史
定価 734円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2008/11/21

徳川将軍家十五代の歴史は、大奥の女たちを抜きにして語ることはできない。将軍の世継ぎを産むだけの存在ではなく、表の政治にも密接に関わることで、歴史を動かし、時には大きなスキャンダルを起こすこともあった。大奥はいつできたのか? 実際の仕事とはどのようなものだったのか? 給料は? 日常生活は? 引退後の生活は? ベールに包まれてわかりにくい大奥の深奥を、コンパクトにまとめた一冊。

著者プロフィール

鈴木由紀子 スズキ・ユキコ

山形県生まれ。作家。『闇はわれを阻まず 山本覚馬伝』で第四回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。著書に『花に背いて 直江兼続とその妻』『黄金のロザリオ 伊達政宗の見果てぬ夢』『大奥の奥』『最後の大奥 天璋院篤姫と和宮』など。

目次

まえがき
序 章 大奥をのぞき見た人びと
村の庄屋の大奥観光/城内へまぎれこむ者たち/男子禁制の抜け穴/部屋子に男の子?
第一章 大奥の誕生
対立する乳母と生母/大奥総取締に就任した春日局/世嗣を得るためにあの手この手/玉の輿にのる町娘/火花を散らす御部屋様
第二章 終身雇用のキャリアウーマン
大奥に上がるにはコネと金/大奥の職制/大奥女中の給料/老中と老女は同格か
第三章 大奥の暮らし
大奥の構造/将軍の奥入り/不可解な御添寝役/御台所と側室の立場/大奥女中の住まい
第四章 禁裏をまねる大奥ファッション
一日に五回のお召し替え/身分で異なる大奥の服装/式日の髪形はおすべらかし/ふだんの髪形は片はずし/化粧にも「御風違」
第五章 将軍の代替わり
落飾して隠居暮らしの前将軍夫人/思いがけない将軍生母の地位/落飾の身にあるまじきふるまい/意表をついた大奥のリストラ/望まれぬ花嫁
第六章 伝説の大奥女中
尼から側室にされたお万の方/大奥に京風文化をもたらした右衛門佐/生島との醜聞で高遠に流された絵島/智泉院事件の発端となったお美代の方/老中水野忠邦をやりこめた姉小路
終 章 徳川家存続に奔走した嫁姑
将軍継嗣問題/いやいやの降嫁/御所風と江戸風の衝突/身命を賭しての嘆願
あとがき

主要参考文献

歴代将軍正室・側室一覧

インタビュー/対談/エッセイ

波 2006年12月号より ミステリアスな江戸城大奥  鈴木由紀子『大奥の奥』

鈴木由紀子

 フジテレビ系の人気時代劇「大奥」が映画化され、まもなく一般公開される。根強い人気を支えているのは若い女性たちである。それにしても、なぜ大奥がこれほどもてはやされるのか。江戸城本丸の大奥には千人ほどの女中がいた。この巨大な女の世界でくり広げられる反目と嫉妬、陰謀に裏切りといった壮絶なバトルが、ドラマの眼目であり、現代にも投影されたカリカチュアとしてうけとめられているようにも思われる。
昨年出した小説『大奥』では十分に書き切れなかった不満を、このたび新潮新書として刊行する『大奥の奥』にぎゅっと詰め込んだつもりであったが、こぼれ落ちたものを拾い上げてみると、結構面白かったりするので、またもや不満が残る。
本書でもとりあげた上臈御年寄姉小路については、まだまだ興味深い逸話がある。歌川国芳の「きたい(奇態)なめい(名)医難病療治」と題した三枚続きの錦絵の、中央の美人の女医が姉小路だとは容易に想像がつくが、問題は周囲に描かれた患者たちである。なかでも片方の足に下駄をはき、もう一方には草履をはいた妙齢の美女は、四尺足らずで片足が短いとうわさされた御簾中(世嗣家定の二度目の正室)の澄心院秀子(一条左大臣忠良の娘)をモデルにしたものだという。
この花嫁を京都から連れてきたのは姉小路である。じつは一条家の姫君ではなく、替玉だともいわれ、ここから皇女和宮の替玉説が連想され、ベストセラー小説が誕生した。和宮の降嫁をあっせんしたのも、和宮にとっては大叔母にあたる姉小路だったため、また何かたくらんだのではないかと思われたのだ。
和宮替玉説に弾みをつけた、もう一つのミステリーがある。昭和三十三年から三十五年にかけて、増上寺の徳川将軍家墓所の発掘調査が行なわれ、四十二年に『増上寺徳川将軍墓とその遺品・遺体』(東京大学出版会)という報告書が刊行された。それによると、十四代将軍家茂の内柩には、家茂の抜毛らしいと結論づけられた褐色がかった頭髪の束のほかに、光沢のある一束の黒髪が納められていた。これは正室静寛院宮(和宮)の遺体の頭髪とは明らかに異なり、別人のものと見なされた。ではいったい、だれの毛髪なのか。
さらにミステリアスなのは、静寛院宮の墓から発見された副葬品である。遺体の両臂の間に抱かれるように納められていた遺品は、よく見ると一枚のガラス板で、まぎれもなく湿板写真である。しかもそこに写っている人物は、長袴の直垂に立烏帽子を被って立っている若い男子であった。家茂将軍に違いないと驚喜した調査官は、翌日複写しようと、写真を仕事場の台の上に立てたまま帰宅した。翌朝そこに発見したのは、写真の膜面が消えて、素通しになったガラス板だった。
大奥の奥は深い。知るほどに謎は深まるばかりである。

(すずき・ゆきこ 作家)

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秀忠正室、お江与のすごさ

 本書の参考文献の一つに『徳川諸家系譜』という全4巻の史料があります。これは徳川家の本家分家の詳しい家系図集みたいなものです。これを参考に歴代将軍の正室と側室、彼女たちの生んだ子供の一覧表を作成しました。できた表をみてすごいと思ったのは、二代秀忠の正室お江与です。7人の子供を産んでいます。7人の子を生んだのは、11代家斉の側室お蝶、お袖。お八重は8人も生んでいますが、お江与のすごいのは、生んだ7人全員成長したこと。お蝶は7人中2人、お袖は7人中1人、お八重は6人。秀忠の恐妻家ぶりは小説ドラマの題材によくなりますが、お江与は、跡継ぎ家光を遺したばかりでなく、豊臣秀頼の正室千姫、前田利常の正室子々姫、後水尾天皇の中宮東福門院和子など、誕生直後の徳川幕府を支える上で重要な役割を果たした子をなしました。ところで、12代家慶は家康や家斉に匹敵する艶福家で、正側室8人と29人の子をなしましたが、成人したのはたったの2人でした。

掲載:2006年11月24日

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