生涯現役論
792円(税込)
発売日:2017/05/17
- 新書
- 電子書籍あり
勇気と希望の仕事論。「面白い仕事こそ人生最高の報酬です」「ピンチの時こそど真ん中に投げます」。
今の自分は10年後の自分より10歳若い。老け込んでいるヒマなどない──。プロ野球史上最も長く現役を続けた「球界のレジェンド」と、投資ファンドの代表、航空会社の経営者、大学教授の三足の草鞋を履く最強ビジネスマンが語り合う。下積みを厭わない。地道な努力を続ける。「好き」を追求しつづける。異なる世界で生きてきた二人の姿勢は驚くほど共通している。人生100年時代に贈る、勇気と希望の仕事論。
ライバルY高
チャンスは突然やってきた
ドラフト大豊作の年
周囲との差に絶望
アメリカ行きを通告されクビを覚悟
生涯の恩人との出会い
シーズン途中で強制帰国
「本当のプロ野球選手」になった瞬間
チャンスに備えれば人生は充実する
30歳手前で芽生えたエースの自覚
「もっともプロに入ってから伸びた選手」
工藤氏の後を継いで、自分が先頭に
人間はいくつになっても10年後より10歳若い
「クビ」はこうして伝えられる
感覚論にも一理ある
途中でやめるから「無駄」に思える
イチローに電話で伝えた「50歳までやる秘訣」
「悔いはある、でも後悔はしていない」
ラジコンで学んだ「突き詰め方」
富士山の頂上で見た光景
常にギリギリじゃないと頑張れない
胸に刻んだ落合監督の言葉
経営者は私利私欲を持つなかれ
緊張感は、勝負している証拠
20代で経験した下積みの重要性
一流のアマチュアに、二流のプロはかなわない
頭で取った最多勝
成功確率5%以下の転身
10年後に後悔しないための決断
勝利を呼び込むためにゲン担ぎも
勝負の流れが変わる瞬間
勝負に関わる者は麻雀をやるべし
「君たちには時間がない」
時には席を立つ勇気を
寸分たりとも気を抜けない
ピンチの時こそど真ん中に投げる
相性の悪いバッター、良いバッター
「自分のため」が「チームのため」につながる
FA宣言をしなくてよかった
「やりこむこと」が力を伸ばす
後悔を減らすために努力する
大谷翔平の頭の良さ
書誌情報
読み仮名 | ショウガイゲンエキロン |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-610719-1 |
C-CODE | 0275 |
整理番号 | 719 |
ジャンル | スポーツ・アウトドア |
定価 | 792円 |
電子書籍 価格 | 792円 |
電子書籍 配信開始日 | 2017/05/26 |
薀蓄倉庫
球速よりも回転数
現役時代の山本昌さんのストレートはだいたい130キロ台で、決して速い方ではありませんでした。にもかかわらず、山本さんは最多奪三振のタイトルを獲得したこともある「三振の取れる投手」でした。これはなぜなのか。
秘密は球の回転数にありました。スーパースローカメラで山本さんのストレートを撮影したところ、1秒間の回転数は52回転。これは「火の玉ストレート」と言われた藤川球児投手の回転数(46回)を上回っていたのです。つまり、「直球の質」では山本さんの球が藤川投手に勝っていた、ということなのです。
掲載:2017年5月25日
担当編集者のひとこと
決めぜりふのオンパレード
本書は、インテグラル代表、スカイマーク会長、一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授の「三足の草鞋」をはく佐山展生さんと、一昨年に50歳で引退するまで32年間の現役生活を続けた「球界のレジェンド」、山本昌さんの対談です。
山本さんは現役時代に最多勝3回、最優秀防御率1回、最多奪三振1回、最優秀投手1回などのタイトルを手にされています。その他にも、41歳で達成したノーヒットノーランなど、数々の史上最年長記録を更新されているのは、野球ファンならご承知の通りです。通算勝利数は219勝。
そのような息の長い活躍をされた大投手ですが、なんと中学でも高校でも最初は控えの投手で、中日に入団した後も5年目のシーズンに入るまで一勝も出来なかったそうです。ちなみに、200勝以上をあげた投手で5年目まで一勝も出来なかったのは山本さんだけ。つまり、最初から才能溢れたエースだったわけではなく、たゆまぬ努力と工夫の積み重ねによって実績を積み上げ、結果的に誰よりも長く現役を続けることが出来た、というわけです。
その意味で、山本さんの語る言葉は、長嶋茂雄的スター選手のぶっ飛んだ言葉よりも、普通の人の胸にビシッと刺さります。山本さんはいつも的確なことをおっしゃいますが、それは山本さんが何度もご自分の中で咀嚼し、考えを練り上げたうえで言葉を発しておられるからだと思います。お会いしてよく分かりましたが、とにかく話がうまいのにはびっくりしました。
対する佐山さんも、京都大学工学部を出た帝人のエンジニアから、33歳で三井銀行に転職し、一貫して日本のM&A業界の先陣を切ってこられたという異色のキャリアの方です。真山仁の小説『ハゲタカ』の監修をされていたことは知る人ぞ知る話ですが、小説の主人公の鷲津のようなガメツサは全くなく、すごく「いい顔」をした方です。本人曰く、「他の人が見たら、アホちゃうか、と思うようなことばかりやってきた」そうですが、その「アホちゃうか」と思われるような決断の積み重ねが独自性となり、圧倒的な実績を叩き出してきました。
実は、佐山さんも高校球児で、京都の洛星高校時代は甲子園を目指しており、けっこういいところまで行ったそうです。京都大学でも野球部に属した筋金入りの球児。まったく違う分野で仕事をしてきたものの、「誰も歩いていない獣道を一人で歩き続けてきた野球経験者」という意味で共通している佐山さんと山本さんは、仕事に対する姿勢も見事に共通しています。
付け加えて言うと、そこここに「使いたくなる決めのフレーズ」が散らばっているのも本書の特徴です。
「ピンチの時こそど真ん中に投げます」(山本)
「自信を持って言えるのは、私が日本の野球史上、『もっともプロに入ってから伸びた選手』だということです」(山本)
「年齢を嘆く必要なんてない。今の自分は10年後の自分よりも10歳若いんです」(佐山)
「生涯現役でいきたいなら面白いと思うことを精一杯追求すること、それに尽きる」(佐山)
山本さんと佐山さんのパワーを肌で感じつつ、楽しんで編集させて貰いました。この楽しさを、ぜひ多くの方に味わって頂きたいと思います。
2017/05/25
イベント/書店情報
- 終了しました
著者プロフィール
佐山展生
サヤマ・ノブオ
1953(昭和28)年生まれ。インテグラル株式会社代表取締役。スカイマーク株式会社代表取締役会長。一橋大学大学院教授。
山本昌
ヤマモト・マサ
1965(昭和40)年生まれ。野球解説者。2015年に50歳で引退するまで32年間現役を続けた元プロ野球選手(投手)。