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ひっかかる日本語

梶原しげる/著

814円(税込)

発売日:2012/10/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

あのトイレの張り紙は失礼じゃないの? 池上彰さんはなぜあんなに説明上手なの? 「東京03」は「ゼロサン」? 「れいさん」? なにもかも、ああひっかかる、ひっかかる。

あのトイレの張り紙って失礼じゃないのか? 「東京03」は「ゼロサン」? 「レイサン」? なぜ池上彰さんの説明はあんなにわかりやすいのか? なぜ女性は面接に強いのか? 目にする言葉、耳にするしゃべりの何もかもがひっかかる、ああひっかかる……「しゃべりのプロ」が、生来の粘着質をフル稼働。あちこち聞き回り、とことん考えた。偏執の彼方から贈るカジワラ流現代日本語の基礎知識とコミュニケーションの秘訣。

目次
まえがき
第1章 ひっかかる日本語
1 「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」
2 あなたはゼロ派? レイ派?
3 「ワンエルディーケー」の将来
4 無礼な葬儀屋と親切な葬儀屋
5 ニュースは紋切り口調で一杯
6 しつこいセールス撃退法
7 上から目線
8 敬語が出来ない政治家って
9 「常套句」に逃げ込む人たち
10 私が見た「最悪の講演」
11 「名詞+です」問題を考える
12 「間が悪い」東電幹部
第2章 脱帽する日本語
1 池上彰さんの説明はなぜわかりやすいのか
2 池上彰さんとサンデル教授の共通点
3 日本一のインタビュアーの裏技
4 カリスマキャバクラ嬢はすごかった
5 梨元勝さんはつかみ名人だった
6 田原総一朗さんの獰猛さ
第3章 伝えるには知恵が要る
1 上司から部下への「読み聞かせ」のススメ
2 「ちょっとした立ち話」をあなどるな
3 ラジオ通販はなぜ売れる
4 聞き方訓練のススメ
5 最強のホメ技とは?
6 口下手はいいけれども口無精はだめ
7 ネット動画での作法
8 毒になる数字、薬になる数字
9 下戸のための酒場遊泳術
第4章 印象は口と舌で変わる
1 ダメ出しの作法
2 機内アナウンスに「新生JAL」を見た
3 女性はなぜ面接に強いのか
4 口下手のためのコミュニケーション講座
5 若手に贈る「中高年克服法」
6 「モテたいなら話を聞け」は本当か
7 テキパキにこだわらない

書誌情報

読み仮名 ヒッカカルニホンゴ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610489-3
C-CODE 0281
整理番号 489
ジャンル 言語学、教育・自己啓発、趣味・実用
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/04/12

インタビュー/対談/エッセイ

波 2012年11月号より 「だ抜き」言葉の無責任

梶原しげる

年末恒例「新語・流行語大賞」のトップテンに、今年は「決められない政治」が入るかもしれない。そうなれば野田総理は昨年の「どじょう内閣」に続いて二年連続の栄冠に輝くことになる。
その「決められない政治」と同じぐらい深刻だと一部で騒がれている「決められない日本語問題」をご存知だろうか。
「だ抜き+思います」表現だ。
例えば、こんな場面で使われる。
上司「例の件どうだ?」
部下「大丈夫と思います……」
この返事の場合、まず「思います」にひっかかって、「優柔不断だ!」と怒る上司もいるだろう。「大丈夫です!」と毅然として答えるべきだと言うのだ。
一方で本来「大丈夫“だ”と思います」の「だ」が抜け落ちていることについては、「慎重で丁寧な物言い」と評価する人がいないとは言えない。でも、私は「だ抜き」のほうもアウトだと思う。「決められない」に直結するからだ。
患者「先生、私の経過どうですか?」
医師「大丈夫と思いますよ」
話し手は「大丈夫だ」の「だ」を抜くことで断定を巧妙に避けているのだ。
あとで大丈夫でないことが判明した時、責任を追及されたくない。この種の表現を私は「防衛的曖昧表現」と呼んでいる。ちなみに、この手の「決めない・決断しない」=無責任な立場を取る人々が徐々に増えている状況を「非ズバリ化」として分析したのは私の友人でNHK放送文化研究所の塩田雄大さんだ。
「だ抜き」の蔓延に私が気づいたのは数年前、某洋品店でジャケットを購入した時のこと。
「このジャケット私に似合いますか?」
店員さんに尋ねたところ「お似合いと思いますよ」……その「だ抜き」にひっかかった。
「この店員、本当は似合うとは思っていないかもしれない。いや、似合うかどうかの判断さえ避けようとしているのではないか? それが無意識に言葉に出ているのではないか?」
実際、冷静になってみるとあまり似合わないジャケットであった。以来「素敵と思います」「上品と思います」等々、「だ抜き+思います」を使う人の言葉は信用しないことにしている。
おそらく、あの店員さんも含めて一般の「だ抜き+思います」には深い意図など無いのかもしれない。しかしこれを「決められない政治家」たちが戦略的に使い始めたら要注意だろう。
「わが党にお任せください。きっと日本は大丈夫と思います」
ひっかかる日本語から世間が見えて来る。
新潮新書一〇月新刊、拙著『ひっかかる日本語』。これぞあなたにお勧めできる一冊“だ”と断言いたします。

