ネットのバカ
836円(税込)
発売日:2013/07/13
- 新書
- 電子書籍あり
99.9%はクリックする奴隷。――ネット階級社会の身もフタもない現実を直視せよ!
ツイッターで世界に発信できた。フェイスブックで友人が激増した。そりゃあいいね! それで世の中まったく変わりませんが……。ネットの世界の階級化は進み、バカはますます増える一方だ。「発信」で人生が狂った者、有名人に貢ぐ信奉者、課金ゲームにむしられる中毒者、陰謀論好きな「愛国者」。バカだらけの海をどう泳いでいくべきなのか。ネット階級社会の身もフタもない現実を直視し、正しい距離の取り方を示す。
書誌情報
読み仮名 | ネットノバカ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610530-2 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 530 |
ジャンル | マスメディア、IT |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/01/24 |
蘊蓄倉庫
近頃よく「ヤフートピックス」などで見る、芸能人の誰それがこんなことを発表した、とかこんなことになっている、といった情報の元ネタが本人のブログだということは珍しくありません。なぜわざわざ個人的な情報をガンガン自ら公開するのかといえば、アクセス数イコール広告収入になるからです。ステルスマーケティングが問題になってからは多少事情が変わってきているようですが、アクセス数の多い芸能人ブロガーには、広告代理店から「この商品についてブログで宣伝してくれればお金を払います」という話が持ちかけられるのです。
『ネットのバカ』(中川淳一郎・著)によれば、数年前の時点で、芸能人ブロガーのランクは「E」から「S」まであり、1本のブログのエントリーを書けばランクEで60万円、ランクSならば1本200万円という契約になっていたとか。「この化粧品、使ったらすごく良かったよ~」程度の文章でこんなにお金を貰えるのならば、そりゃアクセス数を増やそうとするのも当然でしょう。
担当編集者のひとこと
ツイッター怖い
新潮新書編集部もツイッターのアカウントは持っていて、増刷情報などをそこでも流すようにしています。しかし、私個人は持っていませんし、おそらくこの後も持たないでしょう。
ツイッターが世の中を、ビジネスを、人生を変える。そう喧伝されている頃には「俺もやらないといけないのだろうか」とも思いました。まだ40代なのに、新しいものを怖れている場合ではないのではないか、とも。
しかし、いろんなことを考えてやめました。そもそも友人が極端に少ないから、下手にやると、かえって孤独感が増すという気もしました。「ここで一人で飲んでるよ~」なんてつぶやいて、何時間たっても1人……そんな地獄のような状況を自ら作りたいとは到底思えませんでした。つながっていないからこそ、孤独を感じなくて済むという面はあると思うのです。
それ以上に、やらなかった理由は、ウカツに本当のことを書いたら、絶対誰かに怒られる、ということです。普段の部内での発言ですら、「そういうことを大人が言うものではありません」と年下の人たちにたしなめられることが多い。そういう人間が、世界に向けて発信なんて、完全にキ●ガイに刃物です。
『ネットのバカ』を読むと、改めて「あの時発信者にならなくて良かった」と思います。そして、紙の本という、現代においては異例なほどゆっくりしたスピードで作られるものに関わっていて良かったなあと思うのです。ネットが未来を変えるという幻想を持っている人、ネットなんてゴミじゃと思っている人、どちらの方にもお勧めできる一冊です。
2013/07/25
著者プロフィール
中川淳一郎
ナカガワ・ジュンイチロウ
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者などを経て、2020年からは佐賀県唐津市在住。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『バカざんまい』『よくも言ってくれたよな』など。