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うつ病休職

中嶋聡/著

792円(税込)

発売日:2017/05/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

1通の“診断書”から始まる、終わりなき消耗。もはや社会問題――精神科医が真相に迫る!

「仕事がきついので、会社を休みたい」とクリニックに駆け込む人々。マニュアル通りの問診で「うつ病」と診断する医師。診断基準の変化や新型薬の普及で、うつ病やそれを理由に休職する者が増大、こうした状況に企業も困惑し、社会問題化している。しかし、それは本当に“病気”と言えるのか? 医学ではなく労務上の問題ではないか? あやふやな診断が社会に与える影響は? 精神科医が「うつ病休職」の正体に迫る。

目次
はじめに
プロローグ――会社をうつ病で休職する方法
病院へ行こう/診断書をゲットするコツ/休職中は何をすればよいのか/復職と傷病手当金/忘れてはいけない障害年金
第一章 増加するうつ病と「うつ病休職」
なぜ「うつ病休職」が増えているのか/広がるうつ病のストライク・ゾーン/社会問題化する「うつ病休職」/それは「疾病利得」のことである/逃避・利益・回避――「診断書問題」の意味/なぜ上司は病院へ行くことを勧めるのか/本当に困っている人たちのために
第二章 休職診断書を求める人たち
さして重症とも思われないのに休職(診断書)を希望する人たち/方便として診断書を希望する人たち/労務問題の解決手段として診断書を希望する人たち
第三章 うつ病をめぐる企業の困惑
労働問題のスペシャリスト/なぜ診断書が必要なのか/なぜ一年半で復職するのか/労働者の義務とは何か
第四章 診断の問題
区別すべき二つの病態――うつ病と抑うつ反応/うつ病はストレスによって起こるものではない/うつ病と抑うつ反応の実例/なぜ抑うつ反応はうつ病に“昇格”したのか
第五章 精神科医は「うつ病裁判」をこう見る――電通事件と東芝事件
「労働裁判」の精神医学的検討/(1)電通事件/(2)東芝事件/法律の専門家は筆者の見解をどう見るか
第六章 病気か、苦悩か
抑うつ反応は病気ではなく苦悩である/ある失敗例/苦悩に対する治療とは/エンパワーメント/苦悩は本人の主体性抜きには解決できない
エピローグ――私の労働紛争
二つの自己都合退職/懲戒解雇処分と損害賠償請求/労働審判を経験
おわりに

書誌情報

読み仮名 ウツビョウキュウショク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610717-7
C-CODE 0247
整理番号 717
ジャンル 政治・社会
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2017/05/26

薀蓄倉庫

広がるうつ病の「ストライク・ゾーン」

 30年前に比べて、うつ病と診断される人が約5倍に増えたそうです。『うつ病休職』の著者、精神科医の中嶋聡氏によると、その理由は主に2つあるそうです。ひとつは、1980年に「DSM-III」という革新的な診断基準が導入されたこと、そしてもうひとつはSSRIという新しいタイプの抗うつ薬が出現したこと(日本では1999年に発売)。これらが普及した結果、うつ病がそれだけ増えたというのです。中嶋氏はこうした状態を、「ストライク・ゾーンを広げたことで、三振が5倍に増えた」と表現しています。それまでは、うつ病と周辺の病態が明確に区別されていたのが、「ストライク・ゾーン」が広がったことでうつ病が増加したというのです。当然、それを理由にした休職者も増加。社会問題化している現状をレポートしたのが、本書『うつ病休職』です。

掲載:2017年5月25日

著者プロフィール

中嶋聡

ナカジマ・サトシ

1955(昭和30)年生まれ。東京大学医学部医学科卒業。医学博士。精神科医。1996年、沖縄県に「なかまクリニック」を開業、現在に至る。著書に『「心の傷」は言ったもん勝ち』『眠れぬ夜の精神科 医師と患者20の対話』『「新型うつ病」のデタラメ』など。

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