ホーム > 書籍詳細:人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答―

脳と仏教の真剣勝負。

人は死ぬから生きられる―脳科学者と禅僧の問答―

茂木健一郎/著 、南直哉/著

734円(税込)

本の仕様

発売日:2009/04/15

読み仮名 ヒトハシヌカライキラレルノウカガクシャトゼンソウノモンドウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 189ページ
ISBN 978-4-10-610307-0
C-CODE 0215
整理番号 307
ジャンル 哲学・思想
定価 734円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/07/27

我々はどこから来たのか、そしてどこへ行くのか――。人類誕生以来、問われ続けてきたアポリア(難問題)に、脳科学者と禅僧が挑む。死はすべての者に平等に訪れる。けれど誰もが望んでこの世に生まれてくることはできない。つまり、「私」に根拠はないのだ。だからこその苦、だからこその人生。それでも、その苦しみを引き受け、より良く生きるための方法はある。無常の闇に射す一筋の光明を探すため、存在を賭けた脳と仏教の真剣勝負。

著者プロフィール

茂木健一郎 モギ・ケンイチロウ

1962(昭和37)年東京都生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院物理学専攻課程を修了、理学博士。〈クオリア〉をキーワードとして、脳と心の関係を探究している。著書に『脳と仮想』『ひらめき脳』『生命と偶有性』など。『IKIGAI―日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣―』は、著者が英語で執筆した最初の書籍となる。

南直哉 ミナミ・ジキサイ

禅僧。青森県恐山菩提寺院代(住職代理)、福井県霊泉寺住職。1958年長野県生まれ。1984年、出家得度。曹洞宗・永平寺で約20年修行生活をおくり、2005年より恐山へ。著書に『語る禅僧』(ちくま文庫)、『日常生活のなかの禅』『「正法眼蔵」を読む』(以上、講談社選書メチエ)、『老師と少年』『なぜこんなに生きにくいのか』(以上、新潮文庫)、『恐山 死者のいる場所』(新潮新書)、『善の根拠』(講談社現代新書)、『禅僧が教える心がラクになる生き方』(アスコム)など。

目次

星の友情――茂木健一郎
I 無記の智慧
坐禅とクオリア/説明不足の仏教/悟りが最終目標ではない/「答え」より「問い」/科学と宗教の役割/言うべきか、言わないべきか/「無記」の思想/恐山と九十五歳のおばあちゃん/現実と仮想/言語と体験の間/仏教にヒューマニズムはない/苦しいけれど生きていく
コラム「恐山探訪記」――茂木健一郎
恐山の禅僧・南直哉師/死者の「好意」が宿る場所/そして過去は死者へとつながる
II 脳の快楽、仏教の苦
裸になれる場所/恐山の日常/「信じる」とは何か/脳と身体の矛盾/「自分が自分である」根拠はあるのか/航海者と漂流者/「中心」が忘れているもの/存在の根拠としての欠落/生き方を変えない限り考え方も変わらない/なぜ自分は今、ここにいるのか?/修行僧の見る月/脳の快楽、仏教の苦/人生は「苦」である
III 人生は「無常」である
クオリア、仮想、偶有性/「疑団」の破裂/偶有性の反意語/生と死のリアリティ/世界を引き受けるということ/生の現場に寄り添う/私は私を始められない/「あなた」がいて「わたし」がいる/生きている限り安心立命はない/人生を質入れしない/生きていることはまがまがしい/「蓮を咲かせる泥になりたい」/断念せよ、そこから始めるしかない/人生の負債を背負う/ブッダが追求したこと/星の友情
悦楽する知――南直哉

担当編集者のひとこと

アポリア(難問題)に挑む2人

 今やメディアを縦横無尽に活躍する、脳科学者の茂木健一郎さんと、青森県恐山の院代(山主代理)を務める、禅僧の南直哉さんの、四年にわたる対話をまとめたのが本書です。
 それぞれ科学と宗教という、一見相反するポジションにいる二人ですが、そんな垣根をやすやすと乗り越えて、実に興味深い応酬が繰り広げられました。

「脳の快楽、仏教の苦」
茂木 ……人間は脳内の報酬物質の上流に何を持っているかで変わるんだと思います。
 ある人はパチンコかもしれないし、ある人は酒、または女かもしれない。……喜びの上流にあるものをどう耕していくか、どう広げてメンテナンスしていくかということでしか人生はないと思います。……。
南  私なんかはそういう話を聞くと、それこそが「苦」というものなのかなと逆に思うんです。茂木さんがおっしゃった「快楽」が私には「苦」に思える。ブッダがそれを解脱しろと説いた「苦」に。
茂木 じゃあ、解脱しなくちゃいけないのか(笑)「生と死のリアリティ」
南  ……私は生より死のリアリティの方が高いと思うんですよ。
茂木 生きているリアリティ、というのはあまりない?
南  つまり人間は、皆死ななければならないけれども、必ずしも、みんな生きていなければいけないわけではないですからね。
茂木 何か言っていることがすごい。
南  だから生の強度がないと、死のリアリティに負けちゃうと思う。
茂木 してみると、現代人の多くはすでに死しているということですか。死にながら生きている……。
南  というよりも、人は死ぬから生きられる。……。 長々と引用しましたが、このように、「生と死」「存在の根拠」「私とは誰か」といった、人類誕生以来問われ続けてきたアポリア(難問題)に、現代を代表する二人の知の怪物が、互いの存在を賭けて挑んだのが本書です。
 仕事や家庭を離れて、ふっと自らの来し方行く末を思い案ずるとき、手元に置いておきたくなる、そんな一冊です。

2009/04/24

蘊蓄倉庫

恐山と言えば……

 南直哉さんが院代(山主代理)を務める、青森県むつ市にある霊場・恐山。おそらく多くの人が、恐山と聞いて思い起こすのは、イタコの存在ではないでしょうか。しかし、イタコが恐山で口寄せをするようになったのは、昭和三十年代からと、意外と歴史は浅いのです。また恐山を管理しているのは、恐山菩提寺という曹洞宗のお寺であり、いわばイタコはそこに「間借り」しているだけなのです。ちなみに、イタコは毎日恐山にいるわけではなく、基本的に夏と秋に行われる大祭のときだけ。口寄せをお願いする場合は、呼び寄せたい故人の名前と生年月日が必要なようです。
掲載:2009年04月24日

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