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ミフネ、健さん、原節子から忘れがたき脇役まで。失われた“カッコよさ”を求めて――。

邦画の昭和史―スターで選ぶDVD100本―

長部日出雄/著

756円(税込)

本の仕様

発売日:2007/07/17

読み仮名 ホウガノショウワシスターデエラブディーブイディーヒャッポン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 222ページ
ISBN 978-4-10-610224-0
C-CODE 0274
整理番号 224
ジャンル 文学賞受賞作家、演劇・舞台、映画
定価 756円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2011/11/25

テレビが天下を制する前、闇の銀幕に輝いて観る者の魂を捉えた不滅のスーパースターたち――。三船敏郎、石原裕次郎、小林旭、高倉健、鶴田浩二、渥美清。さらに気品と演技力を兼ね備えた不世出の大女優・原節子、田中絹代、高峰秀子……等々。時代とともに大衆が求め憧れてきたものは何だったのか。直木賞作家で映画批評家の著者が、極め付きのDVD100本を選んで、「スター」を軸に描き出す画期的な戦後日本映画史。

著者プロフィール

長部日出雄 オサベ・ヒデオ

1934(昭和9)年、青森県生れ。新聞社勤務を経て、TV番組の構成、ルポルタージュ、映画評論の執筆等に携わる。1973年『津軽世去れ節』『津軽じょんから節』で直木賞、1980年『鬼が来た 棟方志功伝』で芸術選奨、1987年『見知らぬ戦場』で新田次郎文学賞を受賞。おもな著書に『密使 支倉常長』、太宰治を描いた『辻音楽師の唄』『桜桃とキリスト』、『反時代的教養主義のすすめ』などがある。

目次

 「スター」を軸にした戦後日本映画史――はじめに
第一章 戦後のスーパースターを観るための極め付き三十五本
大衆が望んだスターの条件
デカダンスと破滅型の反抗――初めにミフネありき
「カッコイイ」の価値観――裕次郎のスタイル
武骨で寡黙で無器用――待ってました、健さん!
ヤクザ映画と左翼思想――鶴田浩二のディレンマ
任侠美から等身大のヤクザ像へ――菅原文太の多面的な立体感
高度成長期の東宝娯楽路線――遊びを謳歌する森繁、加山、植木
エロとグロ、悪の魅力――座頭市の勝、眠狂四郎の雷蔵
正月と盆に会う「まれびと」――寅さんこと渥美清
第二章 不世出・昭和の大女優に酔うための極め付き三十六本
女性映画、随一の巨匠――吉村公三郎のピース缶
大輪の花の半身像――原節子の気品
日本女性の理想像として描かれた奇跡の肖像画――独身を通した小津安二郎
「わたくし、ずるいんです」――そして昭和の伝説と化した
大女優であるがゆえの孤独感――田中絹代の苦悩と絶望
執拗なまでの芸術的完全主義者――絹代に恋した溝口健二
「小津は二人要らない」――成瀬巳喜男の“マジック”
『二十四の瞳』大石先生の笑顔――高峰秀子のプロ意識
明るい「市民」を描いた石坂洋次郎――杉葉子の水着姿
戦後の新しい恋愛観――ミス日本・山本富士子の黒髪
「肉体女優」の迫力――京マチ子から松坂慶子まで
芸者、廓の女を演じる「卑近美」――佐久間良子の唇
アイドルからいかに脱皮するか――若尾文子の奇妙な笑顔
第三章 忘れがたき名優たちの存在感を味わう三十本
「新劇俳優」の台頭――森雅之のサングラス、宇野重吉の松葉杖
数カットで主役を喰う名脇役たち――杉村春子の前掛け
魁偉な風貌が幸いして――伊藤雄之助とキャベツ
気弱な一等兵の狂気の逆ギレ――骨太の岡田英次と繊細な木村功
共感を呼ぶ「絵空事の中の人物」――仲代達矢と中華まんじゅう
鉄筆を揮った「反抗的人間」――一匹狼の佐藤慶
怪優列伝――銀座育ちの殿山泰司、ダボシャツの小沢昭一
忘れちゃいけない生粋のスターたち――上原謙、池部良、笠智衆……
試写室で拍手が起こった伝説の一作――天才・フランキー堺
わが映画人生に悔なし――柴田恭兵の最高の笑顔
あとがき

まとめテーマでくくる 本選びのヒント

蘊蓄倉庫

戦後、ヒーロー像の系譜

 昭和20年代の三船敏郎、30年代の石原裕次郎、40年代の高倉健、50年代の渥美清……年齢の異なる人と話していると、各世代によってヒーロー像が違うことに気づくことがあります。そしてそこから、案外、時代の深部が見えてきたりするようにも思うのです。
 例えば三船、彼は悲惨な敗戦の結果として生まれたアプレゲールと闇市の反抗性の象徴でした。次の裕次郎は、経済の復興と近代化の進行による都会的な洗練さの体現としての存在。その明るく恵まれた太陽族の近代性に飽き足らず、かつそれによって抑圧されていた大衆の非合理性と血と土着性への欲求が現れたのが健さんの唐獅子牡丹……と。
 三人とも共通するのは、戦前に流行った端正な美男というより反抗性と不良性を漲らせた不逞な面構えをしていたことでした。それが、戦後、大衆が求め憧れ続けたことだったのです。さらに時代が下り、大衆が求めたものが善意でした。ヒーロー像の辿り着いた先の、善意と異端児、反抗児との結合――それが“寅さん”だったのです。

掲載:2007年7月25日

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