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〈有機栽培だからおいしい〉〈日本人の舌は厳しい〉〈農業は成長産業だ〉←全部、ウソです。「ちょっとでも食や農に興味がある人は読んでおいたほうがいい」養老孟司さん推薦!!

日本農業への正しい絶望法

神門善久/著

842円(税込)

本の仕様

発売日:2012/09/14

読み仮名 ニホンノウギョウヘノタダシイゼツボウホウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 238ページ
ISBN 978-4-10-610488-6
C-CODE 0261
整理番号 488
定価 842円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2013/03/15

「有機栽培」「規制緩和」「企業の参入」等のキーワードをちりばめて、マスコミ、識者が持て囃す「農業ブーム」は虚妄に満ちている。日本農業は、良い農産物を作る魂を失い、宣伝と演出で誤魔化すハリボテ農業になりつつあるのだから。JAや農水省を悪者にしても事態は解決しない。農家、農地、消費者の惨状に正しく絶望する。そこからしか農業再生はありえないのだ。徹底したリアリズムに基づく激烈なる日本農業論。

著者プロフィール

神門善久 ゴウド・ヨシヒサ

1962(昭和37)年島根県松江市生まれ。京都大学博士(農学)。明治学院大学経済学部教授。独自のネットワークを駆使して農業の研究を続ける。著書に、『日本の食と農』(サントリー学芸賞、日経BP・BizTech図書賞受賞)、『さよならニッポン農業』など。

目次

まえがき
第1章 日本農業の虚構
1 二人の名人の死
2 有機栽培のまやかし
3 ある野菜農家の嘆き
4 農地版「消えた年金」事件
5 担い手不足のウソ
6 「企業が農業を救う」という幻想
7 「減反悪玉論」の誤解
8 「日本ブランド信仰」の虚構
第2章 農業論議における三つの罠
1 識者の罠
2 ノスタルジーの罠
3 経済学の罠
4 罠から逃れるために
第3章 技能こそが生き残る道
1 技能と技術の違い
2 農業と製造業の違い
3 日本農業の特徴
4 欧米農業との対比
5 技能集約型農業とマニュアル依存型農業
6 技能こそが生き残る道
7 貿易自由化と日本農業
第4章 技能はなぜ崩壊したのか
1 日本の工業化と耕作技能
2 政府による技能破壊
3 農地はなぜ無秩序化したか
4 放射能汚染問題と耕作技能
第5章 むかし満州いま農業
1 沈滞する経済、沈滞する農業
2 農業ブームの不思議
3 満州ブームの教訓
4 満州ブームと農業ブームの類似性
第6章 農政改革の空騒ぎ
1 ハイテク農業のウソ、「奇跡のリンゴ」の欺瞞
2 「六次産業」という幻想
3 規制緩和や大規模化では救えない
4 JAバッシングのカン違い
5 JAの真の病巣
6 農水省、JA、財界の予定調和
7 農業保護派の不正直
8 TPP論争の空騒ぎ
9 日本に交渉力がない本当の理由
第7章 技能は蘇るか
1 「土作り名人」の模索
2 残された選択肢
3 消費者はどうあるべきか
4 放射能汚染問題と被災地復興対策
終章 日本農業への遺言
主要な参考文献

担当編集者のひとこと

厳しく不都合な真実

『日本農業への正しい絶望法』は、タイトル通り農業に関する本です。近年、農業に関しては新聞、テレビ、雑誌等でも取り上げられる機会が増えました。後継者不足に苦しむ農家の話などもありますが、どちらかというと「日本の農業には底力がある、未来がある」といった論調のほうが人気のようです。
 若くてやる気ある農家が増えている、都会の女性も農業に興味を持っている、日本産の野菜や果物は高品質だから海外でも高値で売れる、異業種の企業が参入して、大規模農業に着手して成果を挙げている――こういうトーンのものを目にしたことがある方も多いことでしょう。
 こういう話は聞いていて心地良いものです。日本には底力があるのだ、と勇気付けられます。
 残念ながら、こうした楽観論を真っ向から否定しているのが『日本農業への正しい絶望法』です。トン単位で冷や水をぶっかけているような内容です。
「若い担い手」を求めていない農村もある、日本産の野菜は喧伝されるほど高品質とは言えない、企業が参入して成功している例はほとんどない――こんな調子です。
 一時期ブームになった「奇跡のリンゴ」についても、こう評しています。

「ハイテク農業の真反対で、粗放農業を褒めそやす傾向もある。農薬も肥料も撒かず、自然のままに農作物を育てるというものだ。粗放農業でよい作物を作れ、お金も儲けられる……いかにも自然や環境を愛する都市住民に受けそうな話だ。
(中略)
(「奇跡のリンゴ」のような本は)もっぱら都市の消費者に評判はよいが、よほど特殊な事情が重ならないかぎり粗放農業は経営的にペイしない。「奇跡のリンゴ」そのものの成功を否定するわけではないが、そうした成功はまさに「奇跡」のような確率でしか起きないことを肝に銘じるべきだ。」(p.151)

 せっかく盛り上がってるのに、水を差すんじゃないよ、と思う方もいるかもしれません。しかし、厳しくても現状を正しく知り、正しく絶望する。そこからしか農業の再生は考えられない、と著者は指摘しています。
 独自のネットワークを駆使して農業の研究を続ける著者でしか書けない、徹底的にリアルな農業論をぜひお読みください。

2012/09/25

蘊蓄倉庫

有機栽培のまやかし

『日本農業への正しい絶望法』は、巷に溢れる「楽観的農業論」のウソについて厳しく批判を加えています。たとえば「有機栽培は安全で美味しい」という“定説”はウソだ、と著者の神門善久(ごうどよしひさ)氏は断じます。全国各地の農業視察をした神門氏の実感は「有機栽培を謳っている農産物の大半は自然環境に悪くて食味も悪い」というもの。その理由の一つとして、有機肥料の原料となる家畜の糞尿の処理の技能の低下を挙げています。性質の悪い農業者が、直売所を「ごみ箱」と呼んで、出来の悪いものを並べているケースまであるのだそうです。
掲載:2012年9月25日

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