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ニセモノの「保守」にだまされるな。

本格保守宣言

佐藤健志/著

734円(税込)

本の仕様

発売日:2007/08/17

読み仮名 ホンカクホシュセンゲン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 206ページ
ISBN 978-4-10-610225-7
C-CODE 0231
整理番号 225
ジャンル 政治
定価 734円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/03/30

本格保守、それは混迷の未来を切り拓く指針だ──。改憲や改革にばかりこだわる保守は、左翼的な進歩主義の影響を受けて生まれた「公式保守」、つまりニセモノにすぎない。「世の中はどこまでも良くなる」という近代的理性の限界を悟り、より深い叡智にめざめることこそ、社会や国家、いや世界をベストの状態に保つ鍵となる。フランス革命以後の保守の歴史をふまえ、明日への大胆な提案を行う画期的宣言。

著者プロフィール

佐藤健志 サトウ・ケンジ

1966(昭和41)年東京生まれ。評論家。東京大学教養学部卒業。著書に評論集『幻滅の時代の夜明け』『未来喪失』、小説『チングー・韓国の友人』など。戯曲「ブロークン・ジャパニーズ」で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。ほかに漫画の原作も手がける。

目次

序章 見当のつかない時代
「世界大丈夫学会」と「世界心配学会」/交通事故が社会を暗くしない理由/二〇〇〇年問題に秘められた願望/改憲や戦前肯定が保守なのか/整合性に欠ける『広辞苑』の定義
第一章 発端としてのフランス革命
江戸時代に保守主義者はいたか/進歩が長靴をはいた経緯/地球儀から熱気球まで/「理性の祭典」と大量虐殺/フランケンシュタインの寓意/エドマンド・バーク激怒す!/通り一遍な愚行、月並な無能力さ
第二章 始まってしまった「近代ゲーム」
お国自慢としての反革命/昔は悪党も偉かった/元手なしで商売に成功する方法/復古は解決策ならず/アリス、近代世界に入りこむ
第三章 先頭の自由主義、追う国家主義
保守は「ミッション・インポッシブル」だ/自由があれば平等はいらない/国家で矛盾をカッコにくくれ/右翼的にして左翼的な体制/止揚しようとしすぎると……
第四章 二十世紀の行き着いた果て
「赤の女王」の詐欺話/世界恐慌から人工衛星まで/二百年つづいたフランス革命/同時多発する「保守の失敗」
第五章 本格保守の条件
公式保守の誕生/「いいところ取り」にも程がある/各論もっとも、総論的外れ/伝統的価値観のウソ/左翼の保守化と復古志向/解釈改憲に徹するのが本格保守だ/新たな「ミッション・インポッシブル」へ
第六章 社会は身体である
語源にさぐる「身体」の意味合い/国家もまたボディである/中風・梅毒・コレラ・ガン/身体に学ぶ本格保守
第七章 抜本的改革を成功させるには
スタートでつまずかないために/「ホメオスタシス」忘るべからず/見える成果と見えざる成果/パンチの効いた多元性をめざせ/部分、全体、そして象徴/どんな大枠にも寿命がある
第八章 新時代へのマニフェスト
核武装に憲法上の制約はない!/愛国心の適正範囲をさぐれ/格差や少子化に取りくむコツ/あえて金正日体制を存続させよ/中国の台頭は警戒すべきか/アメリカとの賢いつきあい方
終章 理性偏重から叡智の世紀へ
人類はリストラされるのか/「生かされ感覚」の重要性/無意識の叡智にめざめよう/真に保守されるべきもの
あとがき

インタビュー/対談/エッセイ

波 2007年9月号より 泡沫候補と政局  佐藤健志『本格保守宣言』

佐藤健志

七月に行われた参議院選挙は自民党の大敗に終わった。首相が続投に執着することもあって、政局は当分、波乱含みの展開が予想される。
「波乱」に引っかけて言うわけではないが、私はかねてより、いわゆる「泡沫候補」の主張に接することを選挙の大きな楽しみとしてきた。今回の参院選でも、東京都選出議員候補には、首相を地獄の火に投げこむと息巻く者、議員定数の半減を説きつつわざわざ出馬する者、「人類永遠化」の方法論を確立したと語る者などが見られる。
 さる四月の統一地方選では「政府転覆」を叫んだ都知事候補まで現れた。ただしこの人物、「まかり間違って当選したらビビってしまう」旨も公言しており、じつはなかなか見識があると評しえよう。さらに以前には、『E.T.』の監督スピルバーグの推薦を取りつけたと称し、宇宙人が地球を訪れているという前提のもと、「国際化」ならぬ「星際化」を謳った政党も存在した。
 泡沫候補の主張は極端でメチャクチャなほど醍醐味があるものの、そこにはちゃんとした効用もひそむ。彼らの見解は、「国を治めるうえで求められる現実の認識枠組みは何か」という点を逆説的な形で浮き彫りにするのだ。認識枠組みとは、当然視してばかりいると歪んでしまうものであり、きっちり輪郭を保ちたければ、ときおり冷静に見つめ直すことが求められる。
 またどのような枠組みも、いつまでも有効性を保ちつづけることはありえず、時の経過とともに崩れてゆく。近年のわが国で「改革」の必要性がさかんに唱えられるのも、戦後の発展や繁栄を支えてきた枠組みが効力を失ったという認識が広まったせいに違いない。
 けれども奇妙なことに「改革」を唱えているのは、もっぱら保守派と呼ばれる人々ではないか。保守とは元来、既存の枠組みやシステムをできるだけ維持しようとする姿勢を指したのだから、この構図は本末転倒といえよう。現在の日本には、「保守」や「改革」に関して、泡沫候補の言動にも通じる枠組みの歪曲が見られる。
 かかる歪曲はなぜ生じたのか、国家や社会をベストの状態に保つうえで必要とされる枠組みは何か――これらについては、新潮新書より八月に刊行された拙著『本格保守宣言』をご覧いただきたい。だが認識枠組みの歪曲が、社会全体の「泡沫」化、つまり極端な発想による暴走をしばしば引き起こす点は指摘しておこう。
 かのバブル経済は「投機はいくらやっても大丈夫」なる歪んだ枠組みの産物であった。昭和初期のわが国にしても、「軍国バブル」の状態にあったと思われる。ならば現状は「保守バブル」か「改革バブル」と形容できよう。
 そしてあらゆる泡沫は、あえなく消えさる運命にあるのだ。政局が落ちつかないのも無理からぬ話と言わねばなるまい。


(さとう・けんじ 評論家)

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