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ビッグプロジェクト―その成功と失敗の研究―

飯吉厚夫/著 、村岡克紀/著

792円(税込)

発売日:2008/05/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

奈良の大仏、琵琶湖疏水、黒四ダム、東海道新幹線、核融合研究……。科学技術で世界を変えた熱き男たち。

奈良の大仏、姫路城、黒四ダム、東海道新幹線──。古代から現代に至るまで、科学技術と人類の英知を結集して成功を収めたビッグプロジェクトには、いずれも共通の要因があった。そして、「もんじゅ」や「チャレンジャー」の事故のように、重大な失敗が起きた場合にも……。自らも「核融合研究」というビッグプロジェクトを率いてきた二人の科学者が描く、「科学と人間と社会」の物語。

目次
まえがき
第一章 時代が欲した大インフラ事業――琵琶湖疏水と黒四ダム
1 琵琶湖疏水 京都を渇水知らずの都市にした多目的計画
2 黒四ダム 戦後復興のダイナミズムの象徴
第二章 統治の象徴としての「祈りと美」――奈良の大仏と姫路城
1 奈良の大仏 世界国家を目指した日本初のビッグプロジェクト
2 姫路城 「機能の中の美」によって権威を表現
第三章 戦争というドライブ――マンハッタン計画とアポロ計画
1 マンハッタン計画 「国家プロジェクト」で実現に至った原子爆弾
2 アポロ計画 人々を奮い立たせた「明確な目標」
第四章 対照的な運命の交通システム――東海道新幹線とコンコルド
1 東海道新幹線 斜陽の鉄道を大復活させた起死回生のプロジェクト
2 コンコルド マーケットニーズがなかった革新的技術
第五章 究極のエネルギーを求めて――欧州と日本の核融合プロジェクト
1 JET 欧州連合トーラス装置
2 LHD 日本独自の仕様である「大型ヘリカル装置」
第六章 「物質の根源」を探る終わりなき旅――欧州の挑戦、米国の挫折
1 LHC 欧州の力を結集した大型ハドロン衝突装置
2 SSC 拙速な計画策定と官僚主義による失敗
第七章 プロジェクト一人歩きの悲劇――チャレンジャーともんじゅ
1 チャレンジャー事故 政治的判断が引き起した悲劇
2 もんじゅ事故 ナトリウム漏れ火災を招いた初歩的ミス
あとがき
参考文献

書誌情報

読み仮名 ビッグプロジェクトソノセイコウトシッパイノケンキュウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 256ページ
ISBN 978-4-10-610263-9
C-CODE 0221
整理番号 263
ジャンル 政治
定価 792円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/07/27

蘊蓄倉庫

大仏殿と実験装置

 日本が誇る独自の核融合実験装置「大型ヘリカル装置」(岐阜県土岐市)は、幅75メートル、奥行き45メートル、高さ40メートルの建屋の中に納められています。これは、建てられた当時の奈良の大仏殿よりちょっと小さいくらいの大きさです(幅88メートル、奥行き52メートル、高さ47メートル)。核融合の研究者である著者が「古代のビッグプロジェクト」である奈良の大仏に興味を抱いたのは、そのことに気付いたことがきっかけでした。
掲載:2008年05月23日

著者プロフィール

飯吉厚夫

イイヨシ・アツオ

1936(昭和11)年生まれ。中部大学総長。京都大学名誉教授。核融合科学研究所初代所長。慶應義塾大学工学部卒業。工学博士。

村岡克紀

ムラオカ・カツノリ

1940(昭和15)年生まれ。中部大学教授。九州大学名誉教授。九州大学工学部卒業。工学博士。

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