防衛省
814円(税込)
発売日:2012/07/17
- 新書
- 電子書籍あり
予算4兆円、23万人を抱える巨大組織のAtoZ。
「防衛省」と「自衛隊」は同一の組織である。同一の組織に二つの名前。なぜこんなことになっているのか。原因は日本の安全保障が抱える「ややこしさ」にある。でも、「ややこしい」からといって知らずには済まされない。日本軍と自衛隊はどういう関係か? 防衛庁と防衛省はどこが違う? 自衛隊の実力は? 予算四兆円超、二十三万人を抱える巨大組織の歴史、実力、課題、問題点を意外な事実、秘話を交えて解説する。
参考資料
書誌情報
読み仮名 | ボウエイショウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610476-3 |
C-CODE | 0231 |
整理番号 | 476 |
ジャンル | 政治 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2013/01/18 |
蘊蓄倉庫
大昔に沈んでいた戦艦大和を改造して、宇宙に飛び立たせる、というのが「宇宙戦艦ヤマト」の序盤のストーリーでした。荒唐無稽にも見えますが、よく似たような話が実際にあったのです。1945年7月に米軍の攻撃で瀬戸内海に沈められた駆逐艦「梨」が、引き揚げられたのは戦後9年も経った1954年のこと。普通ならスクラップですが、状態が良かったため「梨」は手入れをされた後に、海上自衛隊の警備艦として蘇り、1971年まで働くことになりました。こんな意外なエピソードを交えながら、防衛省・自衛隊の全貌を徹底解説したのが『防衛省』(能勢伸之・著)です。
担当編集者のひとこと
「戦車カッコイイ」では済まない
知人の手引きで、自衛隊関連のイベントを見に行くことが何度かありました。アホみたいと言われることでしょうが、見るたびに「カッコいいなあ」「すごいなあ」と小学生のような感想を持ちます。
毎年武道館で行われる「自衛隊音楽まつり」では、ブラスバンドや儀仗隊の統制の取れた動きに感嘆し、総勢200名を超える自衛太鼓の迫力に圧倒されました。富士総合火力演習では、本物の武器の爆音、威力に圧倒されました。
見ている最中は、「戦車、カッコイイ!」と喜ぶ小学生レベルの感性になっているわけです。上の一段落の文章は「夏休みのえにっき」みたいです。
しかし、大人としてはそれだけではまずいようにも思います。なにせ、防衛予算は年間4兆円以上。これが世界基準で多いかどうかは議論の分かれるところでしょうが、膨大な金額なのは確かでしょう。しかも、近所にはしょっちゅうミサイルを発射している国もある。
やはりある程度、安全保障については知っておいたほうがいいのは間違いありません。
ところが、この分野は専門用語も多く、また政治的な立場によって見解が異なる問題も多いため、とてもややこしく、全体像を知るのが難しいようです。また、自衛隊関連の書籍というと、どうしても装備(武器など)についての解説のほうが目立ちます。
そこで本書『防衛省』の出番です。本書では、組織としての防衛省の成り立ち、現状、問題点等を中心に解説しています。素人にもマニアにも満足していただける内容になっております。
「素人」「無知」と評された過去の防衛相たちも、この本を読んでいたら、ああはならなかったかもしれません。
2012/07/25
著者プロフィール
能勢伸之
ノセ・ノブユキ
1958(昭和33)年京都市生まれ。フジテレビ解説委員。早稲田大学第一文学部卒。報道局勤務、防衛問題担当が長く、1999年、コソボ紛争をベオグラードとNATO本部の双方で取材。著書に『ミサイル防衛』『検証:日本着弾』(共著)がある。