働かないオジサンの給料はなぜ高いのか―人事評価の真実―
792円(税込)
発売日:2014/04/17
- 新書
- 電子書籍あり
日本企業「最大の不条理」のナゾを解く。
会社の人事評価に理不尽さを感じ、不満を持つ人は多い。働かないオジサンが高給を取る一方で、仕事に追われる中堅や若手が安月給で使われていたりする。なぜ、このように不条理に思える事態が生じるのか。大手企業で人事畑を歩いてきた現役の社員が、日本企業の人事評価のメカニズムを丁寧に解きほぐす。併せて、人事評価とサラリーマンのキャリアの望ましいあり方についても提言する。
書誌情報
読み仮名 | ハタラカナイオジサンノキュウリョウハナゼタカイノカジンジヒョウカノシンジツ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610565-4 |
C-CODE | 0234 |
整理番号 | 565 |
ジャンル | マネジメント・人材管理、実践経営・リーダーシップ |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 660円 |
電子書籍 配信開始日 | 2014/10/17 |
蘊蓄倉庫
終身雇用制の日本企業では、「働かないオジサン」でもそれなりの給料が貰えます。この問題の発生原因のひとつは、会社による社員の抱え込みと、社員の側の会社への所属意識が強すぎることですが、これを弱めようとしている会社は結構あります。トッパン・フォームズは「キャリアリターン制度」という名目で、自己都合退職した勤務3年以上の社員に「出戻り」を認めています。ベネッセコーポレーションでは、一種の「社内転職制度」を導入して社員のモチベーションをアップ。極めつきは、最長一年間の無給の休暇を社員に認めているヤフー・ジャパン。「戻ってきても、戻ってこなくてもいいし、退職後の起業も可」だそうです。
担当編集者のひとこと
「働かないオジサン」はどうすればいいのか
「あのオジサン、働いてないくせにどうして給料が高いんだ!」──。これは、日本の会社のサラリーマンなら、誰でも少なからず抱く思いではないでしょうか? ピラミッド型会社組織の階段の脇に逸れ、大した仕事はしていないけれど、高給を取っているオジサン社員たち。それを、組織のスリム化によって人数が減り続ける若手社員が安月給で支えるという構図です。
社員の職務が明確に規定される欧米企業では、仕事がなくなれば自動的に解雇されますから、仕事がないのに会社にいて高給を取っているオジサンの存在は日本企業に固有の現象ということになります。
どうしてこんな「不条理」が生じるのか。今後どうすればいいのか。本書では、この難問に、自身が保険会社に勤める中高年サラリーマンであり、一貫して人事畑の仕事をしてきた著者が真っ正面から取り組みました。お読み頂くと、働かないオジサンの給料が高いのにはそれなりの合理性があり、簡単には解決していかない問題であることが理解できます。
しかし、著者は「それでいい」と言っているわけではありません。成果主義的な考え方が強まっている中で、年功制と終身雇用の既得権である「働かないオジサンの高給」は、どんどん正当性を失っていくでしょう。そこで、ささやかですが、本書では「働かないオジサン問題」の解決策も提示してあります。
大企業の現実を踏まえた、サラリーマンの望ましい生き方と人事評価のあり方の提言も、説得力抜群です。組織の中で働く方には、必ず膝を打つ指摘があるはずです。ぜひご一読ください。
2014/04/25
著者プロフィール
楠木新
クスノキ・アラタ
1954(昭和29)年神戸市生まれ。京都大学法学部卒業後、生命保険会社に入社。勤務のかたわら、「働く意味」をテーマに取材を続け、執筆、講演、大学での講義などの活動に取り組む。著書に『人事部は見ている。』『サラリーマンは、二度会社を辞める。』などがある。