
日本経済を壊す 会計の呪縛
748円(税込)
発売日:2013/05/17
- 新書
- 電子書籍あり
アベノミクスでは解決できない。会社を苦しめる「会計基準」の正体――。
デフレ不況の「真犯人」は、政府でも日本銀行でも少子高齢化でもない。金融ビッグバン後の「グローバル」な会計基準こそが元凶なのである。リストラの加速、大手電機メーカーの巨額赤字、相次ぐ百貨店の閉店……すべての背景には会計の「呪縛」があった。時価会計、減損会計、税効果会計等の性質と問題点を平易に解説しながら、日本的経営が破壊されるプロセスをロジカルに解き明かすスリリングな書。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | ニホンケイザイヲコワスカイケイノジュバク |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610521-0 |
C-CODE | 0233 |
整理番号 | 521 |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2013/11/15 |
蘊蓄倉庫
本書は、90年代以降にグローバル化された「会計基準」によって日本企業が苦しんでいる、ということを解き明かした本です。たとえば、ソニーの2011年3月期決算は「純損益約2600億円」の赤字となっていましたが、グローバル化前の基準で計算すると、「約1120億円の黒字」になるのです。「そんなバカな?」と思った方はぜひ実際に本書を開いてみてください。
担当編集者のひとこと
ミステリーのように読めます
私はこれまで家計簿をつけたこともなく、株式投資とも縁がありません。ほとんどの金融商品の意味がわかりません。
そんな経済オンチなので、アベノミクスが良いか悪いかなどと言った議論についても「良い」という人の話を聞けば「そうか。良かった」と思うし、「悪い」という人の話を聞けば「そうか。そりゃ大変だ」と思うという程度です。
当然、決算書だとか財務諸表だとかの読み方もよくわかりません。
そんな人間でも、この『日本経済を壊す 会計の呪縛』の中味はすっきりと頭に入ってきました。「会計の素人」でもわかるように書かれているからです。
本書では、まず会計が企業の活動に与える影響の大きさから説いていきます。
そのうえで、現在の会計基準が日本企業をどれだけ苦しめているかを極めてロジカルに解き明かしていきます。「デフレの真犯人」は会計基準だ、という著者の仮説が次々証明されていく様は、ちょっとミステリー小説のような感じもあります。
なぜリストラが加速したのか?
なぜデフレが長期化するのか?
なぜブラック企業が増えたのか?
なぜ大手電機メーカーは巨額赤字を計上するのか?
なぜ自動車が売れなくなったのか?
なぜ百貨店が相次いで閉店するのか?
さまざまな事象に「会計」が絡んでいることがわかってきます。アベノミクスだけでは、経済は好転しないということもわかってきます。
経済が苦手という方にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
2013/05/24
著者プロフィール
大畑伊知郎
オオハタ・イチロウ
1969(昭和44)年生まれ。公認会計士。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、富士銀行(現・みずほ銀行)に入行。法人審査業務、証券管理業務等を担当。2007年公認会計士試験合格。あずさ監査法人大阪事務所勤務を経て2012年に独立。