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先達の言葉は海のごとく広く深い。心に刻むべき98人の思索。

日本人の叡智

磯田道史/著

821円(税込)

本の仕様

発売日:2011/04/16

読み仮名 ニホンジンノエイチ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書
判型 新潮新書
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-610414-5
C-CODE 0221
整理番号 414
ジャンル 倫理学・道徳、教育・自己啓発、趣味・実用
定価 821円

先達の言葉にこそ、この国の叡智が詰まっている。仁愛を決断の基本とした小早川隆景、一癖ある者を登用した島津斉彬、時間と進歩の価値を熟知していた秋山真之、教養の正体を見抜いていた内田百けん、学問を支えるのは情緒と説いた岡潔……。約五百年にわたる日本の歴史の道程で生み出された九十八人の言葉と生涯に触れながら、すばらしい日本人を発見する幸福を体感できる珠玉の名言集。

著者プロフィール

磯田道史 イソダ・ミチフミ

1970(昭和45)年岡山市生まれ。歴史家。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。2018年3月現在、国際日本文化研究センター准教授。『武士の家計簿』(新潮ドキュメント賞受賞)、『天災から日本史を読みなおす』(日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『日本史の内幕』など著書多数。

目次

はじめに
小早川隆景――決断
曽呂利新左衛門――寵愛
島井宗室――不言
鍋島直茂――後悔
水野勝成――気概
江村専斎――程々
鹿野武左衛門――落語
安東省庵――虚心
津軽信政――洞察
徳川吉通――仁政
細井広沢――芸道
中根東里――清貧
穀田屋十三郎――互助
牛田権三郎――相場
加賀千代――独身
宇佐美恵助――直言
近松茂矩――諜報
細川重賢――撫民
三浦梅園――合理
堀勝名――法律
細井平洲――人選
慈雲――浩然
徳川治保――茶事
田中玄宰――政治
司馬江漢――悟道
塙保己一――一途
只野真葛――寛容
大槻玄沢――徹底
松平定信――公開
渡辺崋山――商売
有馬頼永――堅物
島津斉彬――人材
黒沢庄右衛門――処世
佐藤一斎――教化
緒方洪庵――毅然
日柳燕石――国境
橘曙覧――正直
横井小楠――学問
本間玄調――仁術
安井息軒――役人
西郷隆盛――卑怯
山岡鉄舟――借金
浜田彦蔵――文明
栗本鋤雲――衛生
陸奥宗光――不屈
坂本直――龍馬
勝海舟――行革
大橋佐平――時機
正岡子規――試験
イザベラ・バード――子供
手代木勝任――暗殺
長岡護美――雷同
橋本雅邦――画道
小村寿太郎――国民
山路愛山――読書
秋山真之――進歩
板垣退助――世襲
森村市左衛門――鍛錬
安田善次郎――機運
大隈重信――価値
早川千吉郎――算盤
杉浦重剛――器量
津田梅子――智育
秋山好古――中流
北村兼子――婦人
堺利彦――文章
朴敬元――女傑
馬越恭平――心痛
東郷平八郎――無言
高橋是清――努力
益田鈍翁――健康
小川芋銭――悠然
西園寺公望――大臣
桐生悠々――博愛
大錦卯一郎――稽古
狩野亨吉――相対
島田叡――決然
鈴木貫太郎――能率
小泉又次郎――身分
小平浪平――達観
大河内正敏――味覚
本多静六――幸福
尾崎行雄――選挙
相馬愛蔵――叱正
小林一三――結婚
藤原銀次郎――雇用
山本玄峰――心眼
柳田国男――教育
山梨勝之進――交渉
内田百けん――教養
徳川夢声――話術
古今亭志ん生――辛抱
岡潔――情緒
新名丈夫――気骨
加藤唐九郎――欲望
松田権六――批評
土光敏夫――会議
寺田栄吉――予算
謝辞
索引

インタビュー/対談/エッセイ

波 2011年5月号より 幾多の困難を前に先達は「どう生きたか」

磯田道史

書棚のあいだで、めちゃめちゃに揺すられ、空から古文書が降ってくるなかを命からがら抜け出たものの、どこにも行くあてがないから、また書物蔵のなかに這入っていくしかない。這入ったら這入ったで、また余震で揺すられた。
それでも書物蔵には、古文書やら書物が沢山あって、自分が「どう生きるか」はわからないけれども、幾多の困難を前にこの国の先達が「どう生きたか」はわかる。古めかしい書物のなかに、無名ながらこれは素晴らしいと思える人物をみつけたり、これは深遠な哲学だと思える言葉に触れたりすると、わたしは、ぶったおれるほどに感動する。『日本人の叡智』にはその感動をそのまま書いた。
このごろはインターネット上になんでも書いてある。ただ、悲しむべきことに、ネット情報が増えたせいもあって、歴史について書かれるものが判で押したように似たものになってきた。
たとえば、西郷隆盛について書かれるとき、このごろはすぐに『西郷南洲遺訓』にある「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり」が引用される。同じような歴史人物像がひろめられ、みながそれで納得し合う時代になっているのかもしれない。
それでとにかく、アナログの極致といっていい作業をして、ネット上にない文字列をみつけることにした。鹿児島県の小さな温泉町に残る西郷逸話もさがす、『大西郷全集』の西郷書簡をすべて読んで自分の心に何が残ったか自問する、未公表の西郷書簡を手に取って彼の心事をさぐる。とりあげた98人すべてについて、そういう下作業をしてみた。
この本の元になったのは朝日新聞土曜版の連載で、掲載欄が小さいうえに、毎週、締め切りがきた。下作業はしたものの、十分、文章に生かせなかった悔しさものこるが、一応、あちこち這いずり回って人物の真に迫る、その志だけは腰砕けにならぬようにつとめた。
書物蔵のなかには、ネット上では紹介されない、無名の賢人が数知れずいた。この国の津々浦々には、よほど沢山の素晴らしい人たちが息づいていたのだろう。「この人のことは忘却してはいけない」と感じたら、素直にそれにしたがって、その人が生涯に書いたものすべてをあつめて、深夜、小さなともしびの下で、それを読んだ。先達の言葉は海のごとく広く深かった。「自分がどう生きるか」などということは皆目わからなかったが、そうしていると、気持ちがおちついた。とにかく、夢中になって書いた本で、いまだにその夢がさめない。

(いそだ・みちふみ 茨城大学准教授)

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