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お坊さんが困る仏教の話

村井幸三/著

748円(税込)

発売日:2007/03/20

  • 新書
  • 電子書籍あり

お経も戒名も葬儀用ではなかった。お寺さんには遠慮なし。歴史と急所を明快に解説。

釈迦仏教は葬儀と無関係。大乗仏教は釈迦仏教にあらず。各種の儀礼は道教と儒教からの拝借。お経は葬儀用に書かれたものではない。中国で創作されたお経も少なくない。往生と成仏は異なる。死後戒名は江戸幕府の押し付け。永代供養は「永代」ではない。仏教界にも「勝ち組」と「負け組」がある。……お寺やお坊さんにとって都合の悪い話にも遠慮なく触れ、仏教の基本と歴史をわかりやすく解説する。

目次
はじめに
第一章 人は死んでどうなるの
一 そもそも「戒」とは
人生の勲章?/ご先祖さまとの縁は捨てがたい/ご住職の顔色をうかがいながら/五戒と八斎戒/お釈迦さまが結構と仰るか
二 従来の死生観が通用しなくなってきた
死ぬ時は一人/日本人の死が変わった/DNAに魂はあるか
三 現世以外の世界はあるのか
死者がたちまち/無いはずがない/釈迦の信念/天上も地獄も
第二章 仏教がやって来た
一 祖霊まします我が山河
縄文時代以降のご先祖さま/霊魂とテレビ電波/天ツ神と国ツ神
二 宗教心の源にあるもの
神は神、仏は仏/御霊信仰/道真の怨霊/駆け足でたどれば
三 鑑真はなぜ来日したのか
切羽詰まった背景/聖武天皇も/戒は守られていたか
第三章 大乗仏教は釈迦仏教にあらず
一 「悟り」から「慈悲」へ
涅槃は死後の世界か/大乗と小乗/僧も大衆も/大天才竜樹の理論/富永仲基の批判
二 仏教と葬儀は無関係だった
無宗教葬は十人に二人/中国では儒教との競争から/遺体は野棄て/日本での火葬第一号/いつか葬儀中心の教団に
三 お経を書いたのは誰?
聞いても読んでも/大乗派の創作/仏が次々と誕生/訳経事業は中国の国家プロジェクト/漢文が読めたばっかりに
第四章 あの世という世界
一 浄土教と西方浄土
阿弥陀信仰/つい「ナムアミダブツ」と/知名度抜群/明治の探検隊
二 往生と成仏はどう違うのか
私たちは二段の手順で/後世安楽/空海の「即身成仏」/密教とは/大ベストセラー『往生要集』/源信の逸話
三 お経に霊力はあるのか
お葬式用にあらず/「ナムオミトーフー」/金口の説法
第五章 葬式仏教に徹すべし
一 江戸幕府の寺請制度
幕府と教団の押しつけ/本山末寺の制/今日の基本がスタート
二 戒名はこうして作る
院号、道号、そして/お布施の舞台裏/徳川家康と紀伊国屋文左衛門
三 位牌とお墓について
各宗派の式次第は/あまりの簡略化/位牌の由来/合祀墓の増加は戦後から/仏教とは無縁の墓相学
四 私の提案
民俗習慣の強み/都会と地方の間には/勝ち組の寺と負け組の寺/そして残ったものは/恥じることはない/ある僧侶の勇気ある発言/脱・戒名のすすめ
あとがき

書誌情報

読み仮名 オボウサンガコマルブッキョウノハナシ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610208-0
C-CODE 0215
整理番号 208
ジャンル 宗教
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/03/30

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お経を書いたのは誰?

 観音経、阿弥陀経……お経にはお釈迦さまの考えが述べられているわけですが、お釈迦さま自身が書いたものではありません。執筆したのはインドの大乗派の人々です。彼らは「こうお考えになったのに違いない」「こんな問答をされたに違いない」と推測し、仏教思想を裏打ちしました。仏教が中国に入ると、その漢訳が盛んになり、日本にも伝わってきます。ここで厄介なのは、インドの原典とは無関係、中国で創作されたお経が混じっていることです。これを「偽経」と呼びますが、構成も整い、文章も美しいために、なかなかそうとは気づかれませんでした。

掲載:2007年3月23日

著者プロフィール

村井幸三

ムライ・コウゾウ

1925(大正14)年福島県生まれ。仏教研究家。盛岡高等農林学校(現・岩手大学農学部)卒業。農林省、福島民報、福島テレビに勤務。1985年頃より仏教史の研究に没頭。著書に『山のお寺の上人さま』『日光院はじまり物語』『お坊さんが困る仏教の話』など。

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