ディズニーランドの秘密
814円(税込)
発売日:2011/07/15
- 新書
なぜ特別な存在なのか? 魔法の王国を100倍深く味わうために。
なぜディズニーランドは特別なのか。他の遊園地との違いはその「ストーリー性」にある。そして、その「ストーリー」とは、ウォルトの人生や米国の歴史と切り離せないものだった。「最初の構想は交通博物館」「ホーンテッド・マンションがフランス風である理由」「トゥモローランドは企業パビリオン」「三つの“マウンテン”は一大方針転換」等、意外なエピソードが満載! 夢の国をより深く味わえるようになる一冊。
主要な参考文献
書誌情報
読み仮名 | ディズニーランドノヒミツ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610428-2 |
C-CODE | 0276 |
整理番号 | 428 |
ジャンル | 産業研究 |
定価 | 814円 |
蘊蓄倉庫
ディズニーランドの人気アトラクション、「スプラッシュ・マウンテン」にはウサギやカメ、クマ、カエル、キツネが登場します。ディズニーの『スプラッシュ』は人魚の映画のはずなのに、なぜウサギやキツネなのか。実は「スプラッシュ・マウンテン」の元になっているのは、この映画ではなく、アメリカの民話をベースにした『南部の唄』という映画なのです。この映画に出てくる動物たちが、ウサギ、キツネ等々なのです。じゃあなぜそれに「スプラッシュ~」という名前が付いたのか。その先はややこしいので本書をお読みください。
担当編集者のひとこと
妄想の楽園
自分の趣味で埋め尽くされた世界を作るというのは、誰にでもある欲望でしょう。部屋をキティちゃんだらけにする人もいれば、アイドルのポスターを貼りまくる人もいます。そういうのを笑う人もいるでしょうが、北欧調の家具でインテリアを統一するというような行為も、同じライン上にあるような気がします。小説なら江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』、映画なら『チャーリーとチョコレート工場』等も、この手の欲望を描いたものになります。
現実の世界では、マイケル・ジャクソンの作ったネバーランドが有名でしょう。自宅に大好きな遊園地を作ってしまったのだから羨ましいというか馬鹿馬鹿しいというか。ともかく自分の妄想を形にしたそのパワーは素晴らしいと思います。
そのマイケルが大好きだったディズニーランドも、創立者ウォルト・ディズニーの欲望が具現化したものです。ウォルトは子供の頃からの鉄道マニア。今でいう「鉄ちゃん」でした。仕事仲間のアニメーターが自宅の庭に中古の機関車を持っているのを見て、ウォルトは死ぬほど欲しがります。そして、ぜひそれを譲ってくれと頼んだものの、あっさり断られてしまいました。
それならば、と自分の作るパークに彼は趣味を反映させることにします。だから園内を汽車が走っているのです。鉄道に限らず、ランドの中にある乗り物や街並みには、ウォルトの生い立ちや趣味が大きく影響しています。
『ディズニーランドの秘密』には、ランドを理解するうえで必要なウォルトの人生や米国の歴史、そこから生れた様々なストーリーが描かれています。ランドをより重層的に楽しめるようになることを保証します。
2011/07/25
著者プロフィール
有馬哲夫
アリマ・テツオ
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学社会科学総合学術院教授(公文書研究)。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2016年オックスフォード大学客員教授。著書に『原発・正力・CIA』『日本人はなぜ自虐的になったのか』など。