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川柳うきよ大学

小沢昭一/著

748円(税込)

発売日:2008/05/19

  • 新書
  • 電子書籍あり

近頃は大人が隠れてたばこ吸う。方丈記判る頃には介護四。「小沢昭一的川柳のこころ」最新版!

「メール打つその指で揉め母の肩」「方丈記判る頃には介護四」……前作『川柳うきよ鏡』の大好評につき、より強力かつ新鮮な続編の登場です! ここに連なる川柳群は、平成の世をあざ笑ったり毒づいたりした民草のうめき声の記録となっていること、間違いありません。変動めまぐるしい情報過多の昨今、近い過去を振り返る世相の記録ともなっているはず。何はさておき、早速、一句一句の妙をどうぞご覧じろ。

目次
選者 前口上
平成十五(二〇〇三)年
松茸の土産暗示のキノコ雲
やはり気になるタマちゃんとビンラディン
外国のピッチャーが継ぐ紋次郎
平成十六(二〇〇四)年
「ごはんだよ」呼んでも出ないビンラディン
俺だオレ誰よアンタはアリスガワ
成人式ぐらいは脱がず帰ります
平成十七(二〇〇五)年
悪い人ばかりではない東大出
おばちゃんが死刑のハンコ押すんだね
ジェンキンス妻子を守る武士となり
平成十八(二〇〇六)年
日本はどうなるんだろうねえと祖母
九段坂馬耳東風の例大祭
川柳むろん下流の岸に生え
平成十九(二〇〇七)年
改革は三歩戻って二歩下がる
百歳は何をやっても健康法
トイレ用スリッパ混じる宴会場

書誌情報

読み仮名 センリュウウキヨダイガク
シリーズ名 新潮新書
雑誌から生まれた本 小説新潮から生まれた本
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610265-3
C-CODE 0292
整理番号 265
ジャンル 詩歌
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/07/27

蘊蓄倉庫

元は川柳作家だった「吉川英治」

『宮本武蔵』『三国志』など、息をつかせぬストーリー展開で、戦後、人気を誇った時代小説家、吉川英治。彼が小説を書き始める前、若き頃は川柳家だったことをご存知でしょうか――。「吉川雉子郎」の筆名で新聞雑誌などに投稿し、その才を認められ、『大正川柳』の同人に迎えられたのでした。「みなし子の独り覚えた笛を吹き」「この先を考へてゐる豆の蔓」「けだものと呼ばれ尽して立志伝」等々、多くの後の名作をしのばせる句を作っていました。中でも「貧しさもあまりの果ては笑ひ合ひ」は、自身もそうでしたが、日露戦争直後の貧しさを明るく表現した句として、当時、絶賛を浴びたといいます。
 川柳は、江戸時代の昔から庶民の暮らしの細部をとらえた世相史。本書の川柳群もまた、平成の世をあざ笑い毒づいたりした、民草のうめき声の記録となっているはずです……。
掲載:2008年05月23日

著者プロフィール

小沢昭一

オザワ・ショウイチ

(1929-2012)1929(昭和4)年、東京生まれ。早稲田大学仏文科、俳優座附属養成所卒業。著作は『川柳うきよ鏡(新潮新書)』『小沢昭一座談(1)~(5)』『随筆随談選集(1)~(6)』など民衆芸能関連のほか、多数。明治村村長。日本新劇俳優協会会長。劇団「しゃぼん玉座」を主宰。

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