ハゲとビキニとサンバの国―ブラジル邪推紀行―
748円(税込)
発売日:2010/10/15
- 新書
- 電子書籍あり
エキゾチシズムが爆発する地球の裏側で、日本及び日本人を考えなおす。
燦燦と降り注ぐ太陽、ビーチに寝転ぶ「イパネマの娘」、カーニバルでサンバを踊り、路上でサッカー。そんなエキゾチックなイメージが無限増殖する国、ブラジル。しかし、はるばる地球の裏側に足を運んでみると……。なぜか愛されるハゲ、小さなビキニの秘密、日本人のトホホな扱い、カトリックの下心など、当地の文化や風俗は意外なことばかり。生まれも育ちも京都の学者が、W杯や五輪開催で注目のブラジルから日本を考える。
書誌情報
読み仮名 | ハゲトビキニトサンバノクニブラジルジャスイキコウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610388-9 |
C-CODE | 0225 |
整理番号 | 388 |
ジャンル | エッセー・随筆、歴史・地理・旅行記 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/04/22 |
蘊蓄倉庫
ブラジルの都市部では、ほとんど100パーセントが帝王切開による出産だそうです。出産後にビキニを着ても目立たぬよう、産科医は切開の傷跡を水着に収まる範囲内で施術してくれるようです。そのためか、リオのビーチでは、経産婦も大胆に小さなビキニで闊歩しているそう……。
担当編集者のひとこと
ブラジルは、おもしろい。
著者の井上章一さんは、『つくられた桂離宮神話』『法隆寺への精神史』『伊勢神宮』などといった建築学史のほか、霊柩車の起源、美人論、日本の女性の下着受容史など、日本のユニークな風俗も研究、その著書のファンも多い学者(建築学者、風俗史家)です。
その井上さんが、ブラジルのリオデジャネイロに滞在。当地の文化や生活、風俗などをレポートしたのが本書です。とはいっても、そこは井上章一。「ブラジルという国はそもそも~」などという、ありがちな前置きは無しにして、いきなり「ハゲ」の話をします。曰く、「ブラジルでは、ハゲでも女の人にきらわれないと、しばしば言われることがある。いや、ハゲのほうがもてるんだという説さえ、時には聞こえてくる」。酒場で歌っていた女性歌手が、ハゲの観客のおでこばかりにキスするのを見てショックを受けます。
また、リオデジャネイロといえば、すぐに思い浮かべるのがコパカバーナに代表されるビーチ。抜けるような青空に燦燦と降り注ぐ太陽、砂浜に寝転ぶ「イパネマの娘」――。男なら誰でも鼻の下が伸びてしまいそうなシチュエーションですが、実際にそこで見た「ビキニの女性」は……。
さらに、ある日のこと、京都や富山といった日本の都市名を冠した企業のポスターを見つけ、興味本位にどんな会社か調べてみると……。
その他にも、日本のアニメやマンガが好きなブラジル版草食系男子、胸よりお尻をアピールする女性たち、支持を広げる日本の新興宗教など、政治や経済、文化といった“大文字”のテーマではなく、街ネタや風俗ネタといった身近なトピックをレポートしています。
2010年10月初旬の現在、当地では大統領選の真っ最中。すわ、初の女性大統領誕生かと騒がれています。また、2014年にはワールドカップ、2016年にはオリンピックが開催され、注目を集めること必至のブラジル。エキゾチシズムが無限増殖する地球の裏側から、日本を考えるのが本書『ハゲとビキニとサンバの国―ブラジル邪推紀行―』です。
2010/10/25
著者プロフィール
井上章一
イノウエ・ショウイチ
1955(昭和30)年、京都府生れ。京都大学大学院修士課程修了。2018年4月現在、国際日本文化研究センター教授。『つくられた桂離宮神話』でサントリー学芸賞、『南蛮幻想―ユリシーズ伝説と安土城』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。専門の建築史・意匠論のほか、美人論、関西文化論など、幅広いジャンルにわたって、ユニークな視点で日本文化について発言している。他の著書に『京都ぎらい』『学問をしばるもの』『美人論』『関西人の正体』などがある。