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心づかいの技術

鈴木健二/著

814円(税込)

発売日:2013/06/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

相手の本心に気付いていますか? 『気くばりのすすめ』から30年――。今こそ伝えたい日本人の心のしきたり。

今こそ伝えたいことがある――NHKアナウンサーとして大人気を得、四百万部を突破したベストセラー『気くばりのすすめ』で知られる著者が、新たに書下ろした「心」のテキスト。他人の本心の気付き方、「思いやり」の特効薬、個性を伝える会話術、相手が心地良くなる食事作法、心が澄み渡る直筆の効用、女性が美しくなる言葉づかい、悲しみとの付き合い方、躾と行儀の奥義……豊かな人間関係を築ける「29のゼミナール」。

目次
開講に当っての粗辞
第1講 急須(きゅうす)の注(つ)ぎ口(ぐち)の心づかい
第2講 もう一度、紙と鉛筆から始めよう
第3講 テレビやゲームの時間を半分に
第4講 夕食の時にテレビを消せますか
第5講 携帯電話を離し、手には本を
第6講 食事の作法はその国民の作法である
第7講 心づかいを映し出す行儀の良さ
第8講 美の極限にあった心づかい
第9講 心づかいが良い言葉を生む
第10講 お願いです。赤ちゃんを産んで下さい
第11講 人はみな光沢を照らしあう平等の間柄
第12講 戦争はまだ終っていないのです
第13講 村おこしは心おこし
第14講 村人は神となって舞った
第15講 心づかいは障害を越えて
第16講 交通マナーは街の心づかい
第17講 大災害の中で心づかいは出来るでしょうか
第18講 心づかいの心を育てる心とは
第19講 この子達が人間の光なのです
第20講 「目線」という言葉を造ったわけ
第21講 フェルメールの絵を見る目線の心づかい
第22講 あなたの手を私に、私の心をあなたに
第23講 悲しい心づかいも……
第24講 世界中いずこも同じ心づかい
第25講 すべての女性は心くばりの天才……だったはずなのに
第26講 めぐりあわせと心づかい
第27講 心づかいの証明は静けさ
第28講 気くばりと心づかいは二卵性双生児です
最終講 ロマンはあなたが描く人への優しいイメージの中に
閉講に当っての謝辞

書誌情報

読み仮名 ココロヅカイノギジュツ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-610523-4
C-CODE 0210
整理番号 523
ジャンル 倫理学・道徳、教育・自己啓発、趣味・実用
定価 814円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2013/12/20

インタビュー/対談/エッセイ

波 2013年7月号より 「気くばり」を超えて

鈴木健二

「心」って何だろう。どこにあって、何のためにつかわれるのだろう、という平凡極まる疑問から書き始めたのが、『心づかいの技術』です。私の八十有余年の生活から具体例を挙げて綴りました。
私は三十年以上も前に『気くばりのすすめ』という本を出しました。今は古本屋さんの片隅にぽつんと置かれ、往年の一年間に四百万部突破の栄光も色あせて、ひっそり鎮座しているようです。
『心づかいの技術』は、『気くばりのすすめ』とはまるで二卵性双生児の兄と弟のような、日常からの雑学や知恵のような内容です。書き終わった私でさえ、まだ「心」って何だろうと考えているほどなのですが、私の能力限度いっぱいの本です。
「心」という字をよく見てみて下さい。
タテにもヨコにもナナメにも、長短の別無く直線が一本もありません。すべての漢字の中でも珍種に属すのではないでしょうか。あえて考えれば、「火」があります。古代の哲学では“万物の根元”と考えられていた存在です。しかし、「火」は見えますが、「心」は見えません。『心づかいの技術』はここから話が始まります。
「心づかい」の基本には相手の思いにどう気付くか、ということがあります。そのためにどんな作法やしきたりを養えばよいか、私の体験を通じ、一話ごと二十九の講義形式でまとめてみました。
ところで、次の二つの言葉を私は愚著の中で何度も繰り返し書いています。
「大東亜戦争が遺骨の蒐集などで完全に終わるまでには、敗戦から百年の歳月を要する」
「原子爆弾投下直前すべてのアメリカ人は良心を失い、投下された原爆は、すべての日本人の良心を破壊し続けるだろう」
今も目の前のテレビで、日本でテレビ放送が始まる以前から昭和の終わりまで私が三十六年間在籍したNHKのニュースで、七十代の老女が“オレオレ”の電話で呼び出され、五十代の男性二人組に一千万円を詐取された事件を報じています。この五十代の人間たちを育てたのは、戦争や原爆を直接体験した私たち八十代の“戦中派”なのです。日常化した親殺し、子殺し、“誰でもよかった”殺人などを見ると、私は戦争で破壊された日本人の心の、世代にわたる負の連鎖だと考えています。
「心」は不可解です。でも、つかい方次第で人間関係を潤し、豊かにすることができます。目に見えない「心」を上手に活かしてほしい、その思いから綴った言葉や体験が「心づかいの技術」として読者の方に少しでも役立てば無上の幸せです。
何しろ私の原稿ときたら、昭和三十年代の第一作から今日まですべて手書きのいわゆる殴り書きで、最後の一字を書き終えると、読み返しもせずにお渡ししてしまうので、半世紀の間、常に編集される方には申し訳ない気持ちの連続です。
この「波」の原稿も、一人でも多くの方が、拙著に興味を持って読みたくなるような文章を、千二百字で書いて下さい、という依頼でした。
一筆で丁度千二百字。これも私の技術です。

(すずき・けんじ NHK元アナウンサー)

蘊蓄倉庫

鈴木健二さんが造った言葉

 日本でテレビ放送が始まる頃から、NHKアナウンサーとして働かれていた鈴木健二さんが、昭和30年代からテレビや執筆で試行錯誤の末に造りだした、以下のような言葉があるそうです。
「目線」
「気くばり」
「健康は人間が自分に贈る最高のプレゼント」
「私に一分間時間を下さい」
 いずれもテレビ放送において、キャストがどのように画面に向き合うか、視聴者にわかりやすく伝えるか、NHK時代に苦労された末に、生み出された言葉だそうです。
 この詳細は本書の第20講をご覧下さい。
掲載:2013年6月25日

担当編集者のひとこと

健筆を揮い続ける84歳、鈴木健二さん

 このたび『心づかいの技術』を著された鈴木健二さんは、昭和4年生まれの84歳。
 かつて「紅白歌合戦」や「クイズ面白ゼミナール」など国民的人気を博したテレビ番組の司会を務められた、有名なNHKアナウンサーであり、420万部を超えた『気くばりのすすめ』の著者としても、つとに有名な方です。
 NHKを定年退職されてからも、熊本県立劇場や青森県立図書館の館長を務められるなど、地方自治体や文化団体の仕事で全国を回りながら、旺盛な執筆や講演を続けられています。
 和やかなお人柄、明快な口調は今でも変わりません。
 また、読破した本を全て記憶しているという博覧強記ぶりが、とても魅力的です。
 鈴木さんは、「今こそ伝えたいことがある」と、国民的人気を博したNHK時代やその後の様々な体験を通じ、和やかで友好的な対人関係を培うために、と本書を書き下ろされました。
 他人の本心の気付き方、相手を心地良くさせる会話術や食事作法、「思いやり」の育み方、悲しみとの付き合い方、心が澄み渡る直筆のすすめや個性が伝わる言葉づかい、しつけや行儀の奥義など、今こそ日本人に伝えたい「心づかいのすすめ」であり、有意義な教えが詰まった29の講座です。
 優しい筆致で書かれた本書は、豊かな人間関係への示唆に満ちています。

2013/06/25

著者プロフィール

鈴木健二

スズキ・ケンジ

1929(昭和4)年、東京・墨田区生まれ。1952年、NHK入局。博覧強記の国民的アナウンサーとして親しまれる。1988年以後、熊本県立劇場や青森県立図書館の館長を歴任。『気くばりのすすめ』をはじめ、ベストセラー作家として著書多数。

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