日本語通
814円(税込)
発売日:2016/03/17
- 新書
- 電子書籍あり
藤原不比等が「プディパラのプピチョ?」。日本人なら知っておきたい奥深い日本語の世界。
日本語はスリリングな情報と知られざる歴史の宝庫である。漢字は何字覚えればよいか? 「四」が嫌われる本当のワケは? 生前の「藤原不比等」が「プディパラ(の)プピチョ」? 母は「パパ」と呼ばれていた? 遣唐使やザビエルの通訳は誰? 「ら抜き言葉」を使った文豪は? 知るほどに日本語が面白くなる。漢字、発音、文法、歴史について、思わず他人に話したくなる薀蓄(うんちく)を凝縮。読者を「日本語通」への道に誘(いざな)う一冊。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | ニホンゴツウ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610660-6 |
C-CODE | 0281 |
整理番号 | 660 |
ジャンル | 言語学 |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 814円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/06/17 |
蘊蓄倉庫
昨今、日本語が乱れていることが、よく問題になっています。
その悪しき例が「食べれる」「見れる」「出れる」のような「ら抜き言葉」の表現です。
文法上、正しいのは、「食べられる」「見られる」「出られる」です。
しかし、その「ら抜き言葉」を使っていた文豪がいました。
あの川端康成です。
『二十歳』という作品では「見れる」を、『雪国』では「来れる」と、「ら抜き言葉」を使っています。「ら抜き言葉」でもノーベル文学賞に選ばれることがあるのだ、と本書には記されています。
ほかにも、葛西善蔵、花田清輝など、日本文学史に功績を遺した作家も「ら抜き言葉」を使っていたそうです。
言葉は生き物のように変化していくので、常に正しさの基準が変わりつつあるのかもしれません。
担当編集者のひとこと
日本語ほどおもしろいものはない!
本書の著者、山口謠司さんは、1963年生まれの中国学博士。特に古代からの書誌文献について長年にわたり研究されています。
ご存じのように、日本語は古代中国語とは深い関係があります。
本書では、私たちが何気なく使っている日本語で、ふだん思い当たる疑問を、日本語のルーツや成り立ちから解き明かしています。また、日本語を上手に使うヒントや、相手に伝えるためのコツを、わかりやすく伝授しています。
漢字通、発音通、文法通、日本語史通、日本語通(日本語と格闘してきた人々)と、5章にわたり、なぞなぞのような問いかけから、歴史上の偉人や稀代の人物までを簡潔にまとめていますので、本書はどこから読んでいただいても構いません。
スリリングな薀蓄が詰まった本書をベースに、日本語の様々な知識や情報を得て、堪能していただければと思います。
なお、山口謠司さんから、読者のみなさんへ次のようなメッセージが寄せられています。
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このたび、『日本語通』(新潮新書)を上梓いたしました。
日本語は、漢字、ひらがな、カタカナの三種を使い分けるという珍しい言葉であり、意味や使い方には奥深い歴史をもつ、世界に誇れる言語です。
本書では、漢字の役割、文法、発音の謎やそれらのおもしろい特性、一方で、織田信長や豊臣秀吉がどのようにキリシタンの人たちと会話をしたのか。
また、遣隋使や遣唐使、長崎のオランダ通詞や唐通事は、当時、どのように外国語を学んだのか。そして、日本語の謎に挑んだ先人たちについて、楽しみながら理解できるように書いてみました。
たとえば、「文法」は、難しいという先入観がある方が多いかもしれません。しかし、本書に記した要点とコツを知れば、この文法こそ、思いを上手に伝え、表現をより豊かにする「コミュニケーションの武器」として使えるものなのです。会話のみならず、メールやSNSなどネットで打つ日本語にも、この良い効果として現れてくるでしょう。
苦手だという方にこそ、文法の醍醐味を味わってもらいたいと思います。
また、「発音」では、奈良時代の日本語の発音にも触れました。人名などはまるで、幼児がしゃべるような発音で、驚かれるかもしれません。しかし、ここに現代日本語のルーツがあるのです。
日本語ほどおもしろいものはありません。
ぜひ、本書をきっかけに「日本語通」になっていただきたいと思います。
2016年3月吉日 山口謠司
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2016/03/25
著者プロフィール
山口謠司
ヤマグチ・ヨウジ
1963(昭和38)年、長崎県生れ。大東文化大学文学部教授。博士(中国学)。フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て、現職。『ん』『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』『ますます心とカラダを整える おとなのための1分音読』『文豪の悪態』など、著作多数。