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ネコ型社員の時代―自己実現幻想を超えて―

山本直人/著

748円(税込)

発売日:2009/03/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

……逆境のときこそ、ネコの手を借りよ!

「自己実現」に幻想を持たず、出世のためにあくせくせず。滅私奉公に背を向けつつも、得意分野では爪を磨ぐ。そんなネコ型社員が増殖している。忠犬型社員だけでは、企業は生き残れない。鍵を握るのは、気まぐれなようでいて、タフでしたたかなネコ型社員である。彼らが生まれた背景とは? その活かし方とは? 会社の閉塞感、職場のギスギス感をなくすためのヒントがふんだんに盛り込まれた、目からウロコの一冊。

目次
はじめに あなたもネコ型社員かも
第1章 なぜネコ型社員なのか
ネコ型社員の発見/増殖するネコ型/麻薬犬と麻薬猫/ニンジンは通用しない/出世したくない公務員たち/昭和のネコ型社員/ギスギスの原因/「心のバブル」の後遺症/会社は昭和に戻るのか/働く理屈の胡散臭さ
第2章 「自己実現」のウソ
自己実現という幻覚/自己実現はできればラッキー/転職支援の眩しいコピー/キャリアを煽る人々/普通の大切さ
第3章 日本人は勤勉なのか
粘土上司がいる理由/意欲のない日本人/満足する高校生/勤勉神話の誕生/「日本人らしさ」の束縛/勤勉の貧困
第4章 ネコ型社員の掟
忠誠より信義、上昇より向上/イチローと老子/「忙しい」と「慌しい」/一人前か一流か/ワークはライフの一部/山登りより原っぱ歩き
第5章 内弁慶が会社をダメにする
まだまだ目立つ内弁慶/威張れる範囲で威張る人/リスクをとらずに男性的/男性らしさは前進重視/ネコ型と時代の潮目
第6章 ネコ型社員を活かすために
「何を考えているかわからない」/わからないのが当然/仲人の絶滅/緊張と弛緩のバランス/ネコ型を活かす(1)砂場を作る/できることを探させる/ネコ型を活かす(2)見返りを求めない/ライバルに育てる/ネコ型を活かす(3)自信を持って甘やかす/仰木監督はネコ育て達人/偽ネコを見分ける
第7章 ネコ型は会社を変えるか
ネコ型は突然変異か/働きがいとお金と暮らしと/帰属を弱める/高まりすぎた緊張/場としての会社/ほどほどを認める/頑張るネコもいる/会社の価値観を押し付けない/新卒一括採用を見直す/早期化で広がる弊害/試験型より交際型/自分のことはジックリと決める
おわりに 日本はネコ化するのか
ネコ化する消費/憧憬の江戸時代/しあわせの知恵

書誌情報

読み仮名 ネコガタシャインノジダイジコジツゲンゲンソウヲコエテ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610303-2
C-CODE 0233
整理番号 303
ジャンル マネジメント・人材管理、実践経営・リーダーシップ
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2011/11/25

ネコ型社員度テスト

この本のタイトルを見て何か気になった人は、とりあえず以下の質問にイエスかノーで答えていただきたい。つまり、あなたの「ネコ型」度をチェックしてみようという、他愛のないゲームである。

ネコ型社員度テスト

1.偉くなるより仕事の腕を磨きたい
2.仕事では持続力より瞬発力が大切だと思う
3.仕事より遊びが好きなのは普通のことだ
4.集団で同じ行動をするのは苦手である
5.やたらと「会社のために」と言う人は何だか信頼できない
6.仕事を楽しめ、と言われても困る
7.「自分を大切にする」ことはいいことだと思う
8.いまの若者は夢がない、と言う大人は変だと思う
9.自己実現とか考えすぎてもしょうがない
10.会社の上司には内弁慶が多いと思う

さて、どうだったろうか。イエスの数で大体「ネコ型社員度」がわかるはずだ。

9個以上 立派なネコ型社員です。迷わずネコ型ライフを送ってください。
6~8個 潜在型ネコ型社員です。おそらく本当はネコ型なのですが、職場のいろいろな事情でそうもいかないのではないでしょうか。
3~5個 混血ネコ型社員です。一部ネコ型の要素があるようですが、今後ネコ型が開花するかは不確定です。
0~2個 非ネコ型社員です。というより、真っ当な普通の社員であろうとするために、身の回りに増えているネコ型に苛立っている可能性があります。

 しかし、「ネコ型」の意味もよく分からないうちに、そうやって言われても困ってしまう。そう思われた方も多いだろう。
 (「はじめに」より)

 → ネコ型社員をどう捉えるか。それは低成長時代の会社を左右するテーマです。職場のギスギス感、ビジネスの閉塞感を解消するヒントが詰まった本書をぜひお読みください。

担当編集者のひとこと

仕事はメンドウくさい

 テレビや新聞、雑誌などでその道の第一線で働いている編集者を取り上げることがあります。そういう人は、「何よりも仕事が楽しい」「いつも仕事のことを考えている」と目を輝かせて熱く語っています。
 同じ業種にいるのに、何と自分と違うことか、と思ってしまいます。確かに仕事をしているなかで面白いこともあります。感動することもあります。興奮することもあります。
 でも、仕事は基本的にはメンドウくさいのです。
 遊びよりも仕事が楽しい、という気持ちがまったく理解できません。感覚としては、健康診断よりは仕事のほうが面白いというくらいでしょうか。
 そういう自分はダメなのだろうか。根本的に社会人として問題があるのだろうか。そう思っていましたが、『ネコ型社員の時代』を読むと納得、安心できます。
 そうか、自分はおかしくないのだ。ネコ型社員だったのだ。自分のような人間はたくさんいるし、増えているのだ、と。
「仕事がすべて」という考え方の人と、そうでもない人とにはどんな違いがあるのか。両者はどう理解しあい、共存共栄できるのか。
 この本には、そのヒントがたくさん書かれています。ネコ型の人も、ネコ型を理解できない人も、読むと仕事がやりやすくなることは間違いありません。【薀蓄】日本人は怠け者
「日本の労働者は勤勉だ」とよく言われます。でもどうも、これは近代に誕生した神話のようなのです。江戸時代の商家や職人は昼に1時間休むほか、午前と午後に30分ずつ休みがあったそうです。また明治以降でも「日本の工場労働者は怠け者だ」という欧米人の記録もあるとか。これを聞いて、ホッとする人はネコ型社員、ガッカリする人はイヌ型社員かもしれません。詳しくは、これからの働き方を考えるうえで、必ず役に立つ『ネコ型社員の時代』で。

2009/03/25

著者プロフィール

山本直人

ヤマモト・ナオト

1964(昭和39)年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。博報堂に入社。2004年退社、独立。2023年8月現在マーケティングおよび人材育成のコンサルタント、青山学院大学経営学部マーケティング学科講師。著書に『電通とリクルート』など。

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