
迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教―
924円(税込)
発売日:2011/01/17
- 新書
- 電子書籍あり
日本人が忘れた、“本物の仏教”がここにある。
「お坊さんになって悟りたい!」――。悩めるドイツ人青年の危機を救ったのは、祖国で出会った坐禅だった。出家の覚悟を決めて来日するも、そこで見たものは、この国の仏教のトホホな姿。算盤を弾くばかりの住職、軍隊のような禅堂、仏教に無関心な世間……。失望と流転の末、ようやく辿り着いた理想の修行は、小さな山寺での自給自足・坐禅三昧の生活だった。日本人が忘れた「一瞬を生きる意味」を問う、修行奮闘記。
書誌情報
読み仮名 | マヨエルモノノゼンシュギョウドイツジンジュウショクガミタニホンブッキョウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610404-6 |
C-CODE | 0215 |
整理番号 | 404 |
ジャンル | 宗教 |
定価 | 924円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2011/07/08 |
蘊蓄倉庫
著者は日本のお坊さんが、坐禅中に“居眠り”をするのに驚いたそうです。「修行中に不謹慎だ」とも思ったようです。しかし、数年前、ドイツでは『Inemuri』という本が出版され、そこには「日本人を見習いなさい。つまらない授業や会議の時間を活用して、睡眠をとって身体も頭もリフレッシュ。と同時に、日本の“イネムリ”は社会秩序に対するささやかな反逆でもあり、電車中の異性へのアプローチの手段でもある」と書かれているようです。ドイツ人の中には、日本の“居眠り”に憧れている人もいるようです。
担当編集者のひとこと
ドイツ人禅僧による、ニッポン修行体験記
著者は、ドイツ人のお坊さんです。現在は、兵庫県の山奥にある禅寺の住職をしています。
ドイツで生まれ育った著者は、高校生のときに出会った坐禅に魅せられ、以来、「日本で出家してお坊さんになる」ことが、人生の目標となりました。
しかし、いざ来日してみたものの、思うような修行生活をおくることができませんでした。どこのお寺も門を閉ざすばかりで、来日したばかりの外国人が修行できる環境はごく限られていました。彼の目には、日本のお坊さんの多くが「修行して仏となる道を目指す」というより、「寺の経営や葬式・法要を営む」ことに熱心であると映ったようです。
失望と流転の末、ようやくたどり着いたのが、現在住職を務める安泰寺というお寺でした。そこは兵庫県の人里離れた山奥にあり、「檀家ゼロ、自給自足、坐禅三昧」を標榜する、著者にとっては理想的な修行道場でした。
それからも、京都の名刹や、山中での仙人修行、大阪城公園でのホームレス修行生活など、「大人の修行」を目指して日本中を駆け巡りました。
修行の理想と現実のギャップ、己の不甲斐なさに悩み苦しみながらも、ときにユーモアを交えて日本での修行生活を振り返ったのが、本書『迷える者の禅修行』です。
外国人修行僧の「異文化体験」を通して、みなさんもぜひ禅寺の奥の奥をのぞいてみませんか?
2011/01/25
著者プロフィール
ネルケ無方
ネルケ・ムホウ
禅僧。1968年ドイツ生まれ。高校時代に坐禅と出会い、来日して仏道を志す。1993年、兵庫県の安泰寺(曹洞宗)にて出家得度。京都の名刹や大阪城公園でのホームレス修行生活などを経て、2002年から2020年まで同寺の住職をつとめる。著書に『迷える者の禅修行』『迷いは悟りの第一歩』(以上、新潮新書)、『日本人に「宗教」は要らない』(ベスト新書)、『読むだけ禅修行』(朝日新聞出版)などがある。