デジタル食品の恐怖
770円(税込)
発売日:2016/07/15
- 新書
- 電子書籍あり
産地不明、成分不明、正体不明。知れば知るほど怖くなる。
無数の「部品」を組み合わせて作られる現代の加工食品は事実上、スマホと同じ「デジタル製品」である。「産地不明」「成分不明」「正体不明」の「デジタル食品」に、カドミウムや水銀などの重金属、残留農薬、過剰な旨味成分や塩分などがどれだけ含まれているか、その実態を把握するのは不可能に近い。現代の食品が構造的に抱える問題点を指摘し、あわせて消費者が取り得る対策も伝授する。
書誌情報
読み仮名 | デジタルショクヒンノキョウフ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610675-0 |
C-CODE | 0277 |
整理番号 | 675 |
ジャンル | 家庭医学・健康 |
定価 | 770円 |
電子書籍 価格 | 770円 |
電子書籍 配信開始日 | 2016/07/22 |
蘊蓄倉庫
大豆をめぐる「虚構」
スーパーで売っている納豆や豆腐の成分表示を確認すると、ほぼすべての商品で「大豆(遺伝子組み換えでない)」と記されています。原料に「遺伝子組み換えの大豆を使っています」と記した大豆商品は見当たりません。しかし、大豆は国内消費量の91%を輸入に頼っていて、その輸入先の国々では、大豆は市販が許可されている遺伝子組み換え作物です。アメリカでは実に作付け面積の94%で遺伝子組み換え大豆を作っています。
著者は「目に見えない形で、遺伝子組み換え大豆は日本の食卓に相当入り込んでいるのではないか」と推論しています。
掲載:2016年7月25日
担当編集者のひとこと
スマホと同じ「デジタル製品」
著者の見立てによると、無数の「部品」を組み合わせて作られる現代の加工食品は事実上、スマホと同じ「デジタル製品」だといいます。
ただ、「デジタル食品」がスマホと違うのは、農畜産物、水産物、農薬、食品添加物、その他食品原料の国際取引が複雑になりすぎたことで、「産地不明」「成分不明」「正体不明」の製品(食品)が大量に発生していることです。
こうした「デジタル食品」には、カドミウムや水銀などの重金属や残留農薬が含まれているかも知れませんし、過剰な旨味成分や塩分などが含まれている可能性も高いのです。「心配しすぎだ」という声もあるかも知れませんが、問題は「実態が把握できない」という点にあり、そういう状況は現代の食品取引の実態から不可逆的に生じているのです。
本書では、現代の食品が構造的に抱える問題点を指摘し、あわせて消費者が取り得る対策についても記しています。
2016/07/25
著者プロフィール
高橋五郎
タカハシ・ゴロウ
1948(昭和23)年生まれ。愛知大学現代中国学部教授、同国際中国学研究センター所長。農学博士(千葉大学)。専門は中国の農業問題で、ほぼ毎月、現地調査に赴いている。著書に『日中食品汚染』(文春新書)、『農民も土も水も悲惨な中国農業』(朝日新書)などがある。