アメリカが劣化した本当の理由
814円(税込)
発売日:2012/12/15
- 新書
- 電子書籍あり
憲法の下の不平等、参政権のない国民、多すぎる訴訟……。民主主義はアメリカに学ぶな!
「アメリカは自由と平等と民主主義の国」なんて幻想だ。合衆国憲法には民主主義という言葉も出てこなければ、国民の投票権も幸福追求権も謳われていない。奴隷制度と人種差別を正当化してきた法律は今なお暗い影を落とし、一票の格差など問題にすらならない。そのうえ大統領や連邦政府の権力は増す一方で、個人の自由は狭まるばかり――。アメリカ出身の法学者が、超大国をおかしくした制度疲労の真相に迫る!
書誌情報
読み仮名 | アメリカガレッカシタホントウノリユウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610498-5 |
C-CODE | 0232 |
整理番号 | 498 |
ジャンル | 政治、外交・国際関係 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2013/06/28 |
蘊蓄倉庫
アメリカといえば、「なんでも裁判沙汰になってしまうお国柄で、弁護士の数もやたらと多い」という印象があります。実際に、裁判も弁護士も日本に較べると多いのですが、そこにはふたつの大きな理由があります。
ひとつめは、アメリカには弁護士以外の法律資格がほとんど存在しないこと。対する日本には、行政書士や司法書士、税理士などの資格があるため、「法律職」に従事する人数は彼我で大きな差がないのだそうです。
ふたつめは、アメリカが連邦制をとっていること。50の州は主権国家に近い存在として、それぞれが独自の州法を持っています。そこに連邦法が加わるため、法律制度が極めて複雑なのです。したがって、弁護士はいくらいても足りないのだとか。
弁護士が増えすぎて食いっぱぐれる時代を迎えた日本とは、どうやら対照的な状況のようです。
担当編集者のひとこと
アメリカに民主主義はない?
アメリカといえば民主主義、民主主義といえばアメリカ。アメリカ人も、世界の人々も、ともするとそう思い込んでいるけれど、実はそうではない、というのが著者の主張です。
たとえば、日本とは比べ物にならない「一票の格差」も、参政権がほとんど与えられない国民が多数いることも、アメリカではみな憲法で認められた「法の下の不平等」なのだとか。そもそも合衆国憲法には、民主主義という言葉も出てこなければ、投票権も幸福追求権も謳われてはいません。
さて、本書の著者であるジョーンズ氏は、アメリカ出身の法学者です。といっても、この本は翻訳書ではありません。東北大学で博士課程を修了し、同志社大学法科大学院の教授を務める氏は、流暢な日本語を話すだけでなく、読み書きもお手の物。ゲラ(校正刷り)にも、手書きでびっしりと赤字が入りました。
一見敷居の高い「法制度」という切り口でアメリカを論じた本書ですが、日本の例を多く交えることで、かなり読みやすくなっています。
2012/12/25
著者プロフィール
コリン P.A. ジョーンズ
Jones,Colin P.A.
1965年、米国コロラド州生まれ。カリフォルニア大学バークレー校卒業。東北大学大学院法学研究科博士前期課程、デューク大学ロースクール修了。弁護士(ニューヨーク州等)、同志社大学法科大学院教授。著書に『手ごわい頭脳―アメリカン弁護士の思考法―』など。