4割は打てる!
748円(税込)
発売日:2014/03/15
- 新書
- 電子書籍あり
【▲右投手に強い ▲「俊足の好打者」より「鈍足の長距離砲」 ▲安打よりも四球】超絶的データ分析から見えてくる「夢の4割」の現実性。
バース(・389)、イチロー(・387)、内川(・378)……。「あと少し」まで行った打者は何人かいるが、戦後プロ野球で「夢の4割打者」は誕生していない。しかし、日米の歴代ヒットメーカーの成績を徹底調査すると、決して不可能な数字ではないことが分かってくる。「俊足」は絶対条件ではなく、キーポイントは「対右投手」「四球」「固め打ち」だ。超絶的なデータ分析から見えてくるプロ野球の奥深い真実。
書誌情報
読み仮名 | ヨンワリハウテル |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610562-3 |
C-CODE | 0275 |
整理番号 | 562 |
ジャンル | スポーツ |
定価 | 748円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/09/19 |
蘊蓄倉庫
近代メジャーリーグで1人だけ、4割を3回も達成した打者がいます。カージナルスなどで活躍したロジャース・ホーンスビー。この選手は徹底した努力の人で、酒、たばこをいっさいやらず、野球一筋の人生を送りました。「目に悪いから」という理由で映画を見ることすら拒んでいたといいます。
このホーンスビーにあこがれ、彼にアドバイスを求めてつけ回したのが、マイナーリーガーだった頃のテッド・ウィリアムズ。1941年に4割を達成した、今のところ「最後の4割打者」です。ウィリアムズは、ホーンスビーに教えられた「打ちやすいボールを待つことだ」との教えを忠実に実行。四球攻めにあっても腐らず、「打ちやすいボール」をひたすら待ち続け、三冠王を2度達成するなどの偉大な成績を残しました。
後年「打撃の神様」と言われたウィリアムズの名声は、こちらも三冠王を2度達成した、もう1人の偉大な4割打者に負うところが少なくないと言えます。
担当編集者のひとこと
「4割」は夢ではない
バース(.389)、イチロー(.387)、内川(.387)……。「あと少し」まで行った打者は、戦後のプロ野球にも何人かいます。さらに言えば、1989年のクロマティ(巨人)は、96試合を消化した8月20日時点でも4割を維持しており規定打席にも到達。しかし、優勝を争っていたチーム事情もあり試合に出続け、最終的には.378で終わりました。
戦後のメジャーリーグ最高打率は、1994年のトニー・グウィン(パドレス)による.394。やはり4割には到達していません。
1941年に、レッドソックスのテッド・ウィリアムズが達成して以降、4割を達成した打者はひとりもいない。近代プロ野球において、4割はやはり無理なのでしょうか?
実は、そんなことはありません。日米の好打者たちのデータをつぶさに検証すれば、4割達成のための条件が浮かび上がってきます。そして、その条件とは、決して無謀な挑戦を意味するものではないのです。キーワードは「対右投手」「固め打ち」「四球」です。現役打者の中にも、4割の可能性を秘めたバッティングスタイルの持ち主がいるのです。
本書では、超絶的なデータ分析で「夢の4割」の可能性を真剣に追求しました。結論もさることながら、分析の過程で浮かび上がってくる歴代ヒットメーカーたちのバッティング傾向の分析も興味深いものがあります。「悪球打ち」を証明する、長嶋茂雄の3ボールカウント打率4割超え。ホームランの数が三振の数をしばしば上回った王貞治の選球眼。2ストライクカウントでハイアベレージを残している落合博満の勝負強さ。4割を達成したテッド・ウィリアムズの意外なほどの安打数の少なさ……。野球ファンが読めば、必ずや「目から鱗」の発見があるはずです。
もうすぐシーズンが始まるプロ野球を、さらに面白く見られるようになる一冊です。ぜひご一読ください。
2014/03/25
著者プロフィール
小野俊哉
オノ・トシヤ
1961(昭和36)年岡山県生まれ。早稲田大学理工学部卒業。大学時代にインドをサイクリング走破。味の素、住友金属工業での勤務を経て、2003年にスポーツアクセス社を設立。日米プロ野球の歴史・記録に詳しい。著書に『プロ野球解説者の噓』など。