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出世と肩書

藤澤志穂子/著

836円(税込)

発売日:2017/03/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

この人は偉いのか? 社会人のための肩書入門。

課長→部長→取締役→常務→専務→社長→会長という出世コースは今は昔。CEO、COO、チェアマン等、横文字の肩書が氾濫し、この人偉いの? 偉くないの? と混乱は増すばかり。「次官」が一番偉い役所の不思議なシステム、政治家にとっての花道的役職、人生最後のランク付け「勲章」、外資系のややこしい「肩書」のカラクリetc……序列社会の構造がみえてくる、社会人必読の現代ニッポン肩書入門。

目次
まえがき
第一章 【民間企業編】『会長 島耕作』はもう古い!?
1 「出世の階段」と“社外取締役”の謎
「月収1000万円」の社外取締役/社外取締役の役割/執行役員のリストラ
2 業界別?な肩書
金融機関の不可解な肩書/もとは雅楽からきた「頭取」/「○○役」は偉いのか/役所から仰せつかる「お役目」/自分で肩書をつけられる広告代理店/マスコミ独特の風習/「書かない編集委員」はシニア対策?
3 社長はつらいよ
失敗すると厄介な「創業者」型/「プロ経営者」の栄枯盛衰/ベンチャー企業系はジョン・レノンがお好き?/女性社長は同族企業?/いつまでも現役で/相談役や顧問は必要?
第二章 【官公庁編】「事務」で「次官」が一番偉い
1 霞が関のエリート
一般企業に喩えてみたら/そもそも「官僚」とはどういう人か/かつての部下が「先生」に/就職人気は下降気味/複雑化の理由/事務次官はスーパーエリート/「事務方」のトップ/暗黒の「民主党政権」時代/求められる「豪腕かつ調整型」/殉職/腰の低さも大事/日銀総裁になり損ねる/財務官は日本の顔/多士済々の次官たち/次官の陰に「悪妻」あり?/「過去の栄光」を引きずる不運/天下り先の変化と衰退/官僚=政治家だった時代
2 次官より偉い官僚
日本との上下関係/在米・在英大使の「格上」度/検事総長は次官より偉い/警視総監の地位
3 官僚たちの懐事情
宮内庁の場合/大使「ピンからキリまで」/民間人と女性登用/次官の福利厚生/不夜城
4 偉さいろいろ
民間人が「横取り」/「財務官」と「技監」/審議官は副社長か専務/「官房」はKAMMERから/「局長」にはなるべき/課長・主計官あれこれ/戦争で死ななかったから/個室は偉い/キャリアの出世は仕事次第
5 女性官僚の人生設計
「女性初」の首相秘書官と財務省主計官/美人はつらかった?/金融庁の事情/課長ポストの奪い合いと男女比率
第三章 【永田町編】落選したらただの人
1 「内閣」の語源は中国
官房長官は首相の「女房役」/秘書官、補佐官/人事で官僚を掌握
2 大臣、副大臣、政務官へのルート
大臣になるための条件/政党指定大臣/盲腸みたいな存在
3 国会でのしあがる
「委員長」ポストは大臣就任の布石/女性は「えこひいき」される
4 政党トップへのはるかなる道のり
総裁への登竜門/“シーラカンス”の集まり/小泉進次郎は抜擢か/自民党青年局と台湾
第四章 【叙勲編】人生最後の肩書
1 ないようである厳然たるランキング
いつまでやるつもりか/勲章ランキング
2 叙勲の変遷
最初は「外交の手段」/軍人、官僚、皇族が対象/戦後の改革/死後のランキング/辞退した人々
第五章 【外資系編】グローバル化する肩書
1 CEOとは何者か
英訳するとみえてくる/日本初のCEO/トレンドは「CDO」と「CLO」/錯綜する現場/海外はシンプル/官公庁の肩書を英訳してみる/欧米では最初に名前
あとがき
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 シュッセトカタガキ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610708-5
C-CODE 0236
整理番号 708
ジャンル 政治・社会
定価 836円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2017/03/24

薀蓄倉庫

役所で偉い人を見分ける方法

「元内閣参事官」、何だか偉そうに見えますが、実際は「課長級」の肩書なのだとか。他にも、審議官や政策統括官、参事官など「○○官」がとかく多い霞が関。ややこしさ極まりないのですが、これが意図的に増やされた結果なのだそうです。
 話は戦前にまでさかのぼるというから驚きですが、日中戦争で各省庁の幹部候補生も戦争に行くことになり、戦死者が出ることを見越して多めに採用したのだとか。ところが戦争に行っても、彼らが案外と死なずに帰ってきたため、役職が足りなくなって増やした挙げ句、定年後の天下り先である、公団、公社まで作ったといいます。
 では、どこで偉いか偉くないかを見分ければ良いのか。
 とりあえず「個室を持つ人は間違いなく偉い」と著者は教えてくれます。


掲載:2017年3月24日

担当編集者のひとこと

たかが肩書、されど肩書

「えっ、まだヒラ社員なの。とっくに課長か部長になっていると思っていた」
 著者が大学の同級生に言われた一言です。
 実際「肩書なんてどうでもいい」「出世なんて」と言いながらも、同期の誰それが役付になったといった人事情報に異様に詳しい人はどこにでもいます。同窓会に来るのは肩書のある人ばかりというのもよく聞く話。
 けれども、業界が違えば肩書も、それに伴う出世も違います。
「事務次官」が各省庁のキャリア官僚の中で何番目に偉いのか、近年よく見るCEOとは何の略なのか、チェアマンとは何者なのか等々、答えはすべて本書にありますが、どれも実質トップを示す肩書です。
 また最近多い「シニア・クリエイティブ・マネージャー」「アカウント・マネージャー」などのカタカナ、横文字系は、正直どっちが偉いか判らず、お互いの態度で上司か部下をそれとなく察することもしばしばですが、どうして日本の肩書はこんなに複雑で判りにくいのか、それには理由がありました。
 日本社会を「肩書」という断面で切ってみせてくれる本書は、なるほどと思うことばかりです。

2017/03/24

著者プロフィール

藤澤志穂子

フジサワ・シホコ

昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。学習院大学法学部卒、早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程中退。1992年産経新聞社入社、経済本部、米コロンビア・ビジネススクール客員研究員を経て2019年退社。著書に『出世と肩書』『釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』。

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