出世と肩書
836円(税込)
発売日:2017/03/17
- 新書
- 電子書籍あり
この人は偉いのか? 社会人のための肩書入門。
課長→部長→取締役→常務→専務→社長→会長という出世コースは今は昔。CEO、COO、チェアマン等、横文字の肩書が氾濫し、この人偉いの? 偉くないの? と混乱は増すばかり。「次官」が一番偉い役所の不思議なシステム、政治家にとっての花道的役職、人生最後のランク付け「勲章」、外資系のややこしい「肩書」のカラクリetc……序列社会の構造がみえてくる、社会人必読の現代ニッポン肩書入門。
主要参考文献
書誌情報
読み仮名 | シュッセトカタガキ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-610708-5 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 708 |
ジャンル | 政治・社会 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 836円 |
電子書籍 配信開始日 | 2017/03/24 |
薀蓄倉庫
役所で偉い人を見分ける方法
「元内閣参事官」、何だか偉そうに見えますが、実際は「課長級」の肩書なのだとか。他にも、審議官や政策統括官、参事官など「○○官」がとかく多い霞が関。ややこしさ極まりないのですが、これが意図的に増やされた結果なのだそうです。
話は戦前にまでさかのぼるというから驚きですが、日中戦争で各省庁の幹部候補生も戦争に行くことになり、戦死者が出ることを見越して多めに採用したのだとか。ところが戦争に行っても、彼らが案外と死なずに帰ってきたため、役職が足りなくなって増やした挙げ句、定年後の天下り先である、公団、公社まで作ったといいます。
では、どこで偉いか偉くないかを見分ければ良いのか。
とりあえず「個室を持つ人は間違いなく偉い」と著者は教えてくれます。
掲載:2017年3月24日
担当編集者のひとこと
たかが肩書、されど肩書
「えっ、まだヒラ社員なの。とっくに課長か部長になっていると思っていた」
著者が大学の同級生に言われた一言です。
実際「肩書なんてどうでもいい」「出世なんて」と言いながらも、同期の誰それが役付になったといった人事情報に異様に詳しい人はどこにでもいます。同窓会に来るのは肩書のある人ばかりというのもよく聞く話。
けれども、業界が違えば肩書も、それに伴う出世も違います。
「事務次官」が各省庁のキャリア官僚の中で何番目に偉いのか、近年よく見るCEOとは何の略なのか、チェアマンとは何者なのか等々、答えはすべて本書にありますが、どれも実質トップを示す肩書です。
また最近多い「シニア・クリエイティブ・マネージャー」「アカウント・マネージャー」などのカタカナ、横文字系は、正直どっちが偉いか判らず、お互いの態度で上司か部下をそれとなく察することもしばしばですが、どうして日本の肩書はこんなに複雑で判りにくいのか、それには理由がありました。
日本社会を「肩書」という断面で切ってみせてくれる本書は、なるほどと思うことばかりです。
2017/03/24
著者プロフィール
藤澤志穂子
フジサワ・シホコ
昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。学習院大学法学部卒、早稲田大学大学院文学研究科演劇専攻修士課程中退。1992年産経新聞社入社、経済本部、米コロンビア・ビジネススクール客員研究員を経て2019年退社。著書に『出世と肩書』『釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝』。