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ゴジラとエヴァンゲリオン

長山靖生/著

792円(税込)

発売日:2016/07/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

ゴジラは、なぜ皇居を迂回したのか? エヴァは何度世界を破滅させるのか? 「日本SF大賞」受賞者による最高の謎解き。

戦後日本における特撮とアニメの最高峰――それがゴジラとエヴァンゲリオンだ。異形の怪物はどのように生み出されたのか。なぜ大衆の心をつかんだのか。製作者たちの過酷な戦争体験はどう作品に反映されたのか。庵野秀明監督と「ゴジラ」をつなぐ線とは何か。なぜオタクたちは「エヴァンゲリオン」に熱狂するのか。日本SF大賞受賞の著者が、作品への深い愛情と膨大な資料をもとに、鬼才たちの企みを解き明かす。

目次
はじめに ゴジラとエヴァは私たちに何をもたらしたのか
第一章 ゴジラ 核と敗戦の怪獣
特撮映画の代表作『ゴジラ』/特撮といえば戦争映画、円谷といえば飛行機/ゴジラに刻まれた戦争の記憶/G企画――恐竜か、大蛸か、クジラか/絶滅生物好きだった大蔵官僚・香山滋/二〇〇万年前のジュラ紀という不思議/原子力 嫌悪と希望のエネルギー/戦災の再現としてのゴジラ/ゴジラを鎮魂する一目/俳優たちの「戦争」と特撮/着ぐるみ特撮が生んだ様式美と象徴性
第二章 増殖する怪獣 スター化するゴジラ
大阪にゴジラを誘致した『ゴジラの逆襲』/第一作と第二作の揺らぎ、そして七年間の沈黙/特撮チームが活躍した多様な作品ジャンル/特撮全開――阿蘇のラドン、東北のバラン、宇宙のドゴラ/『モスラ』――清く正しく美しい怪獣/ロマン主義と白人優越主義への批判/空飛ぶ円盤、人工衛星、宇宙からの恐怖/宇宙人現わる、『海底軍艦』も現わる/擬人化され、スター化するゴジラ/外敵から地球を守る在来の怪獣たち/子ども映画化し、子どもに飽きられる
第三章 エヴァンゲリオン ロボット・人造人間・オタクの物語
オタク文化の集大成としての『エヴァ』/放送前に、庵野秀明は製作意図をどう語ったか/「常識を疑う」使徒の造形と増殖する謎/お約束の記号性と余剰な記号性/親子の物語としての『エヴァ』/大きくなり続ける物語、落ちる画質/EVAはなぜ「機械ロボット」ではなく「人造人間」なのか/巨大ロボットと「心」の問題/少年少女と一体化する巨大ロボット/フランケンシュタインと極点の物語
第四章 再構築されるエヴァ 錬金術・終末論・庵野秀明の作家性
作り手の状況を晒け出した最終二話/TV版最終二話はなぜ生まれたか/鬱になる監督、二転三転した「劇場版」公開経緯/『進撃の巨人』に似ていた別エヴァ案/オタク少年だった庵野秀明/ファン活動からプロへ/『ふしぎの海のナディア』――宮崎駿『未来少年コナン』を継ぐもの/『蒼きウル』から『新世紀エヴァンゲリオン』へ/『Air/まごころを、君に』という衝撃/精神世界のコピーとしてのセカイ系
第五章 ゴジラとヱヴァ その反復と再生
一九八四年――『ゴジラ』復活/平成シリーズ バイオ時代のゴジラ/『ゴジラ2000 ミレニアム』――オタク的価値観を意識した新シリーズの開幕/千年竜王になったキングギドラ/メカゴジラはエヴァの夢を見るのか/『ゴジラ FINAL WARS』 すべての東宝特撮に花束を/繰り返しと希望の「新劇場版」
おわりに シンであるほうへ 甦る怪獣と無在原点
あとがき
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 ゴジラトエヴァンゲリオン
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610677-4
C-CODE 0274
整理番号 677
ジャンル 社会学
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2016/07/22

蘊蓄倉庫

「ゴジラ」の名前の秘密

「ゴジラ」という名前は、一度聞いたら、忘れられません。映画を観たことのない人でもすぐに覚えられるでしょう。
 その「ゴジラ」という名前は、もともと東映本社にいたある社員の渾名「グジラ」に由来するそうです。音として、力強くて面白く、「ゴリラ」と「クジラ」を合体させたものから「ゴジラ」が考案されました。キングコングにつながる「ゴリラ」と、当時の円谷英二から提案された「クジラ」も、「ゴジラ」に反映されました。
 この名前で、恐竜型の代表的な怪獣は「ゴジラ」として世の中に浸透していったのです。
 このエピソードは、本書の第一章に詳述されています。


掲載:2016年7月25日

担当編集者のひとこと

読んでから観るか、観てから読むか。

 本書の著者、長山靖生さん(1962年生)は、歯科医をなされている傍ら、歴史、教育、社会、文学、そして、映画やSF、さらには奇史、奇書の研究など、多岐の分野にわたり評論や時評を著されています。ご自宅には、約4万冊もの蔵書を持たれています。
 また、2010年に、『日本SF精神史』にて「日本SF大賞」と「星雲賞」(ノンフィクション部門)を受賞されました。
 その長山さんが、「戦後日本における特撮とアニメの最高傑作」と絶賛する「ゴジラ」と「エヴァンゲリオン」。
 この2作品に深い愛情をもたれており、本書を「どうしても書きたかった!」という長山さん。その熱意が結実したのが本書です。
 
 名前に隠された秘密とは?
 ゴジラは、なぜ皇居を迂回したのか? 
 庵野秀明監督と「ゴジラ」をつなぐ線とは何か?
 製作者たちの過酷な「戦争体験」は作品にどう反映されたのか?
 エヴァは何度世界を破滅させるのか?
 “シ徒”とは何者なのか?
 “14歳”が選ばれるワケとは?
 そして、
 なぜ大衆は“熱狂”するのか?……
 
 製作秘話や秘蔵資料をもとに、最高の謎解きが次々とスリリングに展開されていきます。
 今年7月には「シン・ゴジラ」(庵野秀明監督・東宝系)も公開されます。
 特撮とアニメの2大傑作について、本書を読んでから観るか、観てから読むか。
 ファンも初見の方も存分に楽しめる1冊です。

2016/07/25

著者プロフィール

長山靖生

ナガヤマ・ヤスオ

1962年茨城県生まれ。鶴見大学大学院歯学研究科修了。評論家、アンソロジスト。近代文学、SF、ミステリー、映画、アニメなど幅広い領域を新たな視点で読み解く。日本SF大賞、日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞(いずれも評論・研究部門)を受賞。著書多数。

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