ピカソは本当に偉いのか?
792円(税込)
発売日:2012/10/17
- 新書
- 電子書籍あり
「あんな絵」にどうして高値がつくの? みんなホントにわかってるの? アート界の身勝手な理屈をあばいた「目からウロコの芸術論」
「なぜ『あんな絵』に高い値段がつくのか?」「これって本当に『美しい』のか?」。ピカソの絵を目にして、そんな疑問がノド元まで出かかった人も少なくないだろう。その疑問を呑み込んでしまう必要はない。ピカソをめぐる素朴な疑問に答えれば、素人を煙に巻く「現代美術」の摩訶不思議なからくりもすっきりと読み解けるのだから――。ピカソの人と作品に「常識」の側から切り込んだ、まったく新しい芸術論。
目次
はじめに
第一章 絵画バブルの父
私がツバを吐けば、偉大な芸術として売られるだろう/一平米で五十億円/ダ・ヴィンチやミケランジェロも金欠だった!?/ダヴィデ像のお値段は今ならいくら?/芸術家ではなかったミケランジェロ/画商を戦略的に活用したピカソ/絵画の買い手が教会から市民に/「アメリカ値段」によるパリ画壇バブル/ピカソは最初から投機目的で買われた/「通貨」としての絵画/「貧乏画家」だった時代がほとんどない/スタイン兄妹との縁/投資の対象として手堅い「前衛作品」/二十代半ばで地位を確立/衣食足りて「前衛」に
第二章 破壊のための芸術
人間の苦悩の熱狂的なファン/大切なおもちゃを壊す子供のように/まず女を犯し、それから絵に描く/「苦しむ機械」としての女性/苦しまない愛人に「君は怪物だ」/世界を破壊するための芸術/未知なるものが許せない/『アヴィニョンの娘たち』の居心地悪さ/マネ、モネ、ドラクロワ/絵画は破壊の集積である/怒りの産声を上げて誕生/母親の溺愛、父親の期待/「王」を目指して前衛芸術の都パリへ
第三章 人心操作のカリスマ
瞬時に人を魅了する力/黒い瞳の魔術/気分屋がその場を支配する理由/自尊心を意図的に傷つける/予測不可能な言動で相手を幻惑/「ピカソの女」をめぐるアンフェアな記述/絵が惜しくて離婚を拒否したピカソ/最初の結婚に至るまでの女性関係/マリー・テレーズとドラ・マール/ピカソを捨てた女/『ピカソとの生活』出版を妨害/画家としてのフランソワーズ/死の前年の自画像
第四章 代表作『アヴィニョンの娘たち』の謎を読み解く
「わからない絵」が現代絵画の出発点となった理由/絵画が「美術品」に変わる時/ゾラが描いたルーヴル美術館の実情/教会がギルドを生み、王室がアカデミーを生んだ/近代画家の栄達コース/アカデミズムと前衛/新聞の美術批評が大人気に/世論に直接訴える絵画/『アヴィニョンの娘たち』は「新理論の論文」/写真の誕生/リンゴが動くか!/セザンヌのピクセル効果/絵画を「意味」から解放/造形主義/視覚的文法を破壊/エル・グレコの影響/国際的に飛躍するために求めた故国の血
第五章 現代芸術はなぜ暴力と非常識を賛美するのか
「芸術は爆発だ!」/ジャリのピストル/ブルジョワ階級の常識を破壊せよ/ロマン主義が生んだ「ボヘミアン」/『タイタニック』にまで引き継がれる芸術家像/革命の理想を損なったブルジョワ/芸術のロベスピエール
第六章 ピカソは本当に偉いのか?
すべての謎に答を出す/ピカソの絵は本当に美しいのか?/ピカソの絵は本当に上手いのか?/「あんな絵」がどうして偉大な芸術とされるのか?/マネの『草上の昼食』/『アヴィニョンの娘たち』に賭けていたピカソ/こんな絵を「偉大」とする芸術はおかしい?/「役に立たないものを作れ」/今日的な美術観の是非/どうしてあんなに高い値段がつくのか?/スターの再利用/顕示的消費に適した商品/MoMAの権威づくりにも利用/前衛絵画は金になる
おわりに
書誌情報
読み仮名 | ピカソハホントウニエライノカ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610491-6 |
C-CODE | 0271 |
整理番号 | 491 |
ジャンル | アート・エンターテインメント |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2013/04/12 |
蘊蓄倉庫
ピカソ法
1973年にピカソが亡くなる5年前、フランスで画期的な法律が成立しています。芸術家が亡くなった際の相続税の支払いに「物納」を認めるというこの法律は、まるでピカソの死を睨んだかのようにして作られたことから、「ピカソ法」とも呼ばれています。この法律によって、フランス政府はピカソの死後、3600点あまりの作品を入手。これを展示するための施設として85年に作られたのが、パリの「国立ピカソ美術館」というわけです。
1973年にピカソが亡くなる5年前、フランスで画期的な法律が成立しています。芸術家が亡くなった際の相続税の支払いに「物納」を認めるというこの法律は、まるでピカソの死を睨んだかのようにして作られたことから、「ピカソ法」とも呼ばれています。この法律によって、フランス政府はピカソの死後、3600点あまりの作品を入手。これを展示するための施設として85年に作られたのが、パリの「国立ピカソ美術館」というわけです。
掲載:2012年10月25日
著者プロフィール
西岡文彦
ニシオカ・フミヒコ
1952年生まれ。多摩美術大学教授。著書『絵画の読み方』で「名画の謎解き」ブームを起こす。美術出版、美術番組の制作・企画多数。国連地球サミットや愛知万博の企画にも参加。著書に『ピカソは本当に偉いのか?』『絶頂美術館』『名画の暗号』などがある。
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