
迷いと決断―ソニーと格闘した10年の記録―
770円(税込)
発売日:2006/12/20
- 新書
前CEOが自ら語った「出井改革」の真実。
決断するまでは、誰しも迷う。ましてや従業員16万人、売り上げ総額7.5兆円の企業の運命がかかっているのならば……。一社員から、ソニー初の「プロフェッショナル経営者」として社長に就任した著者は、瀕死の状態だったソニーの立て直しに成功する。そして、コーポレート・ガバナンス改革を実践し、精緻な企業戦略を練り上げ、さらなる改革へと突き進むが……。前CEOが、初めて語ったソニー経営の内幕。
目次
はじめに
第1章 「CEO出井伸之」のできるまで
社長になろうと思ったことはない/ソニーのラジオへのあこがれ/井深大と直談判/小学校時代は“ミスター二番手”/ラーメンにカルチャーショック/ソニー・フランスを設立/エンジニアへのレポート/「辞めたい」と思ったのは三度/最大の恩人・岩間和夫/“CDのCD”プロジェクト/ビル・ゲイツとの出会い/ハリウッドを知る/盛田昭夫は80年代の華だった
第2章 「生存率50%以下」の会社
90年からの停滞/垂直産業と水平産業/泥棒からも見放されたベータ/任天堂との決裂から生まれたプレイステーション/社内でのポジションは“異論役”/「次期社長は苦労するだろうなあ」/ソニーの生存率は50%以下/「3つの提言」をレポート/“出井研究所”の力作/インセンティブ契約を要求/正装で出迎えた井深大/“技術のソニー”の黄昏/IT時代開幕の年に社長就任
第3章 手探りのコーポレート・ガバナンス
生え抜き社長の難しさ/一番大切な商品は「会社」/「このままでは倒産します」/“自由闊達の池”と“倒産の滝”/過去は否定しない/フォーマット戦争を終結/ソニー・アメリカのガバナンス/コーポレート・ガバナンスの混乱/グローバル・スタンダードなどない/電子投票は要注意/執行と監督/給与と昇進の基準を明確化/改正商法の致命的欠陥
第4章 AV/IT路線とコンバージェンス戦略
IT戦略会議を主導/インターネットはビジネス界に墜ちた隕石/コンピュータへの情熱/インテルに協力を要請/失敗のリベンジだったVAIO/コンバージェンス戦略/ソニー・ピクチャーズ再生/映画製作と資本コスト/「テレビ事業の反面教師」マードック/「ペイテレビ」が不発だった理由/1分間でWOWOW支援を決定/MXTV出資に猛反対/テレビ局はタダでも要らない/メディア企業「垂直統合」の失敗/ブランド力をどう維持するか/「クオリア」は続けてほしかった
第5章 CEOの孤独
4つのゲイトウェイ/会長就任は失敗だった……/ソニー生命売却騒動/上場3社を完全子会社化/ソネット上場とソニー銀行設立/サプライチェーン・マネジメント/ソフト・アライアンス/“ソニーショック”の真相/時間軸の誤算/勝つまでやめない/記事を憎んで人を憎まず/睡眠シングル
第6章 やり残したこと
トランスフォーメーション60/作れなかったホールディング・カンパニー/「ソニー財閥」を作りたかった/持ち株会社のメリット/会社の売り買いも立派な事業/理解されなかったEVA/経営は技術である/役員の報酬開示を/トップ交代を決意/谷村新司さんの電話/トップの4つの条件/ハワードがソニーへ来た理由/安堵感と喪失感
第7章 新しい夢と出発
立場の変化がもたらした開眼/ソニーの苦労=これからの日本の課題/クオンタムリープ/熟練CEO×若手CEO/日本×東アジア/金融資本×産業資本/ソニーの真逆に挑戦/創業の難しさを実感
書誌情報
読み仮名 | マヨイトケツダンソニートカクトウシタジュウネンノキロク |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610194-6 |
C-CODE | 0234 |
整理番号 | 194 |
ジャンル | 実践経営・リーダーシップ |
定価 | 770円 |
蘊蓄倉庫
ソニー・出井氏と放送業界
出井氏はソニーの社長在任中の97年、衛星放送「JスカイB」(後に「スカイパーフェクTV!」に統合)の設立に参画していますが、同氏と放送業界の縁は深いものがあります。早くから「ペイテレビ」の可能性について熱心に研究し、一時はMXTVの幹部やWOWOWの社長としてソニーを出るという話もあったそうです。そうなっていたらもちろん、出井氏がソニーの社長やCEOになることもなかったでしょう。
出井氏はソニーの社長在任中の97年、衛星放送「JスカイB」(後に「スカイパーフェクTV!」に統合)の設立に参画していますが、同氏と放送業界の縁は深いものがあります。早くから「ペイテレビ」の可能性について熱心に研究し、一時はMXTVの幹部やWOWOWの社長としてソニーを出るという話もあったそうです。そうなっていたらもちろん、出井氏がソニーの社長やCEOになることもなかったでしょう。
掲載:2006年12月25日
著者プロフィール
出井伸之
イデイ・ノブユキ
1937(昭和12)年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。1960年にソニー入社。1995年に社長就任。1999年よりCEO(最高経営責任者)を兼務。2000年、会長兼CEO。2005年に退任。2006年、クオンタムリープ株式会社を設立し、代表取締役に就任。
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