ホーム > 書籍詳細:日本を愛した植民地―南洋パラオの真実―

なぜ彼らは、戦後も日本を恨まなかったのか? 貴重な証言で甦る「日本統治時代」の実像。

日本を愛した植民地―南洋パラオの真実―

荒井利子/著

842円(税込)

本の仕様

発売日:2015/09/17

読み仮名 ニホンヲアイシタショクミンチナンヨウパラオノシンジツ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-610635-4
C-CODE 0221
整理番号 635
ジャンル 日本史
定価 842円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2016/03/11

大日本帝国の統治下にあったパラオ諸島を含む南洋の島々は、戦争で甚大な被害を受けた。それでも「日本の時代が一番良かった」と島民は言う。その前のドイツ支配下、あるいは戦後のアメリカの影響下とはどこが違うのか。古老の話から浮かび上がるのは、教育、経済、インフラ、文化をもたらした日本からの移民と島民との穏やかで豊かな日々だった──数多くの貴重な証言から、植民地支配に新たな視点を提示する一冊。

著者プロフィール

荒井利子 アライ・トシコ

東京都生まれ。ニューヨーク大学大学院社会学部修士課程卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経てハワイ大学大学院社会学部博士課程修了。在学中同大学及び東西センターの助手として勤務。ハーバード大学及びカリフォルニア大学の学会にて本書のもととなる論文を発表。

目次

序章 忘れられた植民地を訪ねて
楽しい思い出の日本統治時代/パラオに神棚、神社、鳥居、袴姿の神主/立派なコンクリートの建物はない/日本統治時代の建物は、日本人が壊した/日本人でごった返していたパラオの町/今でも日本語を流暢に話す年寄たち/世界でも珍しい、統治者が愛された植民地
第一章 武士たちは南洋を目指した
ミクロネシアはどこにあるか/難破船の漂着から始まった外国との接触/疫病が蔓延し、人口が激減/部族間で絶えなかった殺し合い/スペインによるキリスト教布教/「南に行けば何かある」と考えた武士たち/日本人の死骸を発見/スペイン領からドイツ領に/植民地から利益を求めたドイツ時代/小笠原からミクロネシアへ/ビジネスの始まり/横尾東作/職のない元武士を南洋貿易へ/貿易に命を懸けた先人たち/ドイツの官憲の反応/ドイツと交渉を続け、貿易が再開・拡大/加藤末吉は今も有名人
第二章 日本は戦わずにミクロネシアを手に入れた
海軍が艦隊を配備/柳田国男を兄に持つ海軍中佐/酋長の娘と結婚した森小弁/列強との綱引き/同化政策/日本海軍が治めた最初の四年間/正式に日本の統治領に/ウイルソン大統領の横やり
第三章 ミクロネシアは日本の統治領になった
「南洋庁」が建てられた/「差別が消滅し、混然融合した同じ国民」に/役人は特権階級/おまわりさんは何でも屋/飲酒で監獄へ/日本は宗教の自由を認めた/病院も建設
第四章 貨幣経済がやってきた
コプラが日本円に/自給自足から近代的消費生活への変化/日本人の農協の仕事をしたパラオ人/空前の経済的繁栄/「南貿」の事業拡大/巨大企業「南興」の発展/沖縄県からの移民がカツオ漁に大活躍/ダイバー景気
第五章 経済が発展し、日本人が増え続けた
増え続ける日本人/職を求めて移住した日本人たち/入植者村の状況/家族同伴の移住へ/不況が移民を後押しした/沖縄県人のコミュニティが膨張したコロール
第六章 パラオ人は日本人になっていった
同じ教室で日本文化を学ぶ/お辞儀・君が代・教育勅語/朝礼と国旗の掲揚も/パラオの子は島民学校へ/表向きは天皇崇拝教育排除/日本への留学を援助/日本人になると信じていたパラオ人/教科書の中身/教室ではパラオ語禁止/練習生制度/木工・大工・農業の技術を教えた日本人/ミッションスクール/生活向上のための講習会/青年団も中年団も作られた/毎年日本へ観光旅行/日本移民の子どもには高等教育を
第七章 島は激戦地になった
国家総動員法の影響/南洋貿易と南洋興発が合併/戦闘に巻き込まれた移民たち/基地建設を開始/島民は疎開、日本移民の婦女子は帰国/要塞づくりを開始/アメリカ軍の上陸/アンガウル島にも砲弾の雨/捕虜となった倉田さん/大勢の朝鮮人と沖縄人が送られて来た/強制的に召集/残って戦うように命令された日本人/爆弾投下と餓えから疎開する/餓死する兵士たち/「一緒に戦いたい」とパラオ人は言った
第八章 やっと戦争が終わった
飛行機からのビラで知った敗戦/移民をもてなしたアメリカ軍/戦友はほとんど戦死した/それでも日本人が懐かしい/だから日本時代が良かった
第九章 アメリカは幸せをもたらさなかった
ミクロネシアを手に入れたかったアメリカ/残されたパラオ人の困窮生活/日本統治時代の建物はすべて壊された/人生が大きく変わった指導者たち/アメリカに馴染んだ新しい指導者たち/アメリカ型「自由」の弊害/逆戻りの経済発展/「動物園」政策/アメリカの信託統治制度/ケネディが状況を変えた/計画を実行に移す時がきた/働かなくても収入が入る仕組み/ミクロネシアが四地域に分裂/自由連合協定/老人たちは言う「だから昔が良かった」/太平洋戦争は大切な思い出
おわりに