(かじわら・しげる フリーアナウンサー)

蘊蓄倉庫

言葉癖5兄弟

 紋切り型の物言いは、相手の心に響かない。『ひっかかる日本語』の著者で、しゃべりのプロである梶原しげるさんはそう考えています。ニュース番組の「この問題は、待ったなしです」といったフレーズはその典型でしょう。私たちの日常生活でよく耳にする紋切り型5つを梶原さんは「言葉癖5兄弟」と呼びます。
 (1)「逆に言うと」(2)「変な話」(3)「要は」(4)「ある意味」(5)「ここだけの話」
 もちろん、これらを使わざるをえない場合もあるのですが、大抵、ほとんど意味なく使われていて、それが問題だというのです。確かに、「ある意味」なんて、つなぎ言葉のように使いがち。
 気をつけないといけないと、肝に銘じました(これもちょっと紋切り型)。
掲載:2012年10月25日

担当編集者のひとこと

wwwって何だよ

「それは日本語としておかしい」とか「その言葉は品が無い」といったことを言う人に対して、若い頃はちょっとうるさいなあと思うことが多かったのですが、近頃は自分がうるさいなあと思われる側になってきました。
 テレビを見ていても、なんだかイライラすることが増えました。
 特に最近、気になるのがツイッターの書き込みがダラダラと流れる趣向の番組が増えたこと。文字が多すぎるだけでもイライラするのに、それに加えてあそこに書かれている文体が腹が立つのです。絵文字だの「www」だのを使っているのを見ると、それだけでイライラします。
 バラエティ番組ならばそれでもまだ許容範囲というか、センスの違いなのだろうと思えなくもありませんが、ニュースでもそういう趣向のものがあります。人の生死にかかわるようなテーマを扱っていたのに、「○○さんの洋服ポップでステキwww」みたいなのが流されているのを見ると、こういうのを作っている人は、きっと葬儀場で笑いながら携帯で喋るのも平気な奴に違いないと思うのです。もしも身内の葬式で「お経長すぎwww」なんて書いている奴を見たら、きっとそいつの葬式を出したくなることでしょう。
 しかし、そうはいってもいちいち局に文句も言いません。本当は放っておかないほうがいいのかもしれませんが、小心ですし面倒だからです。
 そう考えると、昔「おかしい」「品が無い」と小言を言っていた人たちは偉かったのだなあと思います。
『ひっかかる日本語』の梶原さんも、そういう偉い人の一人です。日々目にする、耳にする言葉に、いちいちひっかかり、時には相手を問い詰めるところまでいきます。「粘着気質」の性格を存分に生かしています。
 少しでも日本語に興味がある方、「なんか気になる言葉が多い」と思う方はぜひご一読ください。

2012/10/25

著者プロフィール

梶原しげる

カジワラ・シゲル

1950(昭和25)年神奈川県生まれ。早稲田大学第一法学部卒。文化放送に入社してアナウンサーとなり、1992年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)、日本語検定審議委員。著書に『口のきき方』『すべらない敬語』『即答するバカ』など。

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