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傷ついた日本人へ

ダライ・ラマ14世/著

748円(税込)

発売日:2012/04/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

今こそ日本は「次の段階」へ――。震災後の日本で語られた渾身のメッセージ。

東日本大震災後、ダライ・ラマ14世は来日を強く望み、霊山・高野山や東北の被災地などで多くの日本人に語りかけた。困難や逆境を克服するにはどうすべきか、豊かになっても幸福を感じないのはなぜか、孤独や嫉妬から抜け出す方法はあるのか、あの震災は私たちに何を問いかけているのか――。日本人が「次の段階」へ移行するために、自らも苦難と激動の人生を歩んできた法王が語る渾身のメッセージ。

目次
第一章 自分の人生を見定めるために
仏教のことを知らずに仏教徒になる日本人
自分にあった宗教こそ「最高の宗教」である
倫理こそユニバーサルな基準となる
仏教に祈るべき「神」はいない
チベット仏教は論理学を重んじる
仏教と科学は同じ夢を見ている
第二章 本当の幸せとはなにか
幸せは単なる快楽と反応に過ぎないのか
二十世紀における幸せの頂点と限界
利己的で短絡的な人間の行く末
二十一世紀は正反対の価値観に切り替える
「心の平和」という新しい幸せの基準
愛情がなければ生物は生きられない
自分から世界へ愛を拡大する
慈悲を持つための二つの思考法
教育にも「心」の科目を
心はカメラに映らない
第三章 私はどこに存在しているのか
ダライ・ラマは目の前にいない
あなたは「あなた」を見つけられますか
全てに実体はなく、その本質は空である
この世界には二つの真理がある
『般若心経』には「空」を悟った瞬間が書かれている
たった一文字に込められた真理
「嫌いな人」を「空」として見てみると
第四章 苦しみや悲しみに負けそうになったら
圧倒的な悲劇を嘆くのは当然のこと
悲しみが深いからこそ力になる
苦しみを分析すると見えてくるもの
敵を大きくしているのは自分
行為と人格を切り離して考える
子どもを叱るときに気をつけること
優れた知性は悩みが深いというジレンマ
第五章 心を鍛えるにはどうしたらいいか
生物は煩悩から逃げられない
生まれてくることは「苦」であるということ
解脱はゴールではなく通過点である
誰でも仏陀になることができる
悟りの境地へのアプローチ
空の智慧を知り、考え、同化する
仏教の勉強を疎かにしている僧侶たち
お寺も仏像も何も教えてくれない
第六章 数式では測れない心というもの
科学は精神を捉えられていない
脳科学者たちも意識が何かわからない
輪廻には論理性がある
瞑想の効果で脳細胞が変わる
「私の教えを信じるな」という釈尊
ビッグバンの前の宇宙はどうなっていたか
「無のように思われる空間」に迫る
もし時間に単位がなかったら
刹那の変化を捉えることはできない
第七章 この世で起こることには必ず理由がある
全ての事象にはタネがある
「因果の法則」三つのルール
「行為」も因果を引きおこす
因果応報と自業自得
死んでも消えないカルマをどうすればいいのか
なぜ大震災は起こってしまったのか
人間が起こしたことは人間が解決できる
これからも日本のみなさんと
ダライ・ラマ法王を迎えて
チベットと日本の絆

書誌情報

読み仮名 キズツイタニホンジンヘ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610462-6
C-CODE 0214
整理番号 462
ジャンル 哲学・思想
定価 748円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/10/12

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ダライ・ラマ捜索隊

「ダライ・ラマ」とは人名でなく、チベット仏教最高指導者の僧侶を表す呼称で、その存在は転生するとされます。ダライ・ラマが亡くなると僧侶たちが転生者探しをはじめ、お告げや予言を元に国中を捜索し、候補者の子供に前世の記憶があるかなどを審査します。
 現在のダライ・ラマ法王は14代目。チベット東北部の農家に生まれた法王は、2歳の時に捜索隊によって発見され、転生者と認定されました。ただし講演の中では「私は皆さんと同じ一人の普通の人間です。生き仏という自覚もない。悩みもあるし、悲しみに負けそうになることもある。日々よりよい人間になれるよう修行中です」と話しています。
掲載:2012年4月25日

担当編集者のひとこと

ダライ・ラマの意外な素顔

「ダライ・ラマの顔は知っているけれど、話を聞いたことはない……」そんな日本人がほとんどでしょう。本書は二〇一一年秋に日本で行われた延べ10時間にわたる講演と法話を一冊にまとめたもの。被災した日本人へのメッセージと共に、法王の思考のエッセンスや素顔を知ることができます。
 意外なことに法王は無類の科学好き。「ニュートン」などの科学誌を愛読し、世界中で第一線の科学者と交流を持っています。今回の講演でも脳科学者の茂木健一郎氏をはじめ、宇宙学者や生物学者と対談。ビッグバン理論やカオス理論などの最先端科学が、千年以上も前の仏教の教えと酷似していることに驚かされました。

2012/04/25

著者プロフィール

1935年チベット東北部生まれ。2歳でダライ・ラマ13世の転生者と認められ、15歳で国家最高指導者に。中国の侵略を受け、1959年インドに亡命、亡命政府を樹立する。以来祖国に戻ることができないまま世界各地で平和活動を行う。1989年ノーベル平和賞受賞。

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