百人一首の謎を解く
836円(税込)
発売日:2016/01/18
- 新書
- 電子書籍あり
定家の企み、見破ったり。長年未解決だった謎に明快な解答を示す、百人一首の見方が変わる快作。
「百人一首」には数多くの謎がある。誰が何のために作ったのか? 不幸な歌人が多いのはなぜか? 歌人の代表作が撰ばれていないのはなぜか? 神様、仏様の歌が一首もないのはなぜか? その答えは、そもそもこの撰歌を発注した者の意図と、その歌が飾られた場所に着目することで見えてくる。長年、解かれぬままになっていた様々な謎に対して、明快で説得力に満ちた「解答」を示す、百人一首の見方が一変する一冊。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | ヒャクニンイッシュノナゾヲトク |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610653-8 |
C-CODE | 0295 |
整理番号 | 653 |
ジャンル | 古典 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 814円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/05/27 |
蘊蓄倉庫
誰でも一度はカルタで楽しんだことがある「百人一首」。古今の名歌を集めた撰歌集だと思われがちですが、どうもいろいろ不思議な偏向があるようです。たとえば、いわゆる「賀の歌」、めでたい歌が一首も撰ばれていないのです。また、島流しにあったとか、地獄に墜ちたとされているとか、不幸な人生を送った歌人の比率が非常に高いのも特徴的です。なぜそんなことになるのか。説明が長くなるので、そのへんは『百人一首の謎を解く』(草野隆・著)をお読みください。
担当編集者のひとこと
ミステリのような面白さ
歴史の謎、古典に隠された暗号を解く、という分野の本は数多くあります。その中には、真相に迫る新説もあれば、妄想スレスレのトンデモ話もあります(どれがどうとは言えませんが)。
この『百人一首の謎を解く』は、前者であると確信しております。
ここで取り扱っている謎は、以下のようなものです。
・いつできたのか?
・誰が作ったのか?
・何のために作られたのか?
・神様や神話時代の歌、また仏様、高僧の歌がないのはなぜか?
・賀の歌、釈教の歌がないのはなぜか?
・不幸な歌人の歌が多いのはなぜか?
・和歌史に残るような実績のない歌人の歌が見えるのはなぜか?
・「よみ人知らず」の歌がないのはなぜか?
・その歌人の代表作が撰ばれていないのはなぜか?
等々。
これら、長年明快な答えが出されていなかった謎を、著者は一挙にこの一冊で解決してしまいました。
謎を解く鍵は、クライアント、つまりこの撰歌集を作るように藤原定家に依頼した人物と、その歌を飾る場所にあった、というのが著者の見立てです。
そのロジックは極めて精緻で、かつ説得力に満ちています。
なるほど、なるほどと読み進めて、最後には「その説しかないのでは」という風に思わされてしまいます。
和歌好きだけではなく、ミステリ好きでも楽しめる内容ではないかと思います。
2016/01/25
著者プロフィール
草野隆
クサノ・タカシ
1957(昭和32)年神奈川県生まれ。上智大学文学部国文学科卒、同大学院文学研究科博士課程後期中退。修士(国文学)。跡見学園女子大学、立正大学等で非常勤講師。星美学園短期大学国文学科および人間文化学科の教授を経て、2016年1月現在は名誉教授。