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いけばな―知性で愛でる日本の美―

笹岡隆甫/著

770円(税込)

発売日:2011/11/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

家元直伝。かくも新鮮な伝統文化のエッセンス。

「女性の稽古事」「センスの世界」だなんて大間違い! 理論派として知られる「未生流笹岡」の新家元が、三歳から先代に叩き込まれた古典の型、生まれ育った京都の風土、そして大学で学んだ建築学を背景に、いけばなの歴史・型・美意識を読み解けば――。カキツバタとアヤメ、ショウブの違いからアルミサッシの左右、座布団の前後の見分け方まで。いけばなを通じて日本文化の粋がわかる知的入門書。

目次
はじめに――男性にこそいけばなを
序章 理系向きのたしなみ
数学的な美意識/型の意味/名人の花、素人の花/華道家の思考方法/鑑賞の作法/気の利いたコメント/フラワーアレンジメントとの違い/ヌーベル・キュイジーヌ/華道家は傲慢?/人間も自然の一部/美の象徴として
第一章 「供える」から「愛でる」へ
いけばなのルーツ/仏前の供花/鑑賞の花/寄合の花/同朋衆の活躍/園芸の花/数百もある流派/主要流派と四つの型/意外に新しい家元制度/免許のしくみ/花が七割、人の手は三割/フラワーアレンジメントのルーツ
第二章 型に反映された思想
日本人の自然観/華道という「道」/宗教的世界観の投影/陰陽五行説/西洋的二元論との違い/なぜ東が左京で西が右京か/雛人形とアルミサッシ/上座床、下座床/奇数を尊ぶ/座布団の前後/万物を作る五つの元素/五行に対応する色/水と火の関係/色にも上下がある/最上位の色
第三章 変わるデザイン、変わらぬ美意識
最古の型/大名書院の装飾/町人好みのシンプルさ/外来植物への対応/植物を用いたアート/いけばなか否か/遊芸的な花の系譜/謎語画題/桂も日光も源流は同じ/不完全なものを尊ぶ/左右非対称への志向/くずしの美/天地人/生花に見る正面性/余白の美/時の移ろいを愛でる/白銀比に無常を見る/茶の湯の花
第四章 四季をいける
松には神が宿る/成長繁栄を象徴する竹/百花に先がける梅/新年の花とりどり/結び柳と椿/節句の花/いずれアヤメかカキツバタ/菊は縁起が悪い?/矯めの技法/歴史の浅い剣山/蓮に極楽浄土を想う/桜は鋏を入れず/南天に支えられる牡丹/藤に酒を飲ませる/養いあの手この手/檜扇は京都に限る/禁じられた花/いけ方のタブー
終章 伝統とは変わること
高度成長期に迎えたピーク/男性教授待望論/新たな市場を求めて/私のルーツ/世襲のメリット/両親と祖父母の影響/経済効率が優先しない街/型破りを目指して/京都に住まえば/日本建築と日本文化/DO YOU KYOTO?/舞台芸術としてのいけばな/次の世代に伝えたいこと
おわりに
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 イケバナチセイデメデルニホンノビ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610442-8
C-CODE 0276
整理番号 442
ジャンル 華道
定価 770円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/05/25

蘊蓄倉庫

アルミサッシに見る陰陽思想

 旅先の宿などで、ずらりと並ぶ障子や襖。きちんと閉めたつもりが、あらぬ方向に引き手があったり、どう扱っていいのか悩んだりしたことはありませんか。
 答えは簡単。左右のうち「左が上位」、とさえ覚えておけば大丈夫です。ただし、向って左ではなく、障子や襖の側に立って考えるのがコツ。つまり、向って右が手前に、向って左が奥になるのが正しい状態なのです。
 日本古来のこのルール、家庭や職場のアルミサッシにもあてはまるので、ぜひご確認を。着物の襟合わせや舞台の上手下手、左大臣と右大臣の序列なども、これで説明できます。
 背景となる陰陽思想が、いけばなの美にどう活かされているかについては本書で。いけばなの歴史や型のわかりやすい解説はもちろん、座布団の前後を一目で見分ける術など、生活に役立つうんちくも満載の一冊です。
掲載:2011年11月25日

著者プロフィール

笹岡隆甫

ササオカ・リュウホ

1974(昭和49)年、京都生まれ。華道家。京都大学工学部建築学科卒、同大学院修士課程修了。2011年11月、「未生流笹岡」三代家元継承。環境破壊防止を訴える「DO YOU KYOTO? ネットワーク」世話人。著書に『美的生活のヒント』『百花の教え』。

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