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恐山―死者のいる場所―

南直哉/著

858円(税込)

発売日:2012/04/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

人は死んだらどこへゆく――。「恐山の禅僧」かく語りき。

死者は実在する。懐かしいあの人、別れも言えず旅立った友、かけがえのない父や母――。たとえ肉体は滅んでも、彼らはそこにいる。日本一有名な霊場は、生者が死者を想うという、人類普遍の感情によって支えられてきた。イタコの前で身も世もなく泣き崩れる母、息子の死の理由を問い続ける父……。恐山は、死者への想いを預かり、魂のゆくえを決める場所なのだ。無常を生きる人々へ、「恐山の禅僧」が弔いの意義を問う。

目次
まえがき
第一章 恐山夜話
この世の果て/温泉場としての恐山/「恐山のイタコ」はいない/欲望をイタコにぶつける人々/死後の世界は「あるのか、ないのか」/カナダ人とイタコ/帰らぬ父と、母の歌/幽霊の正体/老夫婦の五月人形/死者の遺服/極楽への魂呼び/魂とは何か/「取引」でこじれる親子関係/あなたがそこにいてくれるだけでうれしい/人は死んだらどこへゆく/また会いに来るからね/恐山はパワーレス・スポット/魂の行方を決める場所
第二章 永平寺から恐山へ
二十年の修行生活/永平寺で死にたかった/修行道場の「ダースベイダー」/下山の決意、恐山との縁/永平寺と恐山/はじめての恐山/梁山泊サンガ結成
第三章 死者への想いを預かる場所
毎日が驚きの連続/仏教では割り切れない場所/死者は実在する/生者から欠落したもの/死は生者の側にある/恐山を問い続ける/日常をリセットできる場所/集まってくる民間霊能者/宗教者の素質/不安を共有するセンス/死者に何を預けるのか/自分の死と他人の死/人は死んでも関係性は消えない/詫びるなら生きているうちに/恩讐の彼方に/恐山とは巨大なロッカーである/「一番の供養」とは何か/変化する死者儀礼/不変の器
第四章 弔いの意味
君には信仰がない/仏教は生きるテクニック/弔いの根底にあるもの/葬儀のイノヴェーション/「これからも大丈夫」と老僧は言った/情報化する死者/自分らしい逝き方/因果律を破る死と大往生/弔いの意味を問う/お葬式を頼まれるお坊さんになれ/死者を想うための器/死者と適切な距離を保つために/死者は懐かしくて恐いもの
無常を生きる人々 あとがきに代えて
彼らは来た/悲しめない心/死者がいない人たち/教義の無力/無常を生きる/近代の敵意/死を放つ場所/死者を抱えなおす社会

書誌情報

読み仮名 オソレザンシシャノイルバショ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610464-0
C-CODE 0215
整理番号 464
ジャンル 宗教、文化人類学・民俗学
定価 858円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2012/10/12

著者プロフィール

南直哉

ミナミ・ジキサイ

青森県恐山菩提寺院代(住職代理)、福井県霊泉寺住職(ともに曹洞宗)。1958年長野県生まれ。1984年、出家得度。曹洞宗永平寺で約二十年修行生活をおくり、2005年より恐山へ。2018年、『超越と実存』(新潮社)で小林秀雄賞受賞。著書に『日常生活のなかの禅』(講談社選書メチエ)、『老師と少年』(新潮文庫)、『恐山 死者のいる場所』(新潮新書)、『死ぬ練習』(宝島社)などがある。

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