やっぱり見た目が9割
814円(税込)
発売日:2013/07/13
- 新書
- 電子書籍あり
人は相手を0.5秒で判断している。112万部のベストセラー『人は見た目が9割』に続く第2弾!
目が輝いている人と死んでいる人、オーラのある人とない人はどこが違うのか? 面接や人間関係で真に必要な能力は? 全ての鍵は「見た目(=非言語情報)」が握っていた! そう、私たちは、やっぱり「見た目」の虜なのだ。人は相手を〇・五秒で判断する生き物なのだから――ミリオンセラー『人は見た目が9割』から八年。あらゆるジャンルを題材に「非言語コミュニケーション」の本質、威力、面白さを論じた一冊。
書誌情報
読み仮名 | ヤッパリミタメガキュウワリ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610529-6 |
C-CODE | 0211 |
整理番号 | 529 |
ジャンル | 倫理学・道徳、心理学、教育・自己啓発、趣味・実用 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/01/24 |
インタビュー/対談/エッセイ
波 2013年8月号より 橋下市長の前髪
各党とも、選挙前には公約やマニフェストを発表します。しかし、際立って素晴らしい政策を出せる政党はありません。こうなると、立候補者の資質をはかる物差しとして、「見た目」が重要になるわけです。
政治家の「見た目」を考える上で、このところずっと気になっていたのは、「日本維新の会」の橋下徹共同代表でした。
橋下氏は大阪府知事になったころ、さっそうとした若さが際立っており、強い支持を受けました。その若さを象徴していたのは、子供っぽく垂らした前髪。それは「まだ若造だが、その分伸びしろもある」というメッセージにもなっていました。
おそらく本人にもこだわりがあったのでしょう。記者に前髪を上げませんかと問われた際には、きっぱりと「上げません」と答えていました。意識的に「若さ」を売りにしていたのです。私の知る限り、彼が初めてきちんと額を出したのは、石原慎太郎氏の「太陽の党」と組んだ日です。
額を出した髪型は、昔ながらの大人の男のステレオタイプです。少々アナクロではありますが、政治の世界では必ずしも「清新さ」のみが売りになるわけではありません。政治家は、ある時点からは安定感や重厚さが求められます。
橋下氏は、大物である石原氏やその周辺に、子供扱いされないための演出が必要と考えて髪型を変えたのでしょう。
男性に限らず、女性も前髪を上げることで、「プロ」というメッセージを放てるようになります。飛行機の客室乗務員や高級ホテルのサービス係などが前髪をアップにしているのはそのためです。
プロ仕様の「見た目」になった途端に、橋下氏が起こしたのが従軍慰安婦関連の騒動でした。これまで見たことがなかった、彼の目が泳ぐ瞬間を頻繁に見かけるようになったのは、あの頃からです。目が泳いでは、彼のもう一つの売りである「強さ」はアピールできません。この原稿を書いているのは、参院選の公示日ですが、見た目上の二つの「売り」を失った彼の党は苦戦を強いられるだろう、と思っています。
「見た目」が重要なのは、政治家や芸能人に限りません。恋愛、就活、仕事、人間関係等々、私たちはあらゆる場面で、「見た目」で判断し、「見た目」で判断されています。ではその「見た目」とは何か、について書いたのが、前著であり、今度の『やっぱり見た目が9割』です。
意識されがちな「言語情報」の後ろには膨大な「非言語情報=見た目」があります。その面白さや奥深さを少しでも理解していただけるきっかけになれば、と思っています。
蘊蓄倉庫
アメリカの心理学者、ジョン・マナーの研究によれば、人が相手を「魅力的な異性」「普通の異性」「魅力的な同性」「普通の異性」と判断するのに要する時間はほぼ0.5秒だそうです。その0.5秒の間に手に入れる情報は、基本的に相手の外見のみです。
もちろん、付き合っていく中で、印象が修正されることもあるでしょうが、人は往々にして第一印象を重視する、という傾向もあります。
思っている以上に、私たちは「見た目」で判断され、「見た目」で判断しているということになります。
『やっぱり見た目が9割』(竹内一郎・著)は、ではその「見た目」とは何か? ということについて、縦横無尽に考察した一冊です。自分の見た目は完璧で検証の必要一切なし、という恵まれた人以外、全員にお勧めです。
担当編集者のひとこと
学校教育と「見た目」
『やっぱり見た目が9割』の冒頭部分に、こんな文章があります。
「私たちは『人を見た目で判断してはならない』と学校の先生に教えられてきた。
理由は、人を見た目で判断すると、誤った判断をすることがあるからだ。」
確かに「見た目を重視したほうがいいよ。結局は美人や二枚目が得をする世の中なんだからさ」といった教えを学校で聞いた記憶はありません。「人間は中味だ」という類の訓話か昔話を聞かされた気がします。
しかし、興味深いのは、この本の前作にあたる『人は見た目が9割』が意外なほど教育現場でウケているということです。担当の贔屓目ではありません。刊行している本が模試や入試に使われると、後で「使用しました」といったお知らせをいただくことがあるのですが、『人は見た目が9割』の出題率は群を抜いて高いのです。2005年の刊行以来、かなりの数の「事後通達」が来ています。ちなみに事後なのは、事前だと問題流出ということになるからです。
もしかすると、先生たちも建前としては「見た目で判断するな」と教えつつも、内心、どこかで「とはいえ、世の中では見た目がかなり重要なんだよなあ」と思っているので、何とかその真理を子供たちに伝えたいと考えて、そのメッセージを試験問題に潜ませたのではないか。そんな妄想もわいてしまうのです。
2013/07/25
著者プロフィール
竹内一郎
タケウチ・イチロウ
1956(昭和31)年福岡県久留米市生まれ。劇作家・演出家。横浜国大卒。さいふうめい名義で漫画『哲也 雀聖と呼ばれた男』の原案を担当。演劇集団ワンダーランド代表。著書に『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』(サントリー学芸賞)、『人は見た目が9割』など。