証言者

担当編集者のひとこと

「日本時代は楽しかった」

 私が子供の頃、戦時中の人気漫画が復刻出版されていました。『冒険ダン吉』もその一冊です。
 日本人のダン吉少年が乗っていた船が、難破したとか何とかそういう理由で南方の島に漂着。そこには肌の黒い原住民が多くいます。
 ダン吉はあっという間に知恵で彼らを制圧し、その島の「王」となり、統治をします。たしかダン吉は住民のことを「蛮公」と読んでいた気がします。顔がみんな似たようなもんだということか、背中に番号を振って「1号」「2号」という調子で呼んでいました。名前ではなく番号で呼んでいたのです。人格も何もあったもんじゃありません。
 あの頃はおおらかだったのでしょうが、今ではこんなストーリー、多分あまりにも政治的に正しくなさすぎるということになるでしょう。とても愉快な漫画『冒険ダン吉』を店頭で見かけることは今はありません。

 このダン吉のストーリーに多大なインスピレーションを与えていたのは、戦前の日本によるパラオ等、南洋諸島の統治です。
『冒険ダン吉』は漫画ですから、ダン吉と蛮公たちは和気あいあいと仲良く暮らしていましたが、実際にはもっとギスギスしたものだったのではないか。
 何となくそんな風に思っていましたが、本書『日本を愛した植民地』を読むと、実際にも驚くほど和気あいあいと暮らしていたことがよくわかります。
 著者が取材した島の古老たちは、一様に日本の時代を懐かしみ、「あの頃は良かった」と語っています。「日本時代は楽しい時代だったのよ。私は本当に感謝してますよ」とまで言う人もいました。

 ダン吉ほどひどくはないにしても、当時、日本人が島民の上に立っていたのは事実です。それでも彼らがなぜ日本を恨まず、好意を持ち続けてくれているのか。
 丹念な聞き取りによって、その謎を著者は解き明かしてくれます。
 植民地支配についての見方が変わる一冊です。

2015/09/25

蘊蓄倉庫

パラオが日本を恨まない理由

 大日本帝国の統治下にあったパラオ諸島を含む南洋の島々は、日本の戦争に巻き込まれて甚大な被害を受けました。それでも「日本の時代が一番良かった」と島民たちは言います。その理由は様々ですが、日本がインフラを整え、教育を広め、富をもたらしたことが大きかったのは事実でしょう。
 戦前のパラオには、病院や学校はもちろんのこと百貨店、映画館、野球場までも日本の資本で作られていました。
 もちろん、それだけならば同様の植民地は他にもあります。いまだに日本を恨んでいないのには他の要因もあるのです。そのへんはぜひ『日本を愛した植民地』で。
掲載:2015年9月25日

